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悪役令嬢、予算書を叩きつける  作者: 南蛇井


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シーン4 「舞踏会開幕」

 そして。


 舞踏会当日が来た。


 夜。


 王立アストレア学園は、

 もはや別世界になっていた。


 校舎全体が光っている。


 窓。


 塔。


 回廊。


 噴水。


 ありとあらゆる場所へ、

 魔法照明が張り巡らされていた。


 夜空へ巨大魔法陣が展開する。


 淡い蒼。


 金色の光。


 星屑みたいな粒子が、

 空から静かに降り注ぐ。


 さらに。


 空を飛ぶ音楽隊。


 ヴァイオリン。


 管楽器。


 指揮者まで浮いている。


 どういう魔法技術なのか、

 もう考えない方が幸せだった。


 そして極めつけ。


 夜空そのものが変わった。


 星の配置が動く。


 流星が走る。


 月光が強まる。


 空が、

 “ロマンチック用”へ調整されている。


 圧巻だった。


 さすがに。


 これは。


「……おお……」


 と、

 誰もが一瞬思ってしまう。


 そのレベルの美しさだった。


 舞踏会会場では、

 生徒たちが歓声を上げている。


「すごい……!」


「綺麗……!」


「王子殿下、本当に本気だ……!」


 本気すぎた。


 その中心。


 大階段の上へ、

 一人の少女が現れる。


 ミレイユ・フェルナン

 だった。


 淡いドレス。


 銀髪。


 儚げな笑顔。


 その瞬間。


 空気が変わる。


 運命律が共鳴した。


 ぶわりと花弁が舞い上がる。


 どこからともなく風。


 流星が走る。


 光が弾ける。


 しかも。


 会場全体の魔力が、

 一気に跳ね上がった。


 ざわり。


 空間が脈動する。


 レオノーラの魔力測定器が悲鳴を上げた。


 ピィィィィィィッ!!


「うるさいですわね!?」


 慌てて音量を下げる。


 しかし数値が止まらない。


 上昇。


 上昇。


 さらに上昇。


 隣から、

 セシル・アークライト

 が覗き込んだ。


「どう?」


 レオノーラは真顔だった。


「数値が戦争ですわ」


「だろうな」


 軽い。


 一方その頃。


 大階段の中央では、

 アルベルト・ルクレール

 がミレイユへ手を差し伸べていた。


 背景では人工流星群。


 空では音楽隊。


 花弁は吹雪。


 演出過剰にも程がある。


 そして彼は堂々と言い放つ。


「君のための夜だ!」


 歓声。


 拍手。


 黄色い悲鳴。


 その瞬間。


 魔力測定器の針が限界を超えた。


 バチッ!!


 火花が散る。


 レオノーラ、無言。


「……始まりますわね」


 セシルが空を見る。


 夜空の魔法陣が、

 微妙に明滅し始めていた。

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