「入学式」⑪
「最後は……君か、境 護朗くん。」
「は、はい……!」
「それでは私を被ってくれ」
恐る恐る僕は組み分け帽子を被った。
「ほうほう……ふむふむ……なるほど」
礼音やユナさんのような強みもないからか、どのクラスに入れるか僕自身も見当がつかなかった。でも、想いはただ1つだった。
「リアルクラスは嫌だ……リアルクラスは嫌だ……リアルクラスは……」
「ほう?お主、リアルクラスは嫌なのか?だが、お前にはリアルクラスの適合率が確認出来るぞ?」
「えっ!?うそぉ!」
「嘘ではない、それに…………ん?」
組み分け帽子は急に黙り込む。
「えっ!?何?どうして黙るの!?怖いんだけど!?」
リアルクラス確定かもしれないことよりも、あれだけ新入生に対して饒舌だった組み分け帽子が黙り出すことの方が怖かった。もしかして、やっぱり僕には何の才能もない……とか?
「信じられん…………いや、しかし確証は……だが、数値は確かに……」
うわぁ……マジで才能ないのに入っちゃったパターンだ、これ……。おかしいと思ったんだよ、こんなすごい学校に僕なんかが入るなんて、そもそも……
「全てのクラスに適性がある……!」
ほらぁー!やっぱりぃーーー!
……………………って、え?????
「えぇえぇええええぇぇえええええぇええええぇぇええええええええぇぇええええ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
僕が素っ頓狂に叫ぶ中、新入生も在校生も先生も皆、ザワザワとどよめく。
「皆のもの!静粛に!!組み分け帽子よ、どういうことじゃ?」
「どうもこうも、境 護朗くんは全てのクラスの才能を持っている!10年ぶりか……これは……」
「あんな弱そうなガキがオールマイティだと?はっ!バカバカしい……」
「ロビン!彼は……!」
「はい、間違いないと思います。」
「はぁあああ!?!?嘘でしょーーーー!?!?ま、まぁ?あああああたしは最初っから分かっていたけどぉ?知ってて勧誘してたけどぉ?」
「ふっ……まさか都市伝説ではなかったとはね……。」
「奈津子先輩、都市伝説は本当だったンッスね!」
「アイツがどうであろうとオレは興味ねぇな」
「護朗……っ!お前、すげえヤツだったんだな!!」
それぞれが思ったことを口にする中、今まで表情1つ変えなかったユナが心底驚いた様子で僕を見つめる。
「境 護朗……貴方は……っ!」
「この生徒は最強の五核使い、ジョーカーだ!!!!!!」
「「「えぇえええぇえええぇええええぇぇええええええぇぇええええええぇぇえぇええええぇぇえええええぇえええぇええええぇぇええええええぇぇええええええええ!?!?!?」」」
ぼ、僕が……最強の五核使い……?
第2話に続く