30話 使命
続く数日間は、滅多に訪れない黄金色の穏やかな静寂の中で過ぎ去っていった。
何ヶ月ぶりかで、家族はシンジケートの刺客から逃げ惑うことも、帝国の巡視兵をかわすことも、超自然的な存在の影に怯えて身を潜めることもなくなった。『蒼松館』は真の聖域となり、高い石造りの壁と静かな庭園が、下界の喧騒と混沌から彼らを柔らかく守っていた。
日々はすぐに、温かく規則正しいルーティンを確立していった。
毎朝、焚かれる白檀と新鮮な高麗人参の香りが山の上から漂い降りてくる頃、屋敷は活気を帯び始めた。
筆頭執事――元船長は、恐ろしいほどの情熱をもって新たな役割に適応していた。仕立ての良いスーツを鎧のように着こなし、真鍮のベルと公式の台帳を手に廊下を行進した。彼の指揮のもと、元乗組員たちは庭を掃除し、暗色の木製龍柱を磨き上げ、大厨房で豪華な朝食を準備した。
大広間では、ジャンヌが錦鯉の池を見下ろす陽当たりの良い縁側に座っていた。屋敷の新鮮なハーブティーによるケアのおかげでつわりも徐々に和らぎ、絹の衣の下にある妊娠八週目の小さなお腹も心地よさそうだった。ヒノラとヨウカは磨き上げられた畳の上をおぼつかない足取りで歩き回り、新しく覚えた言葉を喃語で口にしながら、庭に舞う鮮やかな蝶を追いかけていた。その歩みは日に日に確かなものとなっていた。
昼下がりになると、四隅にある専門の離れは常に活動の熱気に包まれた。
鍛冶場:ダンテとアビゲイルが東の離れを占有した。ダンテが焔の操作で金床を熱する傍ら、アビゲイルは未来の機械設計の知識を生かし、複雑なゼンマイ仕掛けの木製玩具やカラクリガジェットの設計図を描き上げた。アーニャとフィンは実質的に鍛冶場に住み込み、近々立ち上げる副業のための試作玩具の組み立てを意欲的に手伝った。
錬金術の炉:ジャンヌは毎日北の離れで数時間を過ごし、現地の薬草をテストしながら『炉と薬草』のための融合レシピを試作した。小さな精霊の少女はここで過ごし、冷たい大理石のベンチに静かに座り、自身の生来の氷のマナを使って、未来のお義母さんのために抽出されたハーブエキスを一瞬で急速冷却する手助けをした。
練武場: 夕方近くになると、ラッキーが南の離れを占有した。鏡張りの静かな空間で、彼はゆっくりと深く集中した呼吸法を行い、胸の中の『ヴォイニック手稿』を取り囲む精神の檻を研ぎ澄まし続けた。アートファクトは静かで規則正しいハミングへと落ち着き、その混沌としたエネルギーはラッキーの膨大なマナのプールへと完全に統合されていた。
陰陽閣に黄昏が訪れ、白石の多宝塔を紫と黄金のグラデーションに染め上げる頃、全員が大食堂に集まった。
夕食は賑やかで、賑やかで、生命力に満ち溢れていた。ラッキーは上座に座り、その巨大な体躯を寛がせながら、増えていく家族の姿を目に焼き付けていた。ジャンヌは彼の隣に座り、テーブルの下で彼の手を温かく握りしめていた。ノスタルジーの静かな切なさは、いまや現在という絶対的な充足感へとゆっくり溶け去っていた。
食べ物があり、富があり、安全があり、そして自分たちのものと呼べる一棟の邸宅があった。基盤は築かれ、世帯は落ち着き、家族は『薬学の都』が次に何をもたらそうとも立ち向かう準備が整っていた。
山峠の朝の空気は、陽光が陰陽閣の白銀と黄金の尖塔を照らし出す中、鋭く凛と冷え切っていた。
都市の中央駐屯地の正門前では、新兵たちの列が硬い隊列を組んで立っており、安っぽい革の鎧が風にきしんでいた。彼らのほぼ全員が若く、未熟で、極度に緊張していた。
――そして、そこにラッキーがいた。
教官たちよりも頭半分高く、陰陽閣防衛軍の青と銀の戦術チュニックを胸幅いっぱいに着こなしたラッキーは、木彫りのスプーンの群れの中に転がる戦鎚のように異彩を放っていた。彼の暗い瞳は穏やかで、姿勢はリラックスしていながらも圧倒的な威圧感を放っており、胸の中の『第三紀元のアートファクト』は、彼の圧倒的な物理的存在感の下で完全に抑制され、静かにハミングしていた。
傷顔の高級士官が、青銅の階級章が載った木製のトレイを持って列に沿って歩いてきた。彼は新兵たちの前で立ち止まり、線が一本もない無地の真鍮クリップ――階級のない下っ端『新兵』の証――を手渡していった。
士官がラッキーの前に到達した時、足を止めた。市役所から回ってきた書類――最高等級の承認印と異常な額の裏金の存在が記された紙――を見つめ、それからラッキーの微動だにしない体躯を見上げた。
「ラッキー、だな?」男の恐ろしいほど静かなオーラを推し量りながら、士官は目を細めて唸った。「上層部は貴様の体力測定の結果を一目見て、通常の下っ端期間を飛び級させた。だがな、この街じゃ金で指揮権は買えん。現場で実力を証明してみせろ」
