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僕は無難にニューライフがしたい  作者: OGRE
異世界転移と拠点の構築
6/221

6ー楽しい楽しい生産活動ー

 おはようございます。転生して活動開始から5日目。

 今日は保存食を作る作業をしている。焼肉は確かに美味しいけど、前世では香辛料がある生活にどっぷり使っていた僕には物足りなかった。その香辛料になりそうな植物をレオパード班の一部が発見し、持ち帰って来てテンションが大爆発。

 大爆発し…調子に乗って菜園を拓いた。基礎魔法で植物を促成し、広範囲に種付けしてある。

 調味料は偉大だ。今のところだけど、周囲に海は見当たらない。だけど塩と言うだけなら入手はできる。レオパード班が採取してきた岩塩を精製し、塩味をゲット。岩塩の存在を皮切りに、植物系のスパイスの多くをレオパード班が採取してきた。ただし、現在は採取してきたサンプルだけ。まだ、余裕をもって食べられる程の量はなく、気兼ねなく調理に使える日が実に待ち遠しい。


「ご主人! 次、コレ!」

「その次、コレ!」

「コレも!」

「全部ー!」


 肉を食べるようになって一番人気になったのは王道の“コショウ”。もちろん岩塩と合わせて塩コショウ。この味付けは基本中の基本だ。絶賛コショウの栽培を開始している。僕の製作者のスキルの中には農耕系のスキルも含まれており、植物の体力と僕の魔力次第なところはあるけど、生産を加速できた。様々な作物を持ち込んできているので、増やすことを念頭に菜園で育て始めている。ただ、求められても直ぐには増やせない植物ももちろんある。それは砂糖だ。

 砂糖と言われてまず思いつくのはサトウキビなのだけど、サトウキビはどれだけ探しても発見できなかったらしい。だけど砂糖は基本的な調味料の一つであり、味付けの基本の一つとも言える。だから僕としては欲しいのだが、僕には心当たりがなかった。……が、まさかの森の中にその解決策が存在していたらしい。甜菜だ。ただ、甜菜の栽培方法を僕は知らないので、他の物からも“糖”を抽出することにした。


「味ニ深みガ出ましたナ」

「塩コショウモいいガ、果物ノ風味モ良い物。アタイは気に入っタ」


 連中は肉さえ食べれればいいようだけど、僕は違う。僕は元々からして生粋の日本人。まあ、現代人なので食の多様化も進んでるから、米だろうがパンだろうが美味しく食べますけどね。

 そこで菜園のほとんどはレオパード部隊が発見してきた水稲の原種と、様々な麦類の原種の栽培に使っている。全体から見れば調味料用の作物の面積なんて微々たるもので、殆どが僕のために用意した田園と小麦畑だ。また、他の個体が持って来て育てて欲しいと言うので、芋類や根菜類の畑もそこそこ面積をとっている。でんぷん質の補給ができる意味では芋も準主食だし、根菜類は乾燥させて保存食にし易いので。

 実験的に作って気に入られたのがダイコンの浅漬け。僕個人の希望としては早くたくわんが食べたい。ご飯のお供やお茶のお供に最高だし。もとより保存食の一つだからね。


「ご主人! 作物いっぱい! いつ収穫?」

「大丈夫。収穫できるようになったら柵のてっぺんについてる石が光るから。そしたら皆で収穫だよ」

「は~い! ねえねえ、ご主人! 果物! 持って来たヤツ、植えて!」


 これについては先ほどの砂糖の話に帰結する部分なのだけど、砂糖と言わずとも甘味はある。

 まあ、森の野生種なのであまり期待していなかったのだけど、異世界産フルーツは奇天烈な物が多かった。結局は砂糖を精製し易く大量生産し易いはずのサトウキビは発見できなかった。その代わりにそのサトウキビの生産能力をはるかに上回る速度で生育し、果糖を簡単に手に入れられる植物を発見できた。今はその実を乾燥させて果糖寄りの砂糖を得ている。

 異世界産フルーツの発見を喜び、特に果物に食いついたのはヒノエとキノト。元から花の蜜や柔らかくなった果物、虫を食べる彼らからすれば果物は主食に近いのかもしれない。

 奇天烈野菜も多いけど、奇天烈果物には本当に驚かされるよ。僕個人の奇妙奇天烈一等賞は“ガムシロップの実”だ。とにかく甘い。濃縮された液状の果糖が詰まっている実で、地球で言うならアブラヤシの実の形。ちなみに種はその中心にあり、ガムシロップのように甘ったるいそれは以外にも栄養価が高いらしく、多めに栽培することにしている。


