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第二十八話 幼なじみがヤンデレで、想いが重くて、辛くって

今回はシリアス練習回なシリアル回です。

楽しんで貰えると幸いです。

最近はどう面白く書くか、よりどう楽しませるかを考えてて書くようになりました。

と、言うわけで今回も部屋を明るくして、ヤンデレるのをやめて、ディスプレイから0.5m離れて見てください。

 此処の冬は結構寒い。

 元の世界で言う12、3年前の北海道の冬と大体同じ感じな訳だ。

 寒がりな俺からしたら結構笑えないんのだが、寒いところが好きらしい飛鳥は『早く雪が降らないかな』なんて呟いている。

 俺としては、そんなものが降ってきたら布団の中から出てこれないだろうな。

 布団でぬくぬくしておきたい子だからな、俺は。

 炬燵に入って蜜柑食べながら勇者達の行動をただただ傍観していたいわァ。

 なんて、変なことを考えつつ俺は今日も書類に向かう。

 最近はただただ書類に向かうだけなのは暇すぎるから、足にパワーアンクル-100kg-を両足に付けてひたすらエアーバタ足をしている。

 微妙にキツイんだよな、コレ。

 俺の能力が上がって結構力強く、我慢強くなった筈なんだが、未だに5時間しか出来ないという。

 なんて俺って情けないんだろうか。


 「やはり、バグってるね」


 「最近のお前の行動の方がバグってるっつゥの。なんで冬なのに肩出してんだよ。そして何故にスカート短いんだよ」


 「私は冬が大好きなんだよ。この肌を刺すような冷たさ……良いッ!!」


 「何となくどうしてそんな露出の多い格好してんのか解ったわ。お前Mだもんなァ」


 「Mじゃない、“ド”Mだ!!」


 「さいでっか」


 ……なんか相手してると物凄く疲れてしまうんだが。

 そもそも、だ。

 どうしてこんなに寒いのに魔王には冬休みがないんだ!!

 学生にはあるのに!!


 「そう言えば、どうして学園なんて作ったの?」


 「リア、何時の間に……。え、と。学園を作った意味だったか?ま、俺の持論からなんだがさ。ガキの頃に経験したコトって結構使えるんだよ。例えば、俺がこんだけ戦えるのも爺さんと修行したという経験があるからだし、俺がこうやっていられるのも学校にいって色んなものと触れ合ったからという経験があるからだ。仲間と馬鹿なことをしたり、ライバルと競い合ったり、好きな娘に告白して振られたり、付き合って誰かのコトを愛するコトを知ったり出来るなんて貴重な体験も出来るしなァ」


 「あ、葵さんが至極真っ当なコト言ってる」


 「お前はいつも失礼なヤツだな!!」


 「えへへ、それほどでも」


 「棒読み且つ表情を変化させないでンなコト言うんじゃねェよ、気持ち悪いわ!」


 「ひ、酷い」


 「だから、何で棒読みなんだよ!!」


 ま、俺からしたら学園生活なんてクソみたいに暇なもんだったからなァ。

 唯一楽しかったのは、爺さんと将棋したり、修行したりしてる時や婆ちゃんと話しているとき、親友と馬鹿やってる時ぐらいだったからなァ。


 「そう言えばあの装置は用意出来たのか?」


 「出来たよ、旦那っ!!呼ばれず飛び出る這い寄る混沌レイナール・ディカオス、参上ッ!!」


 「よくもまァ、いつもそう言う口上みてェなもんが出てくんなァ。尊敬すんぜ、全くよォ」


 「えへへっ!照れちゃうよ!」


 「……飛鳥、コレが『萌え』だ」


 「っく、負けたよ……ッ」


 なんだかんだでこういうおふざけに付き合ってくれる飛鳥は良いヤツだと思うね。

 ま、口には出さないけど。

 てか、最近の口癖が『口には出さないけど』になるほど地の文で『口には出さないけど』を連発しているんだが。

 とかなんとか言ってはいるが、いや、思ってはいるがが正しいのか?

