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僕は無難にニューライフがしたい  作者: OGRE
ご近所付き合いも大事
20/221

20ー初めての土下座回ー

 転生後70日程経過。転生し二か月と少ししたのだが、僕に大きな変化はない。相変わらず身長60㎝の幼児ナウ。

 僕の悲しい現状はどうでもいいのだが、僕の目の前に痴女が出現している。どうしてこういう事になったかというと、例のキツネ事件が大きく関係してくる。そもそもヴィエラさんが自分の縄張りにおらず、僕達の拠点に居た理由も実はそれが理由だったらしいのだ。

 何故か知らないがヴィエラさん率いる狼軍団に連行された全裸の女性集団。そして、始まったのが全裸土下座大会。何故こうなったのか……。聞きたくないが聞いておかないといけない。

 事の顛末は僕の目の前でいきなり全裸土下座し始めたキツネの親玉から聞けた。簡単に言うとキツネの子分を使って僕達をストーキングしていたのは目の前で全裸土下座中のキツネの親玉。このキツネの親玉は僕達と友好関係を築きたかったのだが、何故か先に狼王ヴィエラが僕の近くに居た。そのヴィエラさんとキツネの親玉は仲が悪く、どうにかして引き剝がす機会をうかがっていたのが原因だそうで……。


「ま、まことにももも申し訳…ごごごご、ございませんでしたああああああ!」

「いや……、別に僕はやることはしたし、理由がそういう事ならもう同じことをしないでくれたら僕はかまわないよ。僕はね」

「おうっ! おうっ! おうっ! おうっ! おおおおうっ! 先にアタシが目をつけてたんだ。いつもいつもアタシが目をつけてたものをよう! その汚え手で掻っ攫うような真似しくさりやがってええっ! 今度という今度は絶対に…ぜええええええええええええッたいに…許さんからなあ!!!!!」

「という事なので、後はヴィエラさんとお話ししてください。僕は仕事に戻るんで、アディオースッ!」

「ま、まっ待って! 助けてっ! お助けっ! 擁護してええええええええッ!」


 その後の彼女達キツネの集団がどうなったのかは知らん。

 ちなみに何故全裸の状態で連行されて来たのかというと、単純にヴィエラさんやその参加の狼部隊にボコられ、内包魔力が枯渇寸前だったから。キツネ派閥は妖術を得意とし、相手を惑わし強襲したり、持久戦で相手を疲弊させたりと、とにかく陰湿な戦法が多いそうなのだが……。我が家のレオパード部隊が作った妖術対策の魔道具を装備した狼部隊によって蹂躙されてしまったらしい。

 ヴィエラさんや他の一定以上の位階の狼さんもそうなのだが、人状態の衣服は魔力や聖氣で造形される。

 つまり、キツネの集団はその親分であるタマモさん含め、全員が魔力枯渇ギリギリになるまでヴィエラさん率いる狼の戦士に可愛がられたと言う事になる。なので僕からの直接的なお仕置きは無し。そこまでやられたなら相応に恐ろしい目には遭ったことだろうし、何より全裸土下座とか言う尊厳も何もかもを打ち砕かれるような仕打ちを受けたんだからね。これ以上はやり過ぎになる。そもそも僕らの陣営からすれば、僕の気配を解き放っただけで報復としては十分だったんだよね。


「それで? あの後どうなったの?」

「あ~、うん。まあ、見るも無残な姿にされて元々遺跡部分に作った牢屋に放り込まれてるよ」

「いつの間にそんな物作ったの?」

「ああ、ファットテール部隊がいつぞやに作ってたぜ? 理由はアタイも知らんけど、結構張り切って作ってたからな。アタイでも脱獄は無理だな」

「まあ、牢屋の強度はなんでもいいけど、キツネさん達の処遇はどうなりそう?」


 あまりにも無惨と言うか、いろんな意味で過激なお仕置だったので僕は退場した。その後にもヴィエラさんに袋叩きにされたらしく、それはそれは無惨な状態だったらしい。その件に関してはシズカが知っていたので聞いたのだが……。R-18ワードが満載なので明言は控える。

 ヴィエラさんが何故ここまで苛烈にキツネの親玉であるタマモさんに落とし前を求めるのかと言えば、タマモさんには前科が分かるだけでもかなりの数あるらしい。魔物の森の太守ともあろうものが何をしているのか…とも思うが、ヴィエラさんが目をつけた男を何度もタマモさんが誘惑、魅惑、籠絡していたと言うことらしい。タマモさんもタマモさんで、ヴィエラさんを困らせるのが楽しかったと言うしょうもない理由でのヤラカシなので……。とにかく救いがない。自業自得だろう。

