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僕は無難にニューライフがしたい  作者: OGRE
異世界転移と拠点の構築
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3ーゴブリンの巣リフォーム工事ー

 僕の仲間達がゴブリンの巣を強襲、作戦立案は僕という形でかなり順調にゴブリンの巣を壊滅させた。

 転生の後すぐのできごとで、それなりに困惑したけど上手く行ったと思う。それから僕の懸念は杞憂に終わり、ゴブリンの巣となっていた洞窟には裏口など無く、ゴブリンの上位種達のほとんどが戦闘狂のペロ助に殴り倒された。ゴブリンロード以外はほとんどが鎧袖一触。妙に喧嘩慣れしているステゴロスタイルには恐怖を覚える。


『お疲れ様にございます。主殿に授けて頂けた策謀により、我が陣営には死者は愚か重傷者すらおりませぬ』

「お疲れ様、マサムネ。僕は作戦の外形を作っただけだよ。今回の作戦の実態は君の貢献が非常に大きい。これからもよろしく」

『有難きお言葉。恐悦至極にございます』


 マサムネの言う通り、重傷者は一体も出なかった。武器防具を使わずに殴り込みをかけていたペロ助がかすり傷程度は負っていただけだろう。そのかすり傷も転生特典なのか、種族が変わったことによる強化が理由なのか直ぐに塞がっていた。正直、転生したばかりなのだが、僕の周りの戦力が心強すぎる。

 僕自身はあまり戦闘に向かない職を選んだ。その為にペット部隊に頑張ってもらう事になってしまうけど。そこは持ちつ持たれつ。やれることをやれるようにやる部分だ。

 僕の権能が特化しているのは生産系の能力。体は思うように動かないが、この世界には“魔法”という特殊なツールがあるのだからそれを上手く使って行きたいと思う。……その前にゴブリンの巣だった状態では不衛生で生活したくない。ペット部隊にマサムネを介した跨ぎ指示を出し、ゴブリンの巣を快適な居住空間へと変えていく。某リフォーム番組もビックリなビフォーとアフターをご覧に入れよう。


『主殿。ヒノエ、キノト、アカメカブトトカゲ特殊部隊、レオパードゲッコー部隊のブラックナイト班も欠けは無く。ロードの逃亡が無かった故、近隣の森林部をマッピングして来たそうで』

「おお、有難いな。まだ報酬は出せないけど、調査隊の皆を十分に労ってあげて」

『お心のままに』


 ゴブリンの巣は全体的に臭う。生臭いと言うか、腐臭が立ち込めている感じがしたので……。転生特典で光の神が知識に植え付けてくれていた“生活魔法”で清掃していく。僕の内在魔力は極めて膨大らしく、その有り余る“魔力(オド)”を出し惜しみせずに“清掃(クリーン)”の魔法を隅々まで行使。

 魔法は万物に満ち、普遍的な要素である“魔素(マナ)”を精神力を元に凝集し、確固とした想像力をもって、常世に超常の現象を顕現させるこの世界では一般的な物だ。以前の世界では空想上のそれだったけど、有難いことに転生特典によって齎された知識には助けられている。

 清掃の次は洞窟内の整理だ。この世界のゴブリンがどういう存在なのか知らない。だけど、正面からぶつかったマサムネ曰く、口が裂けても頭がいいとは言えないそうで……。だから、そこそこ覚悟はしていたけど、かなり洞窟の中は荒れていた。こびりついた汚れが凄い。汚部屋を超えているレベルだ。


「ファットテールゲッコー部隊の皆。ちょっと手伝ってくれない? 物品の整理と明らかにゴミっぽい物の処理をお願いしたいんだけど」

『『『『『『『『『『『『フシュッ!!』』』』』』』』』』』』


 フニフニ尻尾が愛らしく、目の色が暗い個体が多いので似た見た目の別種よりも可愛らしい印象の陸生ヤモリだ。外観が凄く似ているレオパードゲッコー達は爬虫類独特の瞳が目立つので、若干ワイルドな感じだが、僕からすればどちらも可愛らしい。

 普通なら四足歩行の連中だけど、転生後は二足歩行になっており機動力も上がっている。筋力も異世界仕様なのか体積が自分の数十倍以上の物を軽々と運搬していく。とても素直な性格の個体が多いらしく、言語こそ伝わらないけど指示通りにしっかりと仕事をしてくれた。

