第二十二話 世界屈指の魔術師から逃げてきた元勇者ですけど、何か?
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……仕事の合間合間に作っていたアクセサリーが漸く出来た。
漸くっつっても一週間だけなんだがな。
一週間で仕事の合間だから、大体14時間程で出来上がったことになるな。
効率良く出来たってコトなのかねェ?ま、初心者が一週間で出来たってコトから考えると、結構早くは出来たんじゃねェのかと思うんだが。
それにしても禍々しい色になっちまったなァ。
出来れば格好いいシルバーを腕に巻くとかとかとかさせたかったもんだがなァ……。
「……おお!?旦那それ凄い魔術かかってるね!!」
「ん?そかァ?出来るだけ強い目にレジストの魔術をかけただけなんだがよォ……」
「ま、旦那の強い目ってのは、この世界の常識的な強い目の約20倍だからね!」
「……つまり化け物って訳だね。と紅梨は紅梨は無駄に会話に割り込みます」
「何処の約二万体のクローンなんだよ、テメェはよォ」
「紅梨の製造番号は13555号です。と紅梨は紅梨は……」
「いや、もう良いから」
コイツと話してると本気で力が抜けるっつゥか、なんつゥかよォ……。
アレだな、某サイトの生放送しているときに184で荒らしが来たとき並に気が抜けるなァ。
あの気の抜け方は尋常じゃねェからな。
「で、私の分は?」
「ねェよ」
「なん……だと……」
……コイツ自分の分もあると思ってやがったのかよ。
俺のことを会う度に化け物呼ばわりしやがるコイツの分を作るはずがあろうか!?いや、ねェ!!
寧ろそんだけ嫌な思いさせられてるのにコイツをウチに置いている自分を本気で馬鹿だと思うね、俺はよォ。
「で、レイナールよ。ほい、お前の分だ」
「……ゆ、びわ?……指輪!?」
「おゥよ、指輪だ。大切にしてくれや。ま、出来ればずっと身に付けといてくれると俺としても有り難ェよ」
「モチロンだよ!!ずっと離さないよ!!」
「……っけ」
「飛鳥、テメェは一体何様だコラ」
「私はメイド様だよ、コノヤロー。会長じゃないけどメイド様だよ、コノヤロー」
……そういや一寸前にやってたな。
懐かしいな、声優が良い感じにアレだったのを覚えている。
まさか不幸先輩と三下ァ先輩の声優が両方共が同じアニメに出るなんてなァ。
いや、割と結構同じアニメに出てたけどさ。
「……いや、侍女が主を傷つけるようなこと言っちゃ駄目じゃないかなっ?」
「レ、レイナールが真面目なコトいってやがる……ッ。明日は雹が降るかッ!?」
「旦那!流石に僕に失礼じゃないかな!?……ま、まぁ、何時も結構アレなコト言ってる自覚はあるんだけどさ」
「……あ、自覚はあんだな」
「いや、うん。ま、まぁ、あるっちゃあるね、うん」
……昨日折檻されて、なんというか何処か窶れた感あったんだが、もしかしれユリアとシアに自覚させられたのかねェ?
