第86話 荊州王・韓信
荊州城陥落から半日、韓信は無事入場を果たす。
クイに跨り城内を歩くと、昨日の混乱から覚めやらぬのか、住民が家の中からこそこそと韓信たちを覗いている。
中央にある城の中に入り、応接の間にて皆と合流した。
「清正殿、半蔵殿、此度の荊州城陥落お見事でした!」
「お褒めに預かり恐悦至極でございます」
「韓信様、いや、今は荊州王・韓信様でしたな」
あえて言い間違える清正に、韓信は申し訳なさそうに答える。
「しかし宜しいのでしょうか?」
「こちらはピット王が落とされた城」
「私が頂くのは申し訳ないのですが…」
韓信の言葉に清正は答える。
「王がいいと言っているので宜しいのではないのでしょうか?」
「恐らくですが、人使いの荒いうちの丞相が荊州王に、ここを起点に宋国を統一してくださいと言っているような気がします」
清正のその言葉に、韓信はそれではと答える。
「わかりました、それではここの統治はお任せ下さい」
「これからは宋国統一を目指してまいります」
「では捕虜の身柄は、レッドキャップの件が終わるまでの間此方にて預かっておきます」
あい分かり申したと清正たちは告げ、一礼して国へ戻って行った。
「李左車先生」
「晴れて荊州城の主となったのだが、住民たちが不安に慄いている」
「宜しければ知恵をお借りしたい」
韓信の言葉に、李左車はふっと笑って韓信にこたえる。
「はて、どこかで聞いたことのある言葉ですな?」
「では、私の言葉を1000ある愚者の知恵の一つとしてお聞きくだされ」
「城民は今、魔族の圧政から解放されましたが」
「あなたのことが何者か分からずに困惑しております」
「この際、兵をゆっくり休ませ、国庫にある財産や食料を必要な分以外民へと施します」
「また、戦争孤児や負傷者を助ける事を率先して行います」
「そうすれば、城民はあなたを王として認め、今後必ず協力してくれるものと思われます」
「また、その事は周辺のもの達へと伝わり、行く先々で荊州王が統治してくれることを望むはず」
「その時攻め入れば、皆がこぞって協力し、結果宋統一を実現しやすくなると思われます」
「なるほど、やはり先生には敵いませんな」
韓信は李左車に敬服し、後程合流した張良・蕭何たちと今後の話を行った。