 異世界ファンタジーのテンプレートとして、ゴブリンは基本的には弱い。数に物を言わせ、その中に上位種が生まれることで疑似的な文明のような物を構築する。そこらの山賊よりも厄介な自然災害のような扱いの魔物だ。……最後に残る面倒事。ゴブリンは繁殖力が高く、性欲の塊のような魔物。人の形をしているが、厳密には小鬼に区分される魔物で……。女性の敵と言える魔物なのだ。つまるところ、そういう拉致された存在が居るのかと勘繰っては見たものの、この巣は人里からかなり離れた場所にあるせいか、そういう存在は無し。良かった。


「うん。そこそこ整理できたね。人やそれに近い生き物の遺品とかが少ないのはちょっと面倒だけど、この巣は上手く使えると思う。このまま住居に改築しようか」


 魔法を使う方法はいくつかあるけど、何回か清掃の魔法を使って分かったことは、体内の魔力を練りイメージした物を顕現させるやり方が一番効率がいい。

 理由は“魔素(マナ)”と“魔力(オド)”には差があるから。転生特典の知識にもざっくりした物はあるのだけど、それを実践し形にすることで理解が深まったと思う。それから魔法はなんでもできる術法ではない。そこは地球での生活と同様で、何事も等価交換という事だ。確かにそれだけの量の魔力を注ぎ込めばそれなりの事はできるけど、割に合わないことの方が多かった。だから、そういう時は素直に常世に鏤められている素材を利用する。これがこの世界で僕がすべきこと。

 生活を便利にし、僕と僕の扶養家族たちの安全と安定を保証する。これこそが僕の望んだ“無難にニューライフ”だ。


『『『『『『『『『『『『フシューーーーーーーーーーッ!!』』』』』』』』』』』』


 僕よりも内装にこだわり、職人気質なファットテールゲッコー部隊の歓声が洞窟内に響いた。彼らのせいでかなりの魔力を消費したけど、転生特典にあった魔力切れの兆候は来ず。僕の内在魔力の非常識な量を実感しつつ、清掃、整理、改築の終了と共に洞窟を一度出ることにした。

 有り余る魔力を遠慮なく注ぎ込み、できることとできないことの検証を行っていたのだが、時間感覚が完全に失われていたらしい。僕が目覚めた時はまだ明るかったが、外に出てみたら既に日が落ちていた。時計などという機械製品は無いし、洞窟内は時間の感覚が気迫になりやすいと聞いたこともある。つまりはそういう事なのだろう。


『お疲れ様にございます。主殿。拠点の整備が終了されたのですか?』

「うん。ざっとね。“ゴブリンの巣”から“僕らの家”にはできたよ。まだまだ家具や内装は不十分なところはあるけど、寝起きするには十分だと思う」

『それはそれは……。ご無理はなされておりませぬか?』


 マサムネがチラッと僕の後ろで誇らしげに胸を張っているファットテールゲッコー部隊の面々に視線を向けた。いや、まあ、かなりこだわられたけど、それでも僕の魔力は枯渇していない。なので僕としては問題ないと思う。

 ゴブリンの巣だった時は本当にただの洞窟だった。それだけでは崩落が怖かったので、添え木や後付けの柱を設置。部分的に天上を魔法で作った凝縮石レンガで固めたりとかもしているけど、そこまで手の込んだことはできていない。いずれは元々は人だった僕が生活し易いように改造したいと考えている。もちろん、ペット部隊の事も忘れていない。ただ、彼らも僕も転生後の種族の成長速度や最大サイズが分からないので……。その辺りも追々になるだろう。

 こんな相談をペット部隊の代表のようになっているマサムネと交わす。そうこうしている間に、森から何かを引き摺る音と、草木をかき分ける音を響かせながらペロ助と、アカメカブトトカゲ特殊部隊が顔を出した。その後ろには何かを引き摺っている太陽の姿もある。


『食料の調達班が帰還したようですな』

「君達の食事は虫とかじゃなくて大丈夫なの?」

『おそらく、この世界に適応した存在に変異したことで、大概の物は食事として受け付けるかと』

「異世界特典凄いな」

『まことに便利なことこの上ありませんな。それでは、我らが解体と処理を行いますので主殿はお待ちいただければと』

「いや、たぶん僕の方が直ぐにできるよ?」

『……いえ、我々の個々人も技術を得ねばなりませぬゆえ』


 マサムネは真面目だな……。そう言う事ならばと、僕が使える魔法で段階的に処理を行った。

 得物は全部で3頭。巨大なワニのような生き物と、巨大な猪、それから…コイツはコカトリスでは?

