88対立
ガチャン
「ただいま」
「コア!セレナは、どうだった?」
「.......目を覚まして、もう元気いっぱいだ」
部屋にいた全員がホッと肩の荷を下ろした。
「あぁよかった!!」
「やっぱりあいつは死なねぇよな」
「今週末には復帰できると思う。だからそれまでに俺らで情報を共有し、整理しよう」
「だな」
「了解」
俺は部屋の扉を閉めて、自席に戻った。
「で、風見のことは何が分かった?」
早速、オーディンが話し始めた。
俺はアルチュールと目を合わせ、面会での出来事を振り返った。
「風見の前で練馬統合の話をし始めた途端、人が変わったように暴れ出したんだ」
「暴れ出した?」
『あいつらは、お前らじゃ勝てない。あいつらにとってお前らは、ただの石ころにしか過ぎないんだよ』
「石ころ.....」
「そこで、俺らはニクラスを人質に取り、風間を脅してみたんだ。すると———
“保険金”を稼いでいると」
「保険金?どういうことだ」
部屋にはオーディンのパソコンのタイピング音が響いていた。
「部下を殺して、出た保険金を”何者”かに払っていると言っていた」
「部下って、神崎三重子のってことか?」
「だろうな。練馬統合の部下から出た保険金。一体誰に払ってるんだ?」
もし、風見の話が本当なら、練馬統合は相当やばいことをしている。
「練馬統合はかなり厄介な会社みたいだな。もはや会社全体に近づくってのは無理そうだ」
「幹部も名前だけで、実在するのは神崎三重子だけだしな.....」
「神崎三重子......」
「その話、本当なのか?」
突然、オーディンが呟いた。
俺は深々と頷いた。
「そもそも、風見の言っていることが信用できない」
「でも情報は本物だ」
「なぜそう本物と言えるんだ?」
「風見のあの動揺は普通ではない。この目で見たんだ。それと、練馬統合の名前も知っていたんだぞ?」
「もしこれが全て練馬統合の思惑だったら?取り返しがつかないぞ」
「分かってる.....だけど、神崎三重子を当たってみなきゃ、事は進まない」
オーディンは厳しい眼差しでこちらを睨んでいた。
「俺は、信じない」
バタン!
オーディンはパソコンを持って立ち上がった。
「おいどこ行くんだよ」
アルチュールが止めても振り向かず、そのまま部屋を出た。
「もう何なんだよ.....」
俺らの意見はまとまることなく、対立した。
プルルルルル!
電話?
「もしもし?」
『コア、ヨナスだけど。神崎三重子の件はどんな感じだ?なんか気になって』
「特に何も。ただ風見が言っていたのは、部下を殺してその保険金を誰かに渡しているということだ」
『保険金.....その話、詳しく聞かせてくれ。もしかしたら、クララが関係しているかもしれない』
「クララ?なぜクララが」
『いいから、早くしてくれ』
「わ、分かった」




