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小説冒頭は、湖乃実たちが高校1年生のときの裏で起こっていたお話が描かれています。語り手は湖乃実ではありません。
「今度の委員会の司会、冬月さんやってくれる?」
「...はい」
高校1年生の秋。
瑛花と2年生の水嶋馨は二人きりで委員会の仕事を朝と放課後にやっていた。
中央委員会は、毎日忙しい。
「それと冬月さんは、委員会の休みが多いから、放課後一人でこれやっておいて」
「分かりました」
1年生と2年生の関係は、ただの後輩と先輩にしかなかった。
だけど、瑛花にとってはかかわりの多い先輩だっただろう。
そして数日後
「あんた、1年の冬月瑛花でしょ」
「........」
バチャ!!
瑛花の制服にむけて、3年の女子数人がバケツの水をかけようとした。
びっくりして、瑛花は目をつぶって顔をそむけた。
恐る恐る振り向くと、制服には水がかかっていない。
なぜかというと、水嶋が水をすべてかぶった。
ビチョビチョに濡れている水嶋。
3年生の女子からも、水嶋の人気率は高かった。
そのため、その3年の女子は悲鳴を上げながら走り去っていった。
「大丈夫?」
「..あの..水嶋先輩」
「俺は大丈夫。それよりも冬月さんが」
「わたしは..大丈夫です」
水嶋の優しさに、瑛花は気づいていたのだろうか..。
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「こんなことがあった」
祈がわたしに全部話してくれた。
水嶋先輩は、瑛花のことが好きだったのだろうか。
それとも、先輩として後輩をかばったのだろうか。
「それで..?」
「別に、あと話はない」
「そう..」
もっと何かあると思ってた。
祈は瑛花の話になると、そんなに楽しくなさそうだ。
「何?そんなに、水嶋先輩が気になるの?」
「わたしはただ、瑛花のこと、最後まで解決させたいわけで」
「ふ~ん」
そのまま、祈は話していたカフェを出て行った。
一人になっても、わたしは外へ出る気にならなかった。
数日後
「もしもし...葵?」
(湖乃実にちゃんと..話したいことがあるの)
「ちゃんと..?」
(あたしのことじゃなくて...祈くん)
わたしはすぐに家を出た。
葵といつものカフェで会った。
すると、テーブルに封筒を差し出してきた。
中を見ると、みなさんへ、と書いた手紙が。
~みなさんへ~
わたしの子供はやっと1ヶ月を過ぎました。
ミルクを飲んで、すくすく育って欲しい。
そんな気分が、わたしの頭に浮かびます。
子供のパパは、わたしを捨てました。
当然です。
18歳で子供を持つなんて、きっと彼にも悪かった。
ー楢澤瑛花-
「楢澤瑛花って...?」
わたしは恐る恐る聞いてみた。
真実を。
言葉を発さずに、葵はただ頷いた。
「瑛花の子供..祈くんとの子だった」
「....」
絶望感に包まれたような気がして。
今までのすべてが、全部失われた気がして。
わたしは言葉も出なかった。
「捨てたって..ホント、どういう意味だろうね」
葵は少し馬鹿にしたように笑った。
「祈はさ、あんなやつだったんだよ。女癖悪いやつ」
「でも、気さくで優しいって..評判だったじゃん!」
葵は無理やり、励まそうとしてくれる。
その優しさが、今は悲しい。
「どこが..気さくなんだか」
わたしは、カフェを出た。
家へ戻ろうと、来た道を戻っていくと、向こうから水嶋先輩が歩いてきた。
制服姿で。