 まあ、怪我人も出ずに狩猟で来たのであるならば問題なし。得物についている傷からして巨大なワニを倒したのはペロ助。巨大ワニの顔面を覆っていた堅い甲殻がズタボロだったから……。ペロ助の体表を覆う鱗は、魔力を通すと触れた者に裂傷を与える攻撃的な鎧に早変わりする。それから彼の指は長く、握り拳を作っても爪が露出してしまう。その切れ味鋭い爪が触れた箇所がズタズタなのだ。基本的には武器を使わず、素早い身のこなしと一撃の重さで沈めるスタイルのペロ助。その彼に狙われたら最後なのだろう。

 二体目の大きな猪はフトアゴヒゲトカゲの太陽が倒して来たようだ。どんな切れ味をしているのか知らないけど、彼の生体武装である魔装により、剛毛と厚い脂肪と筋肉に守られた頸動脈を一太刀。出血多量で死に至ったようだ。傷が少ないので、皮革も上手に剥げば使えるだろう。

 最後のデカい鶏に蛇のような形の尾がついた魔物。……コカトリス。鶏の頭部と蛇の尾の先端に物凄い数の矢が突き刺さっている。彼らも特殊な魔法が使えるはずだが、できるだけ綺麗に仕留めるために頭を狙って狙撃に徹していたらしい。トドメとなった矢玉は見事にコカトリスの眉間を捕らえており、鏃が後頭部から飛び出ている。他の矢も胴や嘴などの素材になりそうな場所を避け、確実に頭部へと射かけられている……。マジで怖いな。こいつら。


『主殿の魔法は利便性の高い魔法が多いようですな』

「そうだな。加工方面に特化した魔法が多いからね。こういう解体作業もお手の物ってところかな」

『ふむふむ。では、見学させていただきます』

「了解」


 バカとハサミは使いようってわけでしてね。魔法だって僕だって使い方だ。もちろんの事、物理的に影響が出る手先の技術も必要不可欠だけど……。僕の場合は未だに体が動かしにくいので、魔法に頼り切りだけど、この精密魔法操作の訓練は後に役立つと勘の部分が言っている気もするしね。どの魔物も丁寧に革を剥ぎ、内臓の仕分けと処理、肉を骨から削いで骨も素材にする。

 それからどういう理屈かはわからないけど、解体作業中に僕のスキルが強化され、詳しい鑑定のような魔力異存の権能が手に入った。それまでは利用可能か利用不可能かを基準に分別していた内臓なども素材になることが判明。適切な処理が必要な物も少なからずあり、現状ではその適切な処理ができない物は廃棄だけど……。使える物の幅が増えて僕も皆もにっこり。

 順を追って解体を行ったから少し時間はかかったけど、お待ちかねのディナータイムだ。僕もそうだけど、この場の全員がもう肉の誘惑には逆らえず、生肉のまま齧りつきそうな表情をしている、だけど、それはもったいない。ここはもう一手間。少しの我慢で非常に美味しくなるのだから。


「本当は熟成した方が美味しい部位もあるんだけどね。それこそ設備を増設しないと実現できないし」

『ふむ。それは良い情報ですな。主殿がご無理をすることはこのマサムネが全力でお止めさせていただきます。…が、主殿の叡智が形となり皆の笑顔が増えることは……わたくしも喜ばしきこと。主殿……。前の生から引き続き、これからもよろしくお願いいたしますぞ』

「うん。もちろんだよ」


 転生特典の知識にはないけど、僕も普通に焼肉を食べることはできた。実験として血なまぐさい生肉も食べてみたけど……。体に影響はないみたい。でも美味しくない。やっぱり寄生虫とか加熱で不活化できる毒素の事もあるし、何かしらの手を入れるのが正解かな? その辺もやっぱり時間と機会が必要な検証事項になってくるし、腹心的な感じに納まっているマサムネと一緒に何かしらしていくべきだと思う。

 そんな感慨に耽りながら、焚火で適度に火を通した肉を頬張る。宴会ムードの小さな仲間達とそこそこ大きな仲間達の嬉しそうな笑顔がこれからも見られるように頑張らねばならないね。

 その晩から元ゴブリンの巣だった洞窟を僕らの拠点とし、生活基盤を整えようと心に決める。いろいろ知りたいことも多いけど、この森での生活はいろいろ都合がいいからね。空には不思議な色の月が五つ並んでいた。怒涛の展開だったからか、漸く落ち着いたことからドッと疲れが出たらしい。僕は洞窟の奥に用意した皆の寝床で一緒に就寝するのだった。

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