 とまあ、魔物の森の太守にも様々な関係性があるわけだが、二人のいざこざに僕の拠点を巻き込まないで欲しい。最近では元遺跡である場所もリフォームを始めているので、そろそろ終わりの無い私刑は終わりにして欲しいところだ。嫌なら場所を変えて欲しい。


「おーい。ヴィエラさん。お仕置は終わったかな?」

「いんやあ? コイツらには何度も煮え湯を飲まされたからねぇ……。アタシも簡単には許さんよお」

「いや、それなら別の場所でやってくんない? そろそろこの遺跡エリアもリフォームしたいんだからさ」

「ぬう……そうか。しかしなあ、コヤツはずる賢い。何度か捕らえた事はあるのだが、何度も逃げ出した前例がある故な」

「そういう理由があるのか。なら、こうしちゃえばヴィエラさんから離れられないし、離れたら離れたで大変な目に遭うんじゃない?」

「ぬ?」


 僕が使った物は固定範囲術式と、指定魔法行使術式を付与した首輪。タマモさんにそれを取り付けた瞬間に、背後でゾッとするような寒気を感じたが……。とにかく、ヴィエラさんに用法を説明した。ヴィエラさんから一定距離以上に離れると、指定した術式が発動するように設定した捕縛用のアイテム。今回のキツネ事件のようなことがあった時に捕縛し、無効化するための物だ。装着型以外にもいろいろあるけど、今はこれがベストだろう。

 基本は装着した者が指定されるが、僕なら術式介入くらい朝飯前。なのでヴィエラさんに操作権限を移譲した。それから指定行使される魔法も操作権限を持つ者が選択できる。あまり使いたくはないが、割と便利だとは思う。


「てめぇ……。後で覚えとけよ?」

「ひいっ! これは違う! 不可抗力! もうお仕置は嫌あ!」

「はあ? そんなもん知らん。アタシもまだプレゼントされてないんだぞお?」

「だ、だから! この首輪は拘束道具だから! あちきにプロポーズするためのアイテムとは違うから! いやだぁぁぁぁぁぁ! お助けえぇっ!!!!」


 貫頭衣を着せられた超セクシーな女性が首輪を捕まれ引きずられて行った。一応場所は変えてくれるらしい……。これで仕事が捗る。


 ~翌日~


 これで事態は終息したと思っていたのだが、どうもそうじゃないらしい。今日も朝の早くからヴィエラさんが顔を出した。その理由と言うのが時分も首輪が欲しいと言う理由だった。……よく分からんけど、獣人の一部にはそう言った文化があるそうで、タマモさんが拘束具とは言えども先に首輪をもらったのが許せないらしい。本音は知らんがな! と、言いたいが、タマモさんから哀願されているような鬼気迫る視線を向けられたので、僕の工房でヴィエラさんに似合いそうな首輪を探す。

 最近の作品だとアースドラゴンの皮革と牙で作ったかなりゴツいヤツがある。ワイルド系美人のヴィエラさんには似合いそうだが……。果たして好みかわからないので無難なデザインの首輪も持っていく。こちらはチョーカーのようなデザインの魔道具で、相手の現在地がある程度わかる優れものだ。対応の地図魔道具が必要だけど……。


「こんなのはどうです? 今あるのでまともなのはこの2つだけど」

「選ばせてもらえるのか?」

「別に欲しいなら両方あげるよ? 気分で付け替えてもいいし、ゴツいヤツはかなり緩めだから、チョーカータイプと二重にもつけられるし」

「な、なら両方欲しい……。そ、それから、私にもつけてくれまいか?」

「え? うん。いいけど」


 その後のヴィエラさんはかなり上機嫌だった。

 機嫌が良いのはいいんだけど、南方の太守をいつまで拘束する気だろうか? その辺は僕の関与するところではないから知らんけど……。問題はその他にもある。この南方の太守さんもこの拠点の食事をかなり気に入っていたこと。それからいつの間にやら彼女の娘さんだと言う八尾のキツネさん達が通うようになっていた。お土産持参だから拒否はしないが、そんなにフットワークが軽くていいのか?

