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サイハテの村人たちは勇者がいなくても平気なようです 〜ただしご近所は魔王城〜  作者: 青咲花星


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第41話 日向のような

私は一体何をしているのだろう。

そうラピスは考える。


「見てみて、すっごいイケメンが猫ちゃん撫でてる。猫ちゃん気持ちよさそう〜」


絵になるーと教会を出入りする人間の声がする。

本当に、私は何をしているのだろう。


程よい日差しはぽかぽかして暖かく、撫でてくるイダーテの大きな手は安心感がある。

ゴロゴロと喉を鳴らし、ラピスはもう完全に身を委ねていた。

身も心ももう猫になっていた。


(何これめっちゃ気持ちいいにゃ……)


「いつか、お猫様に触れる日が来る時の為にと、シュミレーションしていたんです。どうです?」


ごろん、ともっとやれと言わんばかりにイダーテの膝の上で転がる。

イダーテは目を輝かせると、猫のラピスを抱き上げた。


「ああ〜もう幸せ〜」


今度はすりすりが始まる。

自制してはいるのか猫吸いまでは流石にしてこない。

いや、すりすりまできた時点で自制できてないのだろうが。


(おあああああ……私は猫、そう私は猫であるーにゃー)


ラピスは心を猫にした。


______



帰り際、シータはエミアに話しかけた。


「エミアさん、すみませんでした」

「いいのよう、エリーのことを考えて言ってくれたのでしょう?とっても嬉しかったわ」


エミアは明るい笑顔でシータの背中をぽんぽんと軽く叩く。


「何とかしてあげたかったけど、教会側は勇者に関しては拒絶できない。最悪な事態だけは回避してあげなきゃと思ってたんだけど、やっぱり難しかったの」


サイハテと教会の高位の娘という難しい立ち位置。

エミアも昔、美人だからという理由で貴族に無理やり攫われそうになったことがある。

娘にも苦労させたくないと思い、最強の魔術師である夫がいるサイハテにのこしたが結局学院で辛い目に合わせてしまった。


「でもシータ君がエリーの側にいてくれて助かったわ、ありがとう。これからも娘の事お願いね」


エミアさんにエリーと同じような笑顔で言われて頬を掻いた。


「そういえばあの子ペンダントをしているようだけど、どうしたのかしら?」


トラウマになったのでは?と上品に首を傾げる。

エミアさんの上品な仕草はどうやら教会の他所行きの行動のようだ。


「ああ、あれは……」

「そうだ、お母さん。ペンダントのことはもういいよ」


エリーは見られていることに気がつき、金色の宝石に入ったお花のペンダントを取り出す。


「これね、シータがくれたの!とっても綺麗でしょ?」


眩しい笑顔で、エミアの元に見せに来た。


「あらまぁ」


エミアがそのペンダントを見て目を丸くする。

世界樹の種に入った花。

それが本物だという事に、すぐにエミアは見抜いた。

つまり勇者はダンジョンを攻略しても、エリーを捕まえない限りサイハテ村には辿り着けないのだ。


「とても綺麗ね……っうふふふ、ふふっあははははは!!シータ君、貴方本当に、ふふっ最高じゃないの」


エミアさんがまた笑い始めた。

あり得ないほどお腹を抱えて大爆笑しているので、周りに居た教会の人たちも何事かと唖然と目を丸くする。

この人笑い上戸なのだろうか。

だから普段は作り笑顔をしているのかもしれない。

全然止まらない。


「ごめんなさいごめんなさい、ちょっとね。色々と安心しちゃった」


はぁ、はぁ、と息を整えるエミア。

全員の頭の上にはてなマークがついていた。


エミアは笑いすぎた涙を拭いて、エリーの手を包む。


「そのペンダント、大事にしなさい。今度は壊れないと思うけど、誰に何を言われても絶対に手放さない事。お母さんが知る限りそれは世界で一番、最強のお守りだから」


今回もペンダントがどんなものかは言わない。

言わなくてもそのペンダントが大切なものであることにはかわりはないから。


「これはもう私のだから、絶対手放さないよ?」


エミアは微笑み、エリーの頭を撫でる。


「また遊びにいらっしゃい。今度はちゃんと楽しいお話をしましょう」

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