「前世の世界との差が大きすぎて予想が立たない……。米はまあそれに近い見た目と触感、味の植物を育ててるけど大丈夫かな」

「そこハ考えてモ仕方ありませヌナ。成る様ニなりまショウ」

「めんどくさい事にならなければいいけどね」

「でーじょうぶダッテ! 俺達ガいんだからヨ!」


 ペット部隊はお気楽でいいが僕としては凄く怖い。動物の魔物が居ると言う事は植物の魔物も居ると言う事なのだ。つまり、種や果実の状態で僕の所に持ち寄られた多種多様な物も、普通とはかけ離れていると予想できるからだ。

 外観上それに見える作物としてはコメ、ムギ、アワ、ヒエ、キビなどの代表的な穀物に始まり……。多種多様なマメ類各種、トマト、ピーマン、ナス、オクラ、ニガウリ、キュウリ、カボチャ、トウモロコシ、スイカ、メロン、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、カブ、ニンジン、ダイコン、ゴボウ、ネギ、タマネギ、ニンニク、シソノハ、コマツナ、ミズナ、ホウレンソウ、クウシンサイ、レタス、キャベツ、ハクサイ、アイスプラントなど。これらは僕の分かる範囲だ。母親の実家が農家だったから幼い時は畑周りで見た事がある。

 それから果樹の類。これは僕も詳しくない。南国の果物などは本当にポピュラーな物しか分からないが、形状からコレだろうとは思う。アケビ、キイチゴ、ベリー系、モモ、サクランボ、リンゴ系、ミカン系、レモン、オリーブ、ブドウ系、マンゴー、バナナ、ライチ、ランブータン、マンゴスチン、果物かは微妙だが栗など。それから普通なら樹に鈴生りになりえない作物がいくつか樹木に生り始めている。パイナップル、ドリアン、イチゴなどが僕にも判る奇天烈作物だ。

 あと、先に言っておくけど、これらの作物は単純に形がそう見えるだけで、必ずしもそうではないと確認が取れている。なので、便宜上そういう名前で呼ぶけど、必ずしもその作物と同じとは限らない。何しろ苦いはずのニガウリが真緑の状態でめっちゃ甘かったから。


「生育もかなり早いしね」

「それハ主殿ノ魔力ト、スキルに引き寄せラレテいるのでショウ。主殿ノ職業は製作者。物を作る事、全般ニ幅広く効能ガあるノかと」

「でしょうネ。私達も武技ヤ、回復魔法などニ特化しておりマス。そこから考えれバ、ご主人様ノお力ガ関わっテいるト思われマス」

「それよりモ、いいノカ? ちいせえヤツらガ、またはっちゃけルぞ?」

「まあ、任せちゃえばいいんじゃない? 僕の監督中の行程を狂わされるのは気になるけど、彼らが独自でやるなら僕は文句を言うつもりはないよ。周りに迷惑をかけなければね」

「そうカ……。ぜってー、やらかすト思うゼエェ……」


 やめてよペロ助……。そう言う事言っちゃうからフラグを回収するんだぞ? ……などと思っていたが、今更だと僕は諦めがついている。体こそ比較的小さいままのレオパード部隊やファットテール部隊だが、連中はその体の大きさなどものともしない労働力だ。正直、作物の収穫などは皆でやらないといけないかな? と考えていたけど、つまみ食いを容認することを条件に例の二部隊に一任したらば、彼らだけで収穫作業は完了させていた。能力は高いんだよな。アイツら……。

 それから製作二部隊のクリエイティビティは、必ずしもやらかし方面に尖っているわけではない。

 地球にいた頃とペット部隊は全く違う種族であり、全く違う能力や知性を持ち合わせる存在に昇華している。確かにやりたい事、欲しい物を作れるようになり、テンション爆上げ状態ではっちゃけることは多いが、その中に思いやりや慈愛の精神が盛り込まれていないことは無いと言う事だ。ユーザビリティの配慮はもちろん、自分達優先というわけではなく優先順位をつけることくらいなら普通にできるのだよ。茶目っ気が強いことは否定できないけど、彼らは根っからの職人。作る物は完璧だし、その後の改良やメンテナンスもちゃんと請け負う。僕も見習わなくてはならないところはある。


 ~転生6日目~


「でけたー!」

「かんせーい!」

「ぱーふぇくとー!」

「いやーふうーっ!」

「見張り小屋ー!」

「倉庫ー!」

「錬金小屋!」

「調薬室!」

「実験質!」

「鍛冶小屋!」

「露天風呂!」

「加工小屋!」

「解体小屋!」

「見て見てーっ! 見に来てーっ!」


 ……。おはようございます。朝も早くから体格の小さな仲間達に叩き起こされた。

 僕もどんなに大きくみても身長50㎝程度の幼児だから、彼らの事をどうこう言えないが……。朝から僕の体によじ登って騒がしくされるのは困る。僕の寝室?は洞窟の一番奥の部屋を新たに作り、隠し扉と緊急避難用の脱出路もある少し凝った造りの部屋だ。僕の工房も兼ねているので、既にあちこちに木製の棚や机を置いてあり、森で野生の綿を見つけたのでかき集めて繊維にし、布に加工してハンモックも用意した。あ、もちろん綿も生産開始。

