表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正しい吸血鬼のなり方  作者: 冬月 葉
16/44

16

 とりあえず、私は保留にされた。


 聖水をガブ飲みした私は、悪魔とはいいきれず、そうとはいえ血を飲む私は悪魔のはずで。


 私を討伐しにきた男の人は、どうやら新人らしく私の扱いに困っている。…本当に頭を抱えて苦悶の表情を浮かべている。…なんかすみません。謝りたいが私に謝られても困るだけだろうし。うーむ。


 ふと見ると、身の置き場が無いシスターがウロウロしていた。そうだ。私、シスターにお願いがあったんだ。シスターの服をつまんでみる。…もしかしたら私を怖がっているかも知れないし。それに、私も怖いのだ。…人を見て一番に思ってしまう、食べたいという感覚が怖い。


 だけど、シスターは当たり前のように、私に視線を合わせるためにしゃがんでくれた。…普通の子供と同じように。私は、目が潤むのを止められなかった。優しいのだ。こんな生き物にさえ。あの子も。シスターも。


 「どうしました?どこか痛いところは?」


 目元にシワをよせ、心から心配している。その優しさがうれしい。反対に、私にかけていい優しさでは無いとも、思う。


 「……。あの子は、だ…大丈夫ですか?」


 不安だった。私が、血を飲んだ量がわからない。私は、血の匂いに酔い、血の味にまどろんでしまった。そして、記憶が飛ぶほどに歓喜したのだ。…今、私は後ろめたくて仕方がない。真っ直ぐに視線を合わせるシスターの目を見れず、まぶたをふせた。


 髪を柔らかく撫でられて、顔をあげる。


 「大丈夫ですよ。」

 

 その一言に、心からホッとした。そして。


 「…ごめんなさい。」


 手で顔を隠す。指と指の間から涙がこぼれる。


 「ごめんなさい。」

 

 私に言える言葉は、それ以上ありはしなかった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