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サイハテの村人たちは勇者がいなくても平気なようです 〜ただしご近所は魔王城〜  作者: 青咲花星


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第45話 王城deお泊まり会② 寝言

「なんか全然可愛くない話になっちゃったね。そもそも女子会って何を話すんだろう」

「本とかだと恋バナとか」


「「こいばな」」


ディナより人生の経験値が高いはずの二人は何故かカタコトになる。

そもそも二人は学院では魔術の話ばかりで人生今までそんなものとは全く縁がなかった。


「エリーはともかく私は全くないわ」

「ともかくって何よ。私も全く無いわよ」


主張するエリーに二人はため息をつく。


「これは言うべきだと思う?ラピス先輩」

「やめておきましょう、威圧されてしまうわ」


何故威圧が出てくるのか微塵もわかっていないエリー。

ディナは兄の事を少し不憫に思う。


「私がお義姉ちゃん呼びをするのはまだ先のようね」

「なんで!?お姉ちゃんって呼んで欲しいのに!」


エリーが涙目になる。

意味合いが違う。


「これはたぶん勇者の所為もあるわ。アレが付き纏いすぎて恋愛というカテゴリを消去しているのよ」

「なるほど!」


勝手に意気投合している二人に嫉妬するエリー。


「む!ラピスだって美人だから学院時代『蒼氷の宝石』って言われてたじゃない!あとそういうディナこそどうなのよ!」


何それ聞いた事ないんだけど、とショックを受けるラピス。


「私はまだお子様なのでわかりません〜」

「それはずるいわよ、ヴィラくんは?」


ラピスが突然裏切り、切り込む。


「弟って感じがする」

「弟なのね」


ガクッと力が抜ける。

確かにヴィラは泣き虫だけど、どちらかというとヴィラがディナの面倒見てることも多い。

でも兄ではないのか。そうか。


「私の方がお姉ちゃんだからね!」


ふふん、とディナが胸を張っているが衝撃的な事実をエリーは伝える。


「ディナ、実はヴィラの方が1歳上なんだよ。なんだったら1歳半上だよ」

「嘘でしょ!?」


衝撃的事実にディナは発狂する。


「本当だよ。ヴィラは外に出てなかったから成長がちょっと遅れてるけど」


そんなぁ、とディナは落ち込む。

そんなにショックだったか。


「あはは、じゃあ好み、タイプとかないの?」

「タイプ……お母さんより強い人?」


「それはこの世に存在しているのかな」


エルダさんより強い人って、どのくらいいるんだろう。


「能力で振り回しても頑丈な人」

「問題はそこだったかー」


「確かにディナちゃんについていける人じゃないとね」


二人はやっぱりヴィラでは、と思ったが口に出すことはやめておく。


「私はねー自分から不必要に目立たない人、相手の事ちゃんと考えてくれる人がいいなぁ」


「つまりは勇者じゃない人ね」


「ラピスは?」


「私?私は『もふもふ……可愛い……幸せ……へへへ』


突然の耳元で囁く声。

なんで!?と思わず周りを見渡す。


『ラピス、可愛い……』

「あああああああああああ"」


ラピスは思わず叫んだ。

イヤーカフを耳につけていた事を思い出し、反射的にブチィと人間耳から無理やり通信機を外す。


「どうしたの!?ラピス」

「耳が!!耳が!!」


片耳を抑えながら顔を真っ赤にして半泣きで叫ぶ。


「落ち着いてラピス、耳がどうしたの?大丈夫?」

「耳が、やられた」


「いやラピス先輩が今自分で何かブチっとやったんじゃ」


「ちがあああああああああ"」

「血が出たの?大丈夫?」


エリーがミニ救急箱を取り出そうとするのを見てラピスは止める。


「う、そうじゃない、大丈夫。ちょっと突然の不意打ちダメージを食らっただけ……一旦、落ち着くわ」


ラピスは布団の中に潜り込む。


(大丈夫、スイッチ切ってたからこっちからの通信は相手に伝わってないはず。なんで向こうからの通信が繋がってるのよ。なんなのよ寝言?とんでもない寝言だわ)


先程シータがそのままにした為、イダーテが寝返りを打った際にスイッチが入ったのだ。


『ラピス、可愛い……』


頭の中で繰り返されるイダーテの言葉を思い出してはパニックになる。


「ああああああ"あ、れ、は、猫!猫!猫!猫に!対して!言ったのよきっとそうよああああああ"」


再び叫ぶラピス。

盛り上がった白い山がガタガタと動く。

明らかに取り乱していた。


「何かあったのかな……タイプとか聞いちゃいけない話だったのかな」


ディナの言葉にぴたりと白い山が止まる。


「あるわ、猫じゃなくて私を好きになってくれる人!」


ばさり、と布団が捲られる。


現れたのは猫姿のラピス。

顔面赤面を回避するためにわざわざ変身したのだ。


「か、可愛い〜!!」


触ってもいい?とディナが興奮する。

ラピスはどうぞ?とでも言うかのように横になった。


エリーは猫好きの誰かさんを思い出す。


「まさかねぇ」


_________


その頃、男子部屋。


「今お猫様の気配がした!!」


突然イダーテが飛び起きた。


「気のせいでは、夢でも見てたんじゃ?」


ヴィラが髪を乾かしている間、静まり返った部屋でなんだか聞いてはいけないイダーテの寝言が聞こえた気がするが、シータは聞かなかったことにした。

うん、聞かなかったことにしよう。


「夢か……あ、通信機つけっぱなしだった」


「通信機?」


「あーこれ、ラピスにもらった。これで離れている時に様子を報告してたんだ。おやすみー」


スヤァと二度目の眠りにつくイダーテ。


「……通信機がついてたって……寝言筒抜けだったんじゃ」


イダーテの大きな寝言。

おそらくだが、繋がっていたのであれば聞こえているはずだ。


聞かなかったことにしよう、そうしよう。

昼間のラピスが泣いてエリーが暴走した事を思い出す。


「向こうで何も起きていない事を願おう」


まずはヴィラを早く寝かせよう。

イダーテの寝言を聞かせないように。

20時に登場人物のまとめが投稿されます。

次回分はまた明日の6時です。


いつも読んでくださりありがとうございます!!

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