80.やってくるのは天使か悪魔か
「えっと、なんです、これ?」
遅れてやって来たロンドは、私たちのこの状況を、奇異な目で見ていることだろう。そんな彼女に、私は何と答えればいいだろうか。あいにく、彼女と仲の良いガイアは少し離れた場所にいる。
「強襲揚陸艦ウオヌーから射出されるコバンウオヌーを撃退中」
「一つも意味が判んないんですけど」
もう少し詳しく説明すると、木の間を縫うようにして、渦巻き状に米を設置したところ、強襲揚陸艦ウオヌーという、ナマズのような見た目をしたモンスターが現れて、ガタンと呼ばれるクワガタを誘き寄せるための米を食べようとしてしまうのだ。
まぁ、私ももう、一つも判らん。
「話は戦いながらにしようか。とりあえず、ロンドはガトリングで応戦。コバンウオヌーは真っ直ぐ米に向かって射出されるから、撃ち漏らさないようにね」
「あ、はい。了解です――って、めちゃくちゃホーミング的な動きなんですけどっ!?」
ま、広範囲に米を撒いたから、それら全てを食らうように射出されているんだろうね。
だから、それぞれがそれぞれの米を狙って、木々を避けるようにした軌道をとる。その為の、グネグネとうねるような軌道を見せて、それがアニメでよくあるホーミングミサイルのような軌道に見えてしまう。という理屈か。
「大本を叩くのは駄目なんです?」
「倒すと増える。手が回んなくなって、全部食べさせてリセットしたんだよ」
知られざる苦労を積み重ねての現状、といったところか。
ガタンの出現には、戦闘音を避けねばならない。だから広範囲に米を撒いて、一部分だけでも戦闘から遠ざけなければならないのだけど、肝心のウオヌーは全ての米を食べようとコバンウオヌーを広範囲に射出してくる。
だから強襲揚陸艦ウオヌーのほうを叩こうとすれば、今度はそれ自体が数を増やしてしまい、戦闘域が拡大してガタンは益々近寄らない。
「私の役目は強襲揚陸艦ウオヌーの動きを封じること。魔法で攻撃して、その場に縫いつける感じでね。ついでに、バインダーバレルで迎撃」
「そのお漏らしをガイアが担当している感じですね」
「正しく外野」
「固定砲台が内野で良いんですかね?」
野球だと正解。ドッジボールだと不正解。そんなイメージが頭に浮かぶ。まぁ、まったく動かない野球の内野も、それはそれでどうかと思うけど。
「私たちの勝利条件は、ガタンがやってくるまでの持久戦。誤射には注意してね」
「やって来たら、どうするんです? こんな戦闘の真っ只中に来るってことは、そいつはモンスターなんですよね?」
「……あれ、どうすれば良いんだろう」
戦いを始める時には、終わり方を決めておきましょう。ってか?




