おおぐいロレンツォ
ロレンツォはいつでも腹を減らしていた。
生後間もない頃、同じ村の赤子達が乳を飲む中ロレンツォは鳥や兎を丸呑みしていた。
それも仕方ない。何故なら乳を飲もうにもその母親がいないのだ。授乳をするため乳房を差し出した母親に「ご飯の時間」だと言われたロレンツォは当然その乳にかぶりつき母親を食い殺した。
ロレンツォの常識では母乳で腹など満たせる訳ないのだから、食事と言われて乳を出されればその肉を差し出されたと思うのが至極当然であった。
その後、村人から恐れられ近くの山に捨てられたたのだが、2歳になる頃には1人で狩猟し山々の獣を貪り食うようになっていた。
しかし、いくら食っても腹は減り続ける。
獣以外も魚、山菜、果実、時には木や岩までも丸呑みにしたが腹の音が静まることはなかった。満たされない。
ただ一つロレンツォは食い殺した母親の味を忘れられずにいた。
幼い記憶ながらあれを食べた時だけは少し満たされたようなそんな充実感があったような気がした。
ロレンツォ数年ぶりに山を降り自分を捨てた村へ行くと村人達を食い荒らした。
そして気づく、人間があまりにも美味である事に。
そして、そこからと言うもの村や町を探しては人を食い散らかし、人々から恐れられた。
とうとうロレンツォの討伐隊も組まれたが見事に全員喰われる始末。
しかしある1人の冒険者が半年をかけ、ある日は注射し、ある日は口から摂取し、またある日は全身にかぶり、またある日は体内に直接移植し、ありとあらゆる手段で毒を全身に巡らせロレンツォに喰われる生贄に名乗り出た。
その甲斐あってあまりにも凄まじい猛毒達により、その冒険者を丸呑みにしたロレンツォは息を引き取った。
その亡骸から漏れた魂は招かれるように、とある神殿へと辿り着いた。
勇者試験・架橋編終了となります。ここまで読んで良かったと少しでも思っていただけた方がいたら星5評価、ブックマーク是非よろしくお願い致します。