 ま、まァ、兎にも角にもだ。

 飛鳥は良いヤツと言うことだな。

 ただし、果てしなく面倒くさくて、果てしなく信じた者に一途という廃スペックだが。


 「紅梨ちゃん、一応葵は魔王なんだからさ、人前では取り繕ってね?」


 「うん、解ってるよ、お姉様。だから、基本的には無口な侍女を演じているんだ」


 「あ、うん。なら、良いんだけどさ」


 「流石に解っているよ。自分の表に出ている身分は侍女なんだから、自分の仕えている主に対して敬語も使わず喋るなんて出来ないし、それ以前に手を出すとか言う時点で死刑ものだからね」


 ……其処まで解ってるなら手を出すなよ。

 本ッ当に頭の回るヤツは苦手だわ。

 昔から俺は頭の回るヤツは嫌いだ。

 からかい方がウザイし、大体相手が本当にキレるという点を解っておちょくってきやがる。

 ダァアア!!思い出しただけで腹が立つ!!

 何が『はぁ、困ったものです……』だよ!いけ好かねェクソイケメンめっ!!


 「だ、旦那?ど、どうしたの?」


 「あ、いや。大丈夫だ。元居た世界のかなりウザかったヤツを思い出して軽く殺意が芽生えただけだから」


 ……ふぅ。

 そういえば、レイナールは完成したって言ってたよな。


 「で、実物は何処にあるんだ?」


 「あ、もうすぐ絆が持ってきてくれるから少し待ってて!」


 「あの身体で持って来れるのか?」


 「実は絆って、魔法使いらしいんだよ!魔法を使ってふわっって持ち上げてさ!」


 「魔術じゃあねェのか?」


 「魔術じゃあ無いんだよ。解るかい?違い」


 ……何時の間に後ろを取りやがった。

 いや、どこぞのスナイパー13みてェなコトはしねェけど、後ろに立たれたら無意識のうちに撃退してしまいそうになるんだが。


 「因みに、だ。魔法は自然の一部だから杖みたいな物も要らないし、魔力みたいなものも要らないんだよ」


 「なにそのチート」


 「葵さんが言って良い言葉じゃあないよ」


 「うん、旦那はものごっつチートだからねっ!!」


 「……何故に『ものごっつ』?」


 「旦那が夢でね、『ものごっつ大きいのが……。ック……。やめ、や、アンタって人はアアアアアアアアアアアア!!』って叫んでたんだのを聞いたときに、この言葉面白そうって思ってさ!」


 「あ、それ私も聞いてたよ。どんな夢見てたの?」


 「爺さんに殺されかける夢だ。大きい岩を持ち上げて俺に振り下ろしてきたんだよ。『この馬鹿孫めぇえええええ!!』ってな」


 もしかして、爺さんの念が俺の夢に入り込んできたとか?

 もし、そうだったとしたらアレだな。

 俺、連絡した瞬間に殺されるンじゃあなかろォか。


 「じゃ、つけるよ」


 「ちょ、ま!?」


 『……なにが送られてきたと思ったら、馬鹿孫じゃないか』


 「え、えとですね。じ、爺さん、そ、その背後のオーラはなんでせう?」


 『……話は聞いてやる。まずはそこからじゃ』


 ……取り敢えず腹をくくって今までのコトを話そう。

 コイツ等との出逢いや、今の状況を。


 「……んじゃ、経緯を話すよ」


○


 「ウラァアアア!!」


 「GUGYAAAA!!?」


 「……ふぅ。これで此処一帯の危険な化け物は退治出来たみたいだな」


 「お疲れ様です、勇助様」

 

 今日はとある辺境の村の依頼で、この村近辺の化け物退治をしてくれってコトだった。

 最近はこういう頼ってくれる人が多くなってきて正直結構嬉しい。

 俺達の名前が結構広まってきているというコトもあるんだろうけど、うん。

 最近漸く勇者っぽくなってきたと思われる。


 「勇助様はずっと勇者様ですよ」


 「アリア。センキュな」


 「そこの二人いちゃついている暇があるなら私を手伝え!特にそこの巫女!!」


 「……ッチ、反省してます」


 「舌打ち!?今、姫の私に向かって舌打ちしたよね!?」


 この二人の喧嘩もどうやら噂になっているようで、『勇者を巡ってねっとりぐちょぐちょな泥沼喧嘩』ってコトになっているらしい。

 うん、ただただ面倒な噂だ。

 だって、コレが始まったら毎回毎回ちゃかされるんだぜ?やってらんないよ。

 全く。


 「んじゃ、帰るよ」


 「あ、はい」


 「解ったわ」


 取り敢えず一仕事終わったし、帰ったらゆっくりオレンジジュース飲むか。

 コーラもサイダーも炭酸系の清涼飲料水のありとあらゆる物がこの世界には無いから、オレンジジュースが俺の今の一番の飲み物だ。

 結構高いし。

 なんか、高い物は良い物って考えてしまうのはやっぱり庶民の感覚なのかなぁ?