 現状で原始的なのは照明。照明以外は割と文明的だよ。ファットテール部隊が中心になり、通気孔をあちこちに作ってあるので、酸欠で死ぬことも無い。たぶん、照明もその内なんとかなるんじゃないかと思う。そういうファンタジーな鉱石とかありそうだし。

 

「こらこら…者共。主殿ヲ困らせてハならヌ。落ち着け」

「「「「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」」」


 今日の夜番をしてくれていたマサムネが僕に集ってくる小さな仲間達を、摘まみ上げて引っ剥がしてくれる。見た目は愛らしいのだが、レオパード部隊もファットテール部隊も、その愛らしいサイズと外観には似合わない怪力を既に併せ持っているからね。無理に取り外そうとすると、せっかく作った綿製の衣服がボロボロになってしまう。

 僕らが転生したこの世界は“天職”と呼ばれるその個人にマッチした職業があり、その職業には“職技(ジョブスキル)”と呼ばれる特殊技能が存在している。スキルを使用すると疲労し、あまり無理をすると倒れてしまう。それでいてスキルは熟練度で成長していく。使えば使っただけ製品の完成度や武技の威力が高まるようになり、生産速度や発動までの速度や発動後の硬直などを軽減できる。そう言った特殊な権能が当然のように存在する世界なので、職業はとても重要だ。

 話が盛大に逸れたけど、ここで漸く生産二班が作り上げた施設の話に帰結する。

 実は職業スキルには成長以外にも強化する観点があり、他の要素によりバフをかけることが可能なのだ。それが外部的環境となる施設の存在になる。また、バフというだけでなく、固有の施設が無ければ発動不可能な職業スキルも存在する。だからこれまで手を出せずにいた物事に手を伸ばす時が来たのだ。


「いずれノ施設モ、本格的デスナ」

「うん。いい施設だね。……でも、ちょっと気になったんだけどさ。君達はこの施設建造の知識をどこから引っ張り出したの?」

「ご主人ー!」

「記憶!」

「思い出ー!」

「知識!」

「共有!!」

「「「「「「「「「「「「「仲良しいーっ!!!!」」」」」」」」」」」」

「……う゛う゛ンっ! わたくしガ補足いたしマス」


 なんでも転生直後から、ゴブリンの集落を壊滅させた時から僕らには繋がりのような物があるそうだ。

 ファンタジー的な知識で一番分かり易い言い方をするなら“従魔契約”となる。ただ、僕と彼らの間ではそれ以上の契約が結ばれているらしい。マサムネが言うには、僕と皆の信頼関係により効力が上下する魔法契約のような物で、どちらか一方が支配するような契約ではない。

 転生特典にある“テイマー”の知識を見るに、従魔化は隷属化と何ら変わらず使役する側が完全に支配する契約になる。しかし、僕らの契約はそれ以上に強い繋がりがあり、僕の成長と共にさらに強化される信頼関係により、強力なパスを繋ぐ魔法的契約なのだそうだ。押さえつけて使役する従魔とは似て非なる物。その“(パス)”が僕と繋がっており、許可さえあれば僕から知識だけでなく魔力なども引っ張り出すこともできるそうだ。


「ふ~ん……。僕の浅知恵から掘り起こしただけでこんなに形になる物なんだね」

「それだけデハ、ございませン。この世界普く者ニ職業スキルガございマス。ある程度ノ外形サエ整えバ、その職業スキルガ補填します。わたくしドモニハ、主殿ノ叡智ガ授けラレテおりマス。異世界ノ先進的知識ガこの世界ニハございまセン」

「そういうことね。技術的な知識が無いからこっちの世界では不可能だけど、僕の浅知恵だとしても主軸の技術の一部と発想が整えば、あとはスキルで何とでもなると……馬鹿げてるな」

「エエ……。わたくしモ少々、恐ろシクありまスル。しかし、主殿ノ生活ヲより良き物トするならば、コヤツらノ働きハ素晴らしい物カト」


 神妙な表情の僕を不安げに見上げていた生産二部隊の隊員たちだったが、僕が素直に褒めてやると僕の周りをクルクル走り回る。賑やかなヤツらだ……。前世の知識とこの世界のスキルの組み合わせは場合によっては危険かもしれないが、僕の生活を便利にしていくには都合がいいのかもしれない。

 今のところは相手から関わって来ないならば、僕は外部に手を拡げるつもりもないので、技術の漏洩や伝播もないだろう。この世界にとっての劇薬になりかねない先進的技術の扱いには、注意しなくちゃいけないかもしれないな。……まあ、スキルがあったとして、それを使用可能な知識が無ければ使えないだろうけども。先を気にしても仕方がないか。今は生産二班が案内してくれる新設備を見学させてもらおう。

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