 あと、ホンの悪ふざけでヴィエラさんがどんな術式を指定しているのか気になり、術式介入して人目につかない場所で発動してみた。


「あひんっ♡」

「ん? おかしいな。アタシは何もしてないんだけどな?」

「ひ、ひい……。あああ、あ、ああ……。だ、ダメえ、これ以上叩かれたらおかしくなるう……」


 イタズラしてそのイタズラを仕掛けた事を後悔した経験は少ないので、ちょっと複雑な感情に悩まされた……。まさかの任意発動型の術式で、尻を引っ叩くように組み上げられてるとは思わなかった。それからヴィエラさんは彼女に何をしたのだろうか。深掘りすると怖いので触れないが……。二人の事は二人で完結させておいた方がいいね。

 この拠点も二か月少々でかなり賑やかになって来た。……、一部の例外を除いてほぼ魔物かそれ以下の存在という奇妙な場所になりつつあるけども。

 最初は僕と共に光の神にこの世界へ転生することになったペット部隊と僕だけだった。僕もそこそこラノベは好きだった。無料投稿サイトの物を読み漁る程度には暇つぶしにも良かったし。最初期からゴブリンの巣を処理するなんてイベントが発生していた。いやはや本当に賑やかだ。


「主殿。防諜部隊が作業を終了させて帰ってまいりましたぞ」

「お、細工は流々…仕上げを御覧じろってことかな?」

「うん。完璧に設置して来た。ご主人から漏れ出てる余剰魔力が魔素に還元した物を動力源にした結界魔道具。アカメカブトトカゲ特殊部隊がばっちり設置してきた」

「本当にお前らは頼まれた仕事しかしねーよな……。まあ、この手の仕事は俺達の方が得意だからかまわねえけど」

「ぶー。別に僕達は頼まれたことしかしないことはないぞ。ちゃんと定期的に縄張りの調査もしてるもん」

「それはマサムネの兄貴が依頼しているやつだろ?」


 今回のキツネ事件でいろいろ面倒だと分かったので、僕も下準備をさせてもらった。レオパード部隊では作れない高強度の結界を発生させる魔道具を定点に設置してもらってきたのだ。この魔道具は現在の僕らの縄張りとなっているエリアを覆うように、侵入者の情報をピックアップする情報魔道具となっている。言わばセンサーと自動追尾機能の付いた監視装置だね。

 僕の拠点に居住しているメンバーや仮移入しているメンバーは生体情報が登録されており、一応縄張りの境界線を越えた場合は報せが入るけどそれ以上の事はない。縄張り内の生命体の位置情報をある程度知ることができるかなり便利な魔道具だが、精度が高い故に元から住んでいる野生の魔物までマーキングするなどの不便な点ももちろんある。

 この魔道具の設置理由は外部勢力の炙り出しと、ヴィエラさんなどの来客がこっちに来訪するタイミングを分かり易くするため。一番は強大な敵対勢力が縄張りに侵入した時の緊急事態情報をいち早く知るため。友人枠のヴィエラさんやそのおまけのタマモさんは確かに強者だが、もう個人認証が済んでいるので入って来たところで情報が知らされる程度だけど。


「また恐ろしい物を作りおったのう……。これがあれば敵襲にいち早く対応でき、迅速に動けば奇襲や陽動、挟撃と策謀をねじ込み放題だな」

「恐ろしいわあ……。ほんまアチキも敵対せんで良かったわ」

「いや、さすがにあのストーキングは迷惑でしたからね? あれ以上長期に渡って縄張り内でいろいろ嗅ぎ回るようなら、こちらからの物理的反撃もあり得ましたから」

「ひっ!」

「当然であろうて……。いきなり隣の縄張りから間諜が入って来るのだぞ? むしろ私がこの地に居るようにするまで見逃してくれていただけお優しいと考えた方がいいぞ」

「い、いや、まさかアチキらの妖術が見破られとるとは思わなんだんよ。まだ若い太守やし、防諜の穴が大きいのかと思っておった」


 若いと言うか“見た目は幼児、中身は成人男性”だけどね。

 そういえばヴィエラさんは僕の事を何歳くらいだと考えているんだ? まあ、今更そんなことはどうでもいいのだが。とにかくタマモさんには僕から注意しておく。僕の縄張りは確かに最近立ち上がったけど、それなりの戦力が揃っている。戦闘力の筆頭はペロ助。この土地の頭脳はマサムネとシズカ。この土地には回復能力のあるヒーラーユニットも揃い、今回の功労者のヒノエとキノトの隠密ユニットも極めて優秀。何より生産能力が高く、この土地は防衛能力と継戦能力が非常に高い。ここを攻めてくるようならば大変なことになることは疑いない。

 そんな魔窟をこそこそと嗅ぎ回ろうとしたタマモさん……。途端にタマモさんの表情がサーっと青ざめて行く。事態の大きさに今頃気づいたのかな? 今度はちゃんと衣服を着ていたが、実に見事なジャンピング土下座を披露してくれた。

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