 「二人ってさ、普段は何飲むの?」

 

 「私はワインね」


 おおう、ブルジョってらぁ。

 しかも、成人迎えて……たな。コッチの世界では。

 つぅコトは俺もお酒飲める感じなのかなぁ?


 「私は基本的にお水しか飲みませんね」


 「何で?」


 「私、太りやすい体質なんですよ」


 想像出来ねぇ。

 どっからどうみても、どう作用しても太りそうにないほどやせてるけどなぁ。


 「そうだったわね。アンタ昔は太ってたもんね」


 「姫サマに言われるのは本ッ当に屈辱的です。ま、今ではこういう風に体系的にも姫サマに圧勝してますけどね」


 「貧乳はステータスだ!!」


 何故そのネタを知ってるし。

 いや、知らずに出てくる言葉じゃあない、なんてとても言い切れないが。

 それにしてもその言葉を此処で聞けるなんて思いも寄らなかった。


 「胸なんておまけだ!!」


 「でも、そのおまけにつられるのが男の性なんじゃないでしょうか?ですよね、勇助様」


 「俺に振るなっ!?」


 お願いです姫さんに物凄い目で見られてるんでそんな『はいかイエスかどっちがいい?』みたいな目をして選択肢ふらないでください。

 と、いうより、それを聞かせてアリアは姫さんにどういう反応がしたいんだ……?

 最近思うんだが、コイツ等ってじゃれ合ってるだけなんじゃあないだろうか?

 なんだかんだで手は出さないし、口論の時もそこまでのレヴェルじゃあないし。


 「俺的にはどっちでも良いんだよな。好きな人が俺のタイプになっちゃうタイプでさ」


 この選択肢でどうだ!!

 俺的には100点満点の無難な答えなんだが、アリア的にはどんな感じなのだろうか?

 そう思いつつアリアの方を見ていると『面白くないなぁ』みたいな冷たい目をしていた。

 いや、すまんかった。

 俺にはどうすることも出来無いんだよ、この手の問題は。


 「……なら、絶対私を好きにさせてやるんだから!!」


 「不意打ち的な告白だとっ!?」


 「……ちなみに、わたしはりんごじゅーすだよ」


 「ある意味コッチも不意打ち的だった!?」


○


 「……と、言う訳なんだ」


 『まさか、そんなコトがあったとはのぉ』


 「旦那、旦那。この人本当に葵のお爺さんなん、だよね?」


 「信じられないかも知れないがな。俺の兄って言った方が信じられるだろ?」


 「正直ねっ」


 『しっかし、まぁ。なんだ。苦労はしているみたいだな』


 「あぁ、俺みてェなガキが一つの国を治めてるんだぜ?信じられねェだろ?」


 『いや、お前には人の上に立つ才能が有るのは知っておったが、まさか魔王とはなぁ』


 その反応が普通だよな。

 流石のチート&バグ爺さんでも流石になァ。

 一応地球の常識の中に生きてきたんだからなァ。

 常識外の化け物だったが。


 「で、さ。俺は多分死んでもそっちの世界には戻れないと思うんだ」


 『……じゃろうな。なんとなく予想はしておったよ。ま、後ろにいる修羅達を説得せえ』


 『さぁ、葵。何処のドイツが俺の葵を奪ったんだい?』


 「え、婆ちゃん?」


 ど、どうしてこんな状況に!?

 いやいやいやいや!俺が知ってる婆ちゃんはこんなオーラを背負わないっ!!

 つか、うぇい?!俺の葵ってどうゆうこと!?しかも、一人称俺!?