ま、別に俺としては自覚無い状態は無い状態で色んなコトをマシンガントークしてくれるのは結構面白かったんだけどなァ。
「ううん、結構前から自覚はあったんだけどさ。旦那と話すのは楽しくって」
「あ、うん」
「……むぅ。何私が居ない間に仲良くなっちゃてるのかな?かな?」
「あ、リア。もう大丈夫なのか?」
「うん!元気も元気だよ。で、レイナちゃんの指に着いているあからさまに魔術がかかった指輪は葵からのプレゼントなんだよね?フフフフフフフ」
「あ、暴走ストップな。ほい、起きたら渡そうと思ってたんだよ」
「……あ。有り難う」
「お守り兼状態異常へのレジスト兼魔術使用の媒体……と俺の気持ちだったりする」
「ふふふ♪」
……小さい声だったんだが聞こえてたのかレイナール、リア共に俺を見てニヤニヤしてやがる。
口に出さなければ良かったぜ、全くよォ……。
「いや、口に出さなくても解るから!」
そこでサムズアップせんでくれや、レイナールよ。
そしてリアも同意してるんじゃねェ。
なんで隣であかべこみてェにカクンカクンしてんだよ、コノヤロー。
「あかべこって、それは失礼じゃない?私あんなにカクンカクンしてないよ」
「……なんで知ってんだ?」
「葵が趣味で作ってたヤツでしょ?あの紅い」
……どうして知ってるし。
俺が作ってるのは基本的に俺専用の金庫に入れてんだがなァ……。
「いや、作ってるときを見ているからね」
「僕も興味あるからリアに何時も教えて貰ってるんだ!!」
「……さいでっか」
……見られてたんかい。
しょうがない。それは思考の端っこに置いておいて、だ。
「それにしてもアレだな。なんつゥかリア成長してねェか?」
「あ、うん。あの熱って女性が三次成長の時に起きるものらしくてさ」
「……レイナールは知らなかったのか?」
「だ~か~ら~!僕にだって知らないことはあるんだって!なったことのない症状とか、病気とか、解らないにきまってるじゃんか!僕は僕が体験したことでないと解らないんだよ!」
「あァ、いや、そう言うつもりで言ったわけじゃなくてだな。レイナール知らずに薬出してたのかってコトを言いたかったんだよ」
「あぁ!なるる!一瞬不機嫌になった僕は相当無意味だったわけだね!」
「いや、俺が言葉足らずだった悪ィ」
……ふむ、言葉を話すときに急いて主語やらなんやらを抜かしたりするのは俺の悪ィ癖だな。
小さい頃から親父もお袋も主語を飛ばしてたから変に慣れちまってそれが離れねェんだろォな。
全く厄介な癖が染みついてんな、俺ェ……。
「それで、薬だよね?アレは解熱剤だよ!」
「あァ、なるほどな」
「あ、またレイナちゃんが色々やってくれたんだね。ありがと」
「いやいや!僕の親友だからね!全力で助けるよ!」
「……また空気なんだね。と紅梨は紅梨は……」
「だから、もう良いって」
○
……今度はなんだ?
さっきから子供だましのような罠ばっかりだし、一体ここの主はどういうつもり何だろうね。
落とし穴(1m)だったり、真実の口(30秒間拘束)だったり、何がしたいんだろうか。
しかも落ちているのは常に姫さんだしよ。
「……なんで私ばっかりなのよ!!」
「ップ、姫様ザマァ(ぼそっ」
「聞こえてるわよ!!」
「……女三人寄れば姦しいって良く言うけど、二人でも相当だよなぁ」
「「聞こえてるますよ」」
あ、俺に矛先向いた。
……っとなんだかんだで95階まで来れたんだが、微妙に空気が薄くて辛いんだよなぁ。
なんでこの人達はこのうっすい空気の中で騒げるんだろうか?
俺には不思議でしょうがないよ。
「それにしても勇助様はどうして勇者になってくれたんですか?姫様の時の勇者は逃げ去ったみたいですけど」
「……アンタ、喧嘩売ってるなら買うわよ?言っておくけど、魔術だけならこの世界でも五本の指にはいるって自負してるんだから」
「まぁまぁ。……俺が勇者を引き受けた理由かぁ。……うーん。覚えてないや」
……実際には一目惚れだったりしたんだが、絶対に言わない。
このコトは墓場まで持って行くつもりだからな。
……ま、今となっては人助けすることに軽く幸福感を感じてるしな。
うん、まぁ、この考え方は破綻を導くっつぅのは解ってはいるんだけどな……。
○
「どうも、世界屈指の魔術師であるお姫サマから逃げてきた元勇者だけども。なんか文句あんのか、飛鳥」
「……いや、今の見てて思ったんだけどさ。アレ、外付け良心回路じゃない?」
「あ、其処か。いや、アレは勇者の元からの性質じゃねェかねェ?」
……ま、俺にはどうあがいても持てねェ思想だわな。
助けたら自分の幸福感が満ちてくるなんざ、俺には考えられねェよ。
俺は身内さえ幸せなら良い、最低ヤローだからなァ。




