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サイハテの村人たちは勇者がいなくても平気なようです 〜ただしご近所は魔王城〜  作者: 青咲花星


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第21話 1日の終わりは蜂蜜入りのホットミルクで

エリーが学院へ行く話をし始めた途端目は深淵よりも真っ黒に、とてつもなく無表情になった。

かつて、学院に通っていた頃はいつもあんな表情をしていた。


いいや、もっと酷かった。

すれ違っても気がつかないし、呼びかけても反応しない。

肩を叩くか手を掴むかしてやっと気がつくような、心を無にしているような状態。


エリーは今でこそ普段はにこやかに穏やかに暮らしているけれど、嫌な事があればすっと表情が消える。


よっぽど学院に行くのが嫌なのだろう。


それ程、学院という牢屋はエリーを傷つけた。

途中から友人ができて少し笑顔には戻れたようだが、それでも傷は深く治りはしない。


2日目にしたのも、早めに済ませたいからだと思う。


話が終わった後は普段通りのエリーに戻っていたが、ディナもすごく不安そうだったし、ヴィラがエリーお姉ちゃんに余計なことを言ってしまったと落ち込んでいたが、いつもあんな感じだったので仕方がない。


とはいえ、流石に疲れたのか衝立ごしにヴィラが寝息を立てている。

ディナもどんなに起きようとしていても時間になるとすぐに