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第十六話 百聞は一見にしかずの意味は……。

この作品を読む時は部屋を明るくして、画面から約33.8cm位離れて読んで下さいね?


 頭痛ェし、喉も痛ェ。

 ついでに体中の節々も痛ェ……。

 

 「つまり今俺は風邪を引いてるっつゥ訳だ、ワトソン君」


 「……前にも言ったけど、ワトソン君って誰なの?」


 ……書類処理などの仕事関係においてはパラメータが物凄く低い魔王が休んだところで別に魔界は痛くも痒くもねェんだろォけど、早く治さないとなァ。

 魔王しか処理できない書類とかもあるわけだしなァ……。

 溜まったら夏休みの宿題の如く徹夜して一日で終わらせなければなくなる様になるだろォし。

 ンで徹夜したら徹夜したで体調が悪くなるか、集中出来ねェ様になるだろォし。

 以上の悪循環を起こさないためにも早く風邪治さねェとなァ……。


 「スルーしないで欲しいな……」


 「つかさ、リアは政務に戻った方が良いんじゃねェかァ?」


 「体調の悪い旦那さんおいておいて仕事出来ないよ」


 「……あ、レイナールに頼めば良くなるんじゃねェか?」


 レイナールならばどんな悪い状態でも治す薬を一発で作ってしまいそォだ。

 例えば遅刻癖、サボり癖、不眠症、ストレス、頭痛、骨折とかとかとかとか……。


 「呼ばれる前にレイナール、インしたおっ!」


 「うむ、有り難い。今回は普通に有り難い。今大声出したら喉が切れてしまいそォだしよォ」


 「と、言うわけで旦那っ!ハイ、お薬!」


 「……ン、有り難うな、レイナール」


 「葵、はいお水」


 「センキュ、リア」


 ……このギャルゲ状態は何なんだろォか。

 うむ、物凄く嬉しいし、物凄く有り難いんだが、物凄く恥ずかしいぞ、コノヤロー。

 つか親友が見たら『貴様羨まし……ゲフン!けしからんぞコンチクショウめッ!!』とか言ってくるんじゃあなかろォか……。

 ふむ、簡単に想像がつくな。


 「……あれ?直ぐ治るって訳じゃあねェんだなァ」


 「流石に直ぐに治すっていうのは無理だよ。僕だってそうしてあげたいんだけど……」


 「……いや、別に安静にしてたら早くに治るんだろ?」


 「それは保証する!医者に診せてから貰う薬より効く自信があるよっ!愛情を込めたからねっ!」


 ……バファ○ンみてェだな、おい。

 ま、アレは半分優しさの頭痛に効く錠剤だけれども。

 アレかァ?レイナールの作った風邪薬の約半分は愛情で出来てますってかァ?


 「半分じゃなくて大半だよっ!」


 「わ、私も水をいれるときに愛をこめたからねっ!」


 「何でリアは張り合ってんだよ……」


 ……つか水をいれるときに愛情ってどうやっていれるんだァ?

 いれるとしたら、水をコップにいれるときに料理で『おいしくなーれ♪』的な呪文を唱えてんのかァ?

 もし、そうだったとしたら端から見たら物凄く変な奴だよなァ……。


 「……ご報告が」


 「まさかのシアか……」


 いや、別にまさかでも何でもねェんだけどさ……。

 ……何というか、今頭がこんがらがってて変な言動になるんだよなァ。


 「……お姫サマが魔界に入ったとのことです」


 「……ほォ」



 「勇助様!姫様はどうやら魔界に一人で入っていったようです!!」


 「……へ?」


 アリアからの報告を聞いて思わず俺は唖然とした。

 それもそうだろう?飯を食ってる最中にいきなりアリアが駆け足で駆け寄ってきて『姫様は魔界へ』って聞かされて、唖然としない奴はいんのか?

 つか、何故に一人で突っ込んでったんだ?何なんだ?馬鹿なのか?死ぬのか?

 と言うよりヴァイスはどうした、ヴァイスは……。

 ていうか本気で死ぬんじゃないだろうか?

 魔王の居るところに単騎突入って考えらんないコトだぞ?


 「……どうしましょう?」


 「どうしたもこうしたも放っておくしか無いだろ。流石にコレは無理だ。俺達が対処出来る問題じゃないからな」


 「……それもそうですね」


 「だろ?」


 ……とは言え少し心配だ。

 ま、しないと思うけれどアリアが単騎突入したとしたら絶対に決死の覚悟で助けに逝くだろうけどな。

 因みに誤字じゃないから、……って誰に説明してんだろうか?


