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殺し屋JK、ターゲットは父親でした。  作者: 椿原菜湖
殺し屋JK、ターゲットは父親でした。大磯編
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85風見との面会

「風見」

「そこに座れ」

風見はフィルム越しにいた。同じようにパイプ椅子に座った。

「面会時間は30分です」

「ありがとうございます」

こちら側の警察官が退室した。

「あなた方が、弟の」

「いつも仲良くさせてもらってます」

風見という男は、肩まで伸ばした髪の毛を耳にかけた。

「弟は」

「元気にやってますよ」

「そうか」

風見はたまに広告で見るくらいの有名人。生活環境が変わったとはいえ、その見た目は健在だった。

「なぜ、ここに訪ねてきた」

「弟さんが兄の様子が気になると。でも顔は見れないから代わりに行ってきてくれと頼まれたまでです」

「そうか......」

風見はかなりの下がり肩。前髪が目にかかり顔の表情はほとんど見られない。

「この間、弟さんと飲みに行ったんですよ.....」

「.......」

俺は、アクリルパネルに手のひらを当てた。

「そしたら俺たちはベロンベロンに酔っちゃって。もう大変でした」

「そうか」

風見は眉間にシワを寄せながら、大きなあくびをした。

「あとは、今度3人で沖縄旅行に行く予定なんです」

「それは楽しそうだな。沖縄のどこに行くんだ?」

俺は、右の口角を上げた。

「美海はマストだと思ってますね。あとは国際通りをウロウロする感じっすね」

「いいな」

俺は右手を下ろし、アルチュールの方を見た。

2人で小さく頷き、再び風見の方を見た。

「あと、弟さん、かなり風見さんのこと心配してました。食事はちゃんと摂れてるのかとか、風呂には入れてるのかって。表舞台の人間ですから、世間的なことも心配してました」

「.......そうだな。今週中にでも、マスコミが報道するんじゃないかな。ちょうどドラマの撮影期間だったし、絶好のタイミングだからね」

なんだ、これは。

彼から出る雰囲気は只者ではない。

闇深い圧力に潰されていた。



「あと5分です」



「分かりました」

もう時間がない。

俺はもう一度、右の手のひらをアクリルスタンドにつけた。

「弟に、どうか体だけは気をつけてと、伝えてください。そして、本当にすまなかったとも、伝えてください」

「分かりました。そちらも、どうかお元気で」

面会を終えると、風見側にいる警察官が立ち上がった。

「立て」

風見は警察官に連れられて部屋から出ようとした。



「58834962」



風見はそれだけ言い、面会室を出た。

数字?どういう意味だ。

「お疲れ様です。では、こちらから出て階段を降りてください」

「失礼しました」



ガチャン



「ありがとう、アル。録音、撮影はできてるか?」

「多分な。あと、直がやった作戦、いい感じじゃねぇか」

「あぁ。いい(. .)情報も手に入ったからな」

俺らは武蔵野警察署を後にした。

そして手のひらを空に掲げた。

「”はいならあくび”か.....」

駐車場に着き、一呼吸ついた。




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