士官は一本の銀の線が刻まれた滑らかな青銅の階級章を拾い上げた。それは軍の階級組織全体で下から二番目にあたる『分隊長』の証であり、正式な士官領域への第一歩だった。
「貴様は『五人長(分隊長)』からスタートだ」士官は一本線の階級章を、ラッキーの襟の左下襟にしっかりとピンで留めながら言った。「部下は新兵が五人。生かして戻し、外周警備を徹底し、命令に従え。ミスをやらかせば、その線はすぐに剥ぎ取る」
「了解した」ラッキーは低く重々しい声を響かせ、その声の重量感に周囲の新兵たちは思わず身をすくめた。
十分後、ラッキーは第二庭園へと案内された。そこには配属された彼の分隊が待機していた。
それは……控えめに言っても、実に雑多な顔ぶれだった。家業の薬草屋で働くのを避けるためだけに軍に入ったかのような、目を丸くしたウブな新兵が四人と、緊張した面持ちの槍兵が一人の計五人。全員が一本の線すらない、無地の真鍮クリップ(新兵章)を胸につけていた。
五人の若い兵士たちが、自分たちの新しい分隊長――一本線の階級章をつけ、世界の終わりを数度生き延びてきたかのような巨漢の男――が歩み寄ってくるのを見た瞬間、彼らは即座にガタガタと震えながら直立不動の姿勢をとった。
「分、分隊長閣下!」一番若い兵士が裏返った声を上げ、自分の兜を叩き落としかねないほどの猛勢で敬礼した。
ラッキーは五人の若者の前で立ち止まり、両手を後ろで組んだ。襟元の一本の銀線が朝日に煌めく中、彼は読めない表情で彼らを見下ろした。
「休め」声は静かだったが、庭園の壁に低く響き渡った。彼は一人ひとりの目をじっと見つめた。「俺の名前はラッキーだ。俺の分隊にいる限り、俺の指示に従い、周囲に気を配り、誰一人死ぬな。分かったか?」
「はい、隊長!」五人の新兵は異口同音に絶叫した。恐ろしさに震え上がると同時に、絶大な安心感に包まれながら。
ラッキーは静かに息を吐き、口元に微かな自信に満ちた笑みを浮かべた。一本の線は、ほんの始まりに過ぎない。陰陽閣防衛軍の頂点への登攀が、ここに正式に幕を開けたのだった。
軍中央駐屯地の石造りの回廊に、磨き上げられたブーツの鋭い足音が響き渡った。最高司令部の青と黄金の外套を纏った高級伝令官が、第二庭園へと足早に足を踏み入れてきた。
彼は蝋で封印された木製の書状筒を手にし、ラッキーと配属されたばかりの分隊の真前でピタリと立ち止まった。
「分隊長ラッキー!」伝令官の声が庭園の壁に反響した。「都市防衛局の命令により、貴官の分隊に初の正式任務が発令された!」
ラッキーは前へと一歩踏み出し、伝令官を見下ろすような巨大な体躯で書状を受け取った。「意図を述べよ」
「過去三週間にわたり、東絹地区において七名の市民――主に若い薬草採集者や夜勤の薬種商の見習いたちが、何の前触れもなく姿を消した」伝令官の口調が、重々しく落ち着いた真剣なものへと変わった。「身代金の要求もなければ、争った形跡もない。現場の巡回部隊は手一杯であり、最高司令部は新たな視点での調査を求めている」
伝令官はラッキーの手にある書状を指し示した。「これは『D級調査任務』だ。貴官らの目的は東絹地区に潜入し、住民から情報を収集し、失踪の原因を特定して報告することにある。直接攻撃を受けた場合にのみ、武力の行使を許可する」
「了解した」ラッキーは低く唸り、蝋の封を叩き割ると、中に収められた地図と被害者のプロフィールに素早く目を通した。
彼の背後では、五人の分隊員たち――線のない無地章の新兵たちが、不安そうに目を丸くして視線を交わし合っていた。
「し、失踪事件……?」薄汚れた革鎧を着たレンという十八歳そこそこの細身の少年兵が、固く唾を呑み込んだ。「隊長……東絹地区は、見捨てられた旧錬金下水道に接しています。夜になると排水溝から奇妙な音が聞こえるって、噂になっているんです……」
ラッキーは書状を丸めてベルトに差し込むと、暗く屈せぬ眼光を五人の部下たちに向けた。襟元の一本の銀線が、山の陽光を受けて鋭く煌めいた。
「なら、その不気味な音を二度と鳴らなくさせてやるまでだ」ラッキーの低く深い声から放射された絶対的な自信が、新兵たちの不安を一瞬で吹き飛ばした。「装備を点検しろ。槍先を研ぎ、革紐を締め直せ。五分後に出発する」
「はい、隊長!」五人の兵士は絶叫し、素早くピシッと敬礼を決めると、慌ただしく装備の再確認に取りかかった。
駐屯地の敷地を後にし、ラッキーは小隊を率いて活気あふれる通りを抜け、東絹地区へと向かった――そこは、染色された絹の反物が頭上に垂れ下がり、山壁の影に干し薬草の濃密な香りが立ち込める、狭い路地が入り組んだ迷宮のような区画だった。
分隊長ラッキーが、自らの分隊の『仕事の流儀』を陰陽閣の軍部に示す時が来たのだ。