 「私です」


 「僕もだよっ」


 『ほう、中々に美人揃いじゃあないか。でもそれだけじゃあ葵を任せられないんだよね。俺は薫ちゃん押しだからさ』


 「……え、ちゃん?」


 『え、葵知らなかったのかい?女の子なんだぜ?てか、薫ちゃんも言ってなかったのかい?』


 『え、あ、はい』


 なんということでせう。

 俺が今まで男友達だと思っていた相手が女性だったのか……。

 つか、どうして気づかなかったし、俺。


 「あ、そう言えば俺の服に盗聴器着いてたんだが……」


 実は飛鳥から詳細を聞いてしまったのだ。

 始まりはレイナールがこの世界には無いはずの盗聴器を調べていたことから始まるのだが、そのことはまた別の機会に回想しよう。

 なんてメタい地の文をしつつ、薫の反応を見る。


 『ぎくっ』


 「やっぱお前やったんかい……」


 もう、何を信じて良いのか解らない。

 先ず親友がゲイじゃなかったコトに喜ぶべきなのか、親友の俺に対する行動にキレるべきなのか……。

 と、いうより婆ちゃんは気づいてたんじゃあなかろうか。


 『俺は気づいてたよ。でも別に気にする程度のことでもないでしょ』


 「気にするわ!!」


 なんという寛大さだろォか。

 俺はその寛大さが憎いわ!!

 つか、何気に後ろでいけ好かないイケメンが立っているんだが。


 『あ、僕のコトにも気づいたのですね。どうも貴男の佐原一馬ですよ』


 「葵、アレ何?」


 「え、えと、あの発言から察するに腐った淑女が好きそうなアレだよね?旦那」


 「大丈夫だ。アレはからかいの言葉だからな」


 『……取り敢えずボクをそっちの世界に召喚して貰えると嬉しいな。ボクは葵無しじゃあもう生きていけないんだよ。健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、 富めるときも、貧しいときも、ボクは葵がいないと死んでいる様な感じがするんだよ。ボクの世界は葵が中心で回っていて、葵が主人公で、葵が王子様で、葵が英雄で、葵がボクの命なんだよ。葵がコッチに戻ってこられなくて、ボクがこのままこの世界にいることが運命ならばボクは死んだ方がマシだね。寧ろ自分から死にに行くよ。葵がいない世界はボクの生きる世界じゃあないんだよ。好き。好きだよ、葵。ボクは生まれたときから君が好きだったんだ。ずっとずっとずっとずっとさ!だから、見てよボクを!!ボクのことを!!ボクだけを!!』


 ……気持ちが重いな。

 それ以上に俺が今の今まで親友の気持ちをこんな風になるまで抑えつけてたってことが一番辛い。

 確かに自分が『男』ではなく『女』だ。なんてことは微塵も言っても無かったけどさ、俺が気づいてないってのが一番最悪だろォが……ッ!!

 俺は親友にこんなに辛い思いをさせてたんだな……。

 だが。


 「……悪ィが、俺はお前をこちらの世界に連れてこさせたくはねェ。連れてくる方法は知っているがな」


 「……葵」


 「お前が俺のコトをどれだけ好きだろうと、お前が俺にどれだけ依存していようと、だ」


 『何でッ!!何でだよッ!!』


 「お前に危険な目に遭って貰いたくねェからだよ!ただでさえ、コイツ等に危険な目に遭うって考えるだけで血が沸騰しそうな勢いなんだよッ!!生まれてずっと一緒だったテメェにそういう感情を持たねェ筈ねェだろうがよォ!!」


 ……後ろで爺さんと婆ちゃんがニヤニヤしてるんだが、どう反応したらいいんだろうか。


 『で、でも!!私には葵が必要なんだよ!!!』


 「此処まで言われてこの娘を無視するつもり?もしそうなら、一度根性たたき直させて貰うよ?」


 「旦那、僕もあの娘の気持ち解るよ。旦那のコトが好きな気持ちは同じだし、僕も旦那がいなかったら生きていけないもん!!」


 「私も解っちゃうよ。葵って女難の相がキツイんだね~。私みたいな重い想いを向けられまくってさ♪」


 「召喚すんなら私がやってやるけど?」


 ッケ、もう好きにしろ。

 俺は知らん。


 『葵、薫ちゃんを頼むぞ!老体に鞭打って身体を鍛えてお前を殴りに行くまで元気にしてろ!!』


 『葵、がんばりなよ。俺は葵が元気そうにやってるって知れただけで満足だったし』


 「……婆ちゃん、俺頑張るよ。あと、爺さんはコッチ来ンな」


 ……また背負うモンが増えるんだな。

 ハァ、面倒くせェなァ、コノヤロー。


 「葵、ニヤけてるよ」


 「うっせェ」

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