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殺し屋JK、ターゲットは父親でした。  作者: 椿原菜湖
殺し屋JK、ターゲットは父親でした。大磯編
80/91

72最強の駒

「もしもし?元気か」

『コアさんお久しぶりです。何とか1人でやってます』

「そうかそうか。それならよかったよ。あれから春綺とは会ったか?」

『一度も会っていません。面会の連絡が警察から来たんですけどね。毎回断っています』

俺は静かに微笑んだ。電話越しに前と変わらない、教景がいたからだ。

「実はな、お前にお願い事があって電話したんだ」

『お願い事?』

「あぁ。分かっていると思うが、もちろん春綺関係のことだ」

姉の名前を出した瞬間、彼の息が止まった。生活音も全て、この世から消えた。

『…..』

「…..」

沈黙が支配する中、両者喋り出してくれるのを待った。

ちなみに、俺から発言する気はない。

正直で純粋な、あのままの教景の意見を聞きたいだけだ。


『姉が、どうしたんだ。彼女とはもう二度と会うことはないし、会いたくもない』


やっぱり、そうだよな。完全無実の下の子を殺した人間の元に行けるわけがない。俺だって行きたいとは思わない。

だけど、俺たちが調べたところで限界がある。本人に聞くのが最も効率よくかつ正確である。唯一の肉親である教景に行って欲しいんだ。

「うん。教景は絶対にそういうと思った」

『もちろん君たちには返しきれない恩がたっくさんある。出来ることなら協力したいと思ってる。だけど俺はもう社会復帰も果たした会社員なんだ』

「そうだよな」

こればかりは教景が100%合ってる。こいつの意見を害すわけにはいかない。

でも…..

「でも、今回の件はお前にしか頼めないんだ。本当に、この通りだ」

『…..この通りって、コアさんがお辞儀したところで見えませんよ』

「あっ、そう、そうだよな!」

『コアさん、本当にお元気そうでよかったです』

「お前は本当変わらないな」

こんなゴミみたいな世界で、ただ一つの目的に必死になって、全力になって。でも自分の意思は絶対に崩さない。邪魔されようが関係ない。

「お前が変わってなくて安心したよ。今回の件は、なかったことにしてくれ」

きっと貝ちゃんは怒るだろうなー。

『すみません。何お役にも立てなくて』

「いやいや、突然連絡した俺が悪いんだ。仕事頑張れよ。ぜってぇハメ外すんじゃねぇぞ」

『———はい』

最後に挨拶をして電話を切った。

「はぁー!最後に希望がー!」

結局俺らが行くしかねぇのかよ。クララの親族役なんぞ、やりたくないよ。

「お前は、どこのどいつなんだよ」

机上に置いてある白川家の家系図の書かれてある”悠仁”を指差して呟いた。

だがどうしても突き止めたい。

事件には必ず背景がある。

なぜあの一家はあぁなってしまったのか。

何が殺す原動力となったのか。

やはり嫌でも生存者を橋にして真実を知りたい。

「はぁ…..」

ため息をつきながら、教景のメールアドレスを開いた。


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