 「それにしても魔界なぁ」


 「……どんなところなんでしょうか?国王が言うには物凄く酷い国という話なんですが」


 「あの姫様の親父の言うコトって信じられるのか……?」


 「国の利益になるように動く王なので、もしかすると本当は良い国なのかもしれませんよ」


 「……百聞は一見にしかず、か」


 「ひゃくぶんはいっけんにしかず?」


 「あぁ、知らないよな。百回話を聞くことは一回見ることに及ばないってこと」


 ……なんか諺を説明することが出来る男って格好良くないか?

 なんて考えから諺を片っ端から覚えていったお陰でアリア相手に格好付けることが出来た。

 やったね、俺!



 「……おい、止めろ」


 「え?急にどうしたの……?」


 「いや、言わなければいけねェような気がしてなァ……」


 ……たった二時間で微妙に体調が快調になってきてるんだよなァ。

 さすがはレイナールってところかねェ。

 なお俺を召喚した姫サマは国に送り返したぜ、ダンボールに詰めて転移させた。

 唯でさえ魔力切れも起こしているんだから止めなさいってリアに言われたけど、姫サマに関しては全力でプライドを傷つけなければならないという使命感からリアの反対を押し通して転移させた。


 「それにしても旦那の回復力って凄いねっ!」


 「……ン?レイナールの薬のお陰じゃねェのかァ?」


 「最初に言ったと思うけど一瞬で治る様な薬はつくれないんだよ。こんな短時間で風邪が治るっていうのは単純に旦那の回復力が異常な程に高いってことなんだよっ!でも、直ぐ良くなってくれてよかったよ!」


 ……俺の回復力も召喚補正的なもんで増えてんのかねェ?

 だとしたら有り難ェコトこの上ねェなァ。

 ま、こんなに早くに大方治ったのはレイナールの薬ありきだろォけどなァ。


 「あ、お粥作ってたんだけど要らなかったのかな?」


 「モチロン食うぜ。リアの飯を食わねェとか勿体なさ過ぎるしなァ」


 「なら、あ~ん」


 「!?」


 「ほら、口開けて♪」


 ……取り敢えず恥ずかしいの我慢して食うか。

 とは言え物凄く恥ずかしいのはしょうがねェよなァ……?

 ギャルゲの実況動画で見た時に主人公爆発しろとかいうコメントしたんだが、こんな状況になってしまった俺にはもうそんなコメントをうつことが出来ねェなァ。


 「あ、あ~ん」


 「ふふっ、葵可愛い♪」


 「……コンチクショー」


 「あ~!もうズルいっ!!僕にもやらせて!!」


 「やらせてって何だよ!?」


 「ふふふ、駄目だよ~」


 ……にやけをばれないようにすんのが勢一杯だよ、コンチクショー。

 好意を持っている相手二人の間に挟まれ、なおかつその二人に自分の取り合いをされている状況でにやけねェ男っていんのかねェ?

 超鈍感なギャルゲの主人公でさえにやけると思うぜェ?


 「……そろそろ仕事してくるわァ」


 「あ、うん」


 「……むぅ~」


 「仕事が終わったら久々に料理して良いかァ?」


 「あ、うん。葵のご飯美味しいからね~」


 「リアとレイナールの作った飯に比べれば全然だけどなァ」


 ……マジで久々に作るし軽くカレー作るか。

 カレーと言えばピクルスも必要だよな、いや此処は福神漬けか……?

 でも今からならピクルスver浅漬けにした方がいいのかねェ?


 「……にしてもぺったんぺったんと判子つくだけの雑務だけをこなす魔王ってスゲェシュールだよなァ」


 「いや、高校生が魔王してること自体が、ねぇ?」


 「飛鳥、そう言うことを言うのは止めようか」


 それは言っては駄目な気がする。

 なんというか、その駄目な気がするなァ……。

 ま、取り敢えずこの雑務共をこなしてリアとレイナールに飯を作るかねェ。


 「あ、葵さん、そう言えばムゥとシアから……」

人物紹介ファイルNo.03


名前:レイナール・ディカオス

職業:魔王補佐

容姿:蒼髪碧眼の肩までのショート。顔は最上の中。

服装:膝上十センチ位まであるパーカー。下にはホットパンツを着用

性格:葵至上主義、自由気まま


最初はメインヒロイン位置にいたレイナールさん。このキャラは物凄く書きにくいですが、書いていて一番楽しいキャラです。ま、一応既にダブルヒロインという感じでやっていくことにしています(笑)。身内以外は完全にスルーな子です。

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