復讐編 8
死は誰にでもある事なのに誰も乗り越え方を知らない。教えてもらった事がない。
どうしようもなく、理不尽。
どうしようもなく、唐突に。
必ず、誰しもに、訪れる現実。ハッと気づいた時には遅すぎて、手を伸ばしてももう届かない。
泣き疲れて寝てしまった黒チーターをまたお姫様抱っこで運ぶ。朝日の入らない場所はどこだ?キョロキョロしながら運ぶ。朝が来るまでまだある…と思いたいが、けっこう時間が経っていそうで焦る。…私にとっては、死活問題なので。
「ここを左に曲がってまっすぐに行けば、洞窟があるらしい。行ってみなさい。」
真上から、静かな声が聞こえてきた。…あぁ、木の人か。普通の木に擬態しているとまったく気がつかない。
「ありがとうございます。」
私に敵意もないし、害意も感じられない。ただ、いたわりの感情だけ。
振り返り頭を下げておく。黒チーター君の事情を知っていたのかは、わからない。それでも、優しくしてくれるものがいてくれる事がありがたい。
言われた通りに進むと、自然に出来たと思われる洞窟があった。私の身長の倍ぐらいの穴で、雨で濡れた地面には足跡などの生き物がいる形跡はなかった。雨で動かなかったという可能性もあるが…まぁ、いいか。大丈夫だろと中に入っていく。
深く入れば入るほどに、あれ?と思う。蜘蛛の巣やコウモリなどもいない。綺麗とはいえないがなんだか…あれ?もしかして?
警戒しながら進む。いや、まぁ、黒チーター君を両腕に抱えたままでは抵抗のしょうもないが。入り口に置いていく事も考えたが、泣き疲れた子供を入り口近くに放置する事はさすがに出来なかった。
入れば入るほどに広さがあり、布が分かれ道にぶら下がっている。布を使う動物は…いないよなー。そしたら。嫌な予感が膨れ上がる。
えー?こんな森に人が住んでいる?いや、獣人の可能性もあるかも。
一抹の不安を抱えながら進む。だいぶ奥まで行くと白い布が岩にかけられた所から、灯りが漏れている。黒チーター君を優しく下ろして寝かせておく。
灯りがあるという事は、人か獣人がいるのは確定した。もの音を立てないようにそっと中を覗く。生き物は、変化が大きければすぐに気がつくが、小さな変化には鈍感なものだ。
覗く。その部屋は。
人の住む場所では、なかった。それ以上に本の山が積み重なり、灯りがある事が奇跡のような有様だった。…何?これ?
本の中には、いちよう、通路のような細い道がありかすかにガリガリとものを書くような音がする。
森の洞窟に本を持ち込み、なんかを書いている。…うん。見なかった事にしよう。こうゆうのは決まって偏屈なじいさんっぽいような。なんかの研究が認められずに引きこもったとかありそう。あー。面倒くさそう。方針はすぐに決まった。触らぬなんとかに祟りなし。
灯りのついていない所に入り勝手に休む事にした。…うん。なんか、関われば、本能がやばいと訴えかけている。私は本能に従い黒チーター君と共に休む。
私は何も見なかった。一晩だけ部屋お借りしますと私もモフモフの毛皮の側で眠りに落ちた。




