ドラキュラ来店
ここで一気にストーリーを変えてみる
あっち
柴君がチャーハンをフライパンから皿に盛り付けてた。
「今日もチャーハン?」
「はい、もう上がりの時間なんで、こっちで飯食って帰るんですよ~。上がりの時間限定の楽しみもありますし~」
「えっ?」
「ニンニクを入れるんですよ~。勤務中には出来ない」
「なるほど」
よく見ると台所の調味料を置く棚に、ニンニクが半分置かれてた。
「半分も使ったんか?」
「好きなもんで」
中々パンチ聞いてるな。臭いは換気扇で客には届かんのかな。
柴君は皿に盛り付けたチャーハンを机に置きスポーツ新聞を読みながら食い始めた。
競馬面をマジマジと見ている。
『4歳馬の頂点を決める戦い!』とデカデカと書かれていた。
『ダービーに夢を託せ!』とも書かれていた。なるほど、ダービーか。いや、待てよ。
「柴君、ダービーって4歳限定やっけ?」
「そうですよ!先輩めっちゃ競馬好きやのに何言ってんすか」
「ごめん、何か勘違いしてた」
あれ、おかしいな。3歳限定じゃないのか。親父が競馬好きでそんなん言ってたんやけど。
「先輩は何本命ですか?」
「えっ(まずいなぁ、競馬興味ないなぁ)」
「まだ、決めてないですか?」
「そうやなぁ、けど1番人気が勝つんちゃう」(良い逃げ言葉だ)
「まぁ、ダービー固いですからねぇ。僕は本命オースミベストですよ。武豊が乗るんで気になります。若いのに凄いっすわ彼は」
「ほう」(適当に相槌を打った)
異世界では武が若手。オースミベストのダービーか。家帰って調べよう。4歳馬限定って事は一生に1度しか出れないって事でここがいつか分かる!
「ピーさん何笑ってるんすか」
ピンポーン。
客が来た。
「ピーさんお願いします」
頼まれた。柴君はチャーハン食わんとスポーツ新聞を熟読しはじめた。冷えるぞ!
変な客が来るのは分かってた。
スーツのパンチパーマのオッサンが立ってた。また、そっち系かいと思いながら対応する。
「俺の事ドラキュラやと思ってるやろ?」
「はい?」
「俺の事ドラキュラやと思ってるやろ?」
「いえ、思ってませんが」
「ウソはいかん。お前こっちの人間ちゃうやろ」
ギクッとしたが
「何を言ってるのかちょっと・・・」(ごまかした)
ピンポーン
後ろからアベックが来た。
「駅員さん、変な質問やねんけど、ここ何駅?」
次の瞬間、パンチパーマのおっさんはアベックの男の方に襲い掛かった。
「キャー!」叫ぶ女。後ずさりする俺。
オッサンは男に抱きつき首筋に噛み付いた。プシューと血が出て倒れた。
「チッ!タバコを吸ってるマズイ血だ」
両方の八重歯の鋭さはドラキュラその物だった。
女はうずくまっている。今度はその女の首筋に向かって噛み付いた。
よく見ると扉の向こうでもう2人女性がいた。この状況では駅員室には来れないんだろう。
「まぁ、さっきのよりは美味いわな」
オッサンは満足気だ。そして僕と目があった。
「いらっしゃいませ!」
僕は扉の向こうの女性に向かって声を掛けた。オッサンはそっちを見た。
「あいつらの方が美味そうだな」と言って部屋を出た。
「赤いアメンボ!」
叫んでもオッサンも女性も消えない。
オッサンが外で女性2人を追いかけている。
そうだ!
僕は柴君のいる部屋に向かった。柴君は消えていたがチャーハンはあった。
「ニンニク好きなんですよ~」
このチャーハンにはニンニクが入ってる。皿を持って駅の外へ出た。
1人の女性が倒れ、もう1人が馬乗りになって血を吸われてた。
「おい、オッサン」
「んあ?」
僕の方に向いた瞬間、チャーハンを顔面にぶつけた。バラエティのパイ投げの要領で。
口に入った。
「何だ、これは?」
「ニンニク」
「お前らで言う硫酸やぞ」
「・・・」
「オエッ!」
オッサンは嗚咽して血を吐き出した。しばらくすると倒れた。
老婆がトイレから出て来た。
「ごめん!ウイルスが侵入してきた。イレギュラーじゃ!あんな客は過去に来てない」
「もう、こっちの世界に呼ばんといて下さい!」
「けど、無理なんじゃて。君が正社員なるまでこのゲームは続く」
「えっ!」
「ほんで赤いアメンボ代で寿命1年貰うで」
「オッサン消えな意味ないやんけ!」
「それでも決まりじゃから。それと残念なお知らせです。向こうに帰った時に分かるが池田、池沢、高田、鮎川が死んでるぞ」
「えっ!」
「アベックと女2人いたじゃろ。そいつらの正体じゃ」
「えっ!」
「ここは何駅ですか?って変な質問してたじゃろ」
「あっ」
「君と一緒だよ。姿形を変えて来たんだ」
「こっちで死んだら実際の世界でも死んでるって言ったな」
「え~」
「死因は?」
「心臓発作」
こんな時にいる質問なんかとも思った。
「あとさ、しばらく戦いは続くからさ」
「えっ!」
「君が正社員なるまでは」
「早くウイルス治してや!」
「それが治る見込みが1年はかかるんじゃ」
「1年!」
「治るのが先か就職決めるのが先か死ぬのが先か」
「最後の縁起悪いな」
「これはこっち側のミスやと思ってるから1個援護したい」
「はぁ」
「バヤルララーって言ったら武器がどっかに落ちるから。ただし、1回に付き1個までしか支給されない」
「それはありがたいね」
「あと、今日殺された4人は何で来たと思う?」
「さぁ」
「君が嫌いになった奴が来るんじゃよ。援護として、いや、ほぼ捨て駒として。そいつらが攻撃されてる時間が考える時間じゃ」
「嫌いな奴ってTVの芸能人でもいいの?」
「ダメじゃ。何かされて嫌いにならなダメじゃ。前は同窓会で名前間違えられるわ冷たくされるわで嫌いになったからあいつら来たんじゃ」
「なるほど」
「取りあえず葬式出たりや」
そう言って老婆は消えた。僕もトイレに帰った。




