Lo198.第一試合はすぐ終わりました。塩です。
開会式が終わり、【聖王御前試合】の第一試合が始まりました。
選手の入場とともに大歓声が上がります。
『勇者と聖女』 VS 『剛腕ストレングス』
いきなり勇者高橋くんチームの出番です。
私達の出番はまだなので、選手用の席に座って観戦です。エールちゃんも席に戻ってきて、私の隣で観戦しています
「ふむふむ、高橋くんが最初ですか」
「見ものです」
我々は高みの見物です。腕組みをしながら観ることにしました。
高橋くんとホリーちゃんの対戦相手は、ムキムキの厳ついマッチョメン2人組です。濃い顔をしてるので、18歳未満には見えません。おっさん顔です。
「ビジュアル的には高橋くんより、相手のマッチョ2人の方が好きですねぇ」
「え、チーちゃんはイケメンよりあっちが良いの?」
「描いてて楽しいんですよね、ああいうの」
「あ、そういう方向で」
美形のイケメンは確かに描けます……しかし、どうも私が描くとワンパターンのハンコ絵になりがちです。
男だとしたら、おっさんやマッチョを描く方が楽しいですね。差別化しやすいし、あえて作画を崩しても面白いです。
まぁ一番描いてて楽しいのは可愛い幼女なことは言うまでもなく常識ですが。
「しかし、相手は完全に近接ファイター2人ですねぇ」
「勇者と聖女チームは分かりやすく前衛後衛です。彼らにとってタッグが一番有利と言ってましたが、果たして……」
高橋くんはオーソドックスな片手剣と盾の勇者スタイル。ホリーちゃんはシャラシャラとした金属の杖を持っています。
対する剛腕ストレングスの2人は大斧と大鎚。めちゃくちゃ分かりやすくパワーファイターですね。
カァン!
ゴングが鳴り、試合が始まりました!
剛腕ストレングスのマッチョ2人が接近します! やはり狙いは接近戦のようです!
「『勇者』かなんだか知らねぇが! この俺達にパワーで勝てると思うなよォーーー!!」
「化けの皮を剥いでやるぜ! このイケメンくんよぉーーーーー!!!」
どことなく私怨がただようマッチョ2人の慟哭。
聖女のホリーちゃんは後衛に下がっているので、前に出ている高橋くん1人でマッチョ2人を相手にしなければなりません!
高橋くんピンチ!
「『サンダーボルト』!!」
高橋くんが声を上げると、その剣の切っ先から稲妻が放たれました!
真っ直ぐ突っ込んできたマッチョ2人はそれをまともに浴びてしまいます!
「ぐああっ…」
「しびれるっ……!?」
マッチョ2人が電撃に痺れている間、高橋くんが素早く詰め寄ります。
ズバッ! ズババッ!!
そのまま剣で斬りかかり、あっという間に2人を倒してしまいました!
試合終了です!
『勝者は『勇者と聖女』です!!』
勝利アナウンスと共に歓声があがります。
おお……強い。流石は勇者とかいうだけありますね。圧倒という感じでした!
しかし、それを観ていたきなこちゃんは渋い顔をしています。
「shit」
「え?」
「相手の見せ場を一度も作らず、自分の強みだけ押しつけて勝つ。何の創意工夫もないバトルだ。なんというつまらなさ。ふぁっきゅー」
きなこちゃんはなんか怒ってるようです。
確かに……エンタメとしては駄目ですねぇ。勝つだけが目的ならあれでいいんですけど。プロレス的には「塩試合」です。
エールちゃんは言います。
「確かに盛り上がりのないつまらない試合でしたね。でも第二試合は面白いと思います」
「そうなんですか?」
「私の孤児院の子達がでます」
エールちゃんはいつも通り無機質な口調でしたが、心なしか弾んでいるような声色に聞こえました。
第二試合
『エールの子供たち』 VS 『インテリジェントル眼鏡ズ』
エールちゃんの孤児院の子達が厳しい予選を勝ち上がり、出場します。




