胡蝶に関わる人間は、稀に死亡する。けれど、胡蝶自身は、人を殺めたことが無い。殺すと決めた対象が、勝手に亡くなるだけ。
戦国の世では、疑われた時点で処刑されることが確定するといっても過言ではない。
そんな世で、幾度となく敵地に単身放り込まれ続けている胡蝶にとって、諜報は食事と同等の、生きるために欠かすことが出来ない技能。
胡蝶は度々玉城を訪れ、二〇二三年へ移動する。
目的は、画面と呼ばれる板の中で、軍事行動をシミュレートすること。俗にいう、サイバー攻撃。
胡蝶は現実のものとは認識しておらず、信長とよく指している将棋のような、遊戯だと認識している。
胡蝶には、二〇二三年の戸籍や住民票は無い。
しかし、今上天皇の直系祖先である道三を父に持つ、胡蝶にとっては些細な問題。胡蝶に便宜を図るよう、代々語り継がせた。
世襲議員の裁量で行えることは、胡蝶にも出来る。