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殿下!私が愛して差し上げます!  作者: KAE


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7/7

7:ひと月経ちました 2

1日の教育スケジュールをこなしてイザベルは私室に戻った。

そのまま、ライティングデスクに向かう。

今日の復習を兼ねて、出された課題に取り組んでいた。

リラは後ろに控えて、心配そうにイザベルの背中を見ていた。「お嬢様…」と小さく呟くが、イザベルの耳には届いていないようだった。


夕食の時間になり、ダイニングに向かうイザベルの足は軽やかだった。


ダイニングに入ると「イザベル様。今日も1日お疲れ様でございました」と使用人の明るい声に迎えられ、食前酒が供された。


「ありがとう」そう言って食前酒のグラスに口をつける。口に含み、ゆっくり飲む。甘くて爽やかなお酒が体に沁みるようだ。

「うーん。美味しいわ!柑橘系ね…」配膳してくれたスザンヌに微笑みかける。


「お口に合いましたか?よかったです」とスザンヌも嬉しそうに笑顔を返してくれた。


少し遅れてジークもダイニングに入ってきた。

「殿下、お疲れ様です」とイザベルは笑顔でジークを迎えた。


「イザベルもお疲れ様。待たせてしまった?」


「いいえ、来たばかりです。丁度食前酒をいただいたところですの」


「そう、よかった」

ジークにも食前酒が供される。「甘くて爽やかで美味しいね」ジークがひとくち飲んでホッとしたようにイザベルに言うと


「ええ、とても!」と笑顔で返して、ディナーが始まった。


他愛ないおしゃべりと美味しい食事。イザベルはこの癒される時間が好きだった。


「ごちそうさま!今日も美味しかったわ、ありがとう」イザベルはスタッフに元気よく伝えてジークと共にダイニングを後にしてサロンに向かった。


今日はイザベル自身でお茶を淹れる。

「今日はマナーレッスンがあって、お茶会がテーマでしたの…一杯のお茶を淹れるのも難しいですわね、いかがでしょうか?」とジークの前に淹れたての紅茶を出す。


「うん、いい香りだ…全部イザベルのセレクト?」


「ふふ、ええ」


ジークは少し丸みを帯びた大きな手で茶菓子をつまみ口に放り込む。

「うん、美味い!…この茶菓子はなんだか香ばしくてこのお茶に合うね!」


「ふふ、お口に合ってよかったです」


「あー、癒されるな…」


「あ、それ、その気持ちわかります」


「本当に?」


「ええ、本当です…実は寝る前に次の日に予定されている科目の予習をするんですが、その時にどうしても何かつまみたくなって、リラに用意してもらっているんです。用意してもらった菓子や軽食を口にした時〈ふぅー癒されるー!〉ってなるんです」


「ふふ、僕と一緒だ…体に良くないってわかってるんだけど、何か口にしないと落ち着かなくて…」


「そうなんです!だから最近少し太ったみたいで…でもやめられなくて…」


「うん、わかる…僕も同じだ…」


「殿下も…なんですね…なんだか安心します。ふふ」


そう言ってふわっと微笑むイザベルを見て、ジークは「イザベルって可愛い人なんだね」と呟いた。


「へ?」イザベルは自分には似合わない言葉に思わず変な声をあげる。


「ふふ…」


「あ…ありがとうございます」次第に頬が熱くなり、恥ずかしそうに、少し俯いてジークに告げた。


ジークの指が少しふっくらしてきたイザベルの頬をツンツンと突いてきた。


「な、何するんですか…」真っ赤な顔をしてジークに抗議すると


「なんとなく…ね。ほっぺが柔らかそうだったから…ふふ」


「あー…やっぱり」


「え?やっぱり?」


「最近、鏡を見て顔が丸くなったなあ…って思ってたんです」


「いいんじゃない?可愛いよ…」


「あ、ありがとうございま…す。初めて言われました…」


「ふふ、イザベルは可愛い人だ…」とジークはモジモジしているイザベルを見て笑った。

ふと、イザベルの目の下の隈が気になり


「教育プログラム…大変なんじゃない?」と聞いてみた。


「あー、まぁ…大変ですね…へへ。でも、王族の方々はちゃんとこなされていらした…と聞いています。私なんてまだまだです」とイザベルは弱々しく笑った。


「今はどのあたりまで進んだのかな?」ジークは何気なくイザベルに聞いてきた。


イザベルは〈ギクッ!〉っとしたが、ごまかしても仕方がないと諦めて進捗状況を報告した。

「帝国の歴史はあと5冊読んでレポートを書けば終わりだそうです。それから、周辺諸国との関わりに関して今は、経済の観点からの考察をザルツ王国のクーデターに着目してレポートを書いたので、提出すればきっと次の課題が出されるでしょう。それから…」


「え?え…。ちょっと待って!…それは殆ど教育スケジュールは終わっている…ということなんだろう?なぜそこまで…」


「そうなのですか?…講師の方々は〈まだまだです、進捗は遅いくらいですよ〉とおっしゃっておりましたが…」イザベルは不思議そうな顔をしてジークに言った。


「イザベル、君の執務室にお邪魔してもいいかな?」


「はい、構いませんが…散らかっておりますよ…?」


「ふふ、間違いなく僕の執務室よりは綺麗だよ…」


そして、イザベルはジークを執務室に案内した。


執務室に一歩入ったジークは驚いた。


確かに散らかってはいるが、煩雑に物が置かれているわけではない。


執務机の上に本と書類の山がひとつ。サイドテーブルにも山ひとつ。ソファセットのテーブルに山ふたつ。

壁際の長いチェストに山3つ。おそらく今履修中の項目ごとにまとめてあるのだろう。そしてすぐに確認できるように山ごとに整理されている。


ジークは至るところに置かれた山の教本と書類を見て驚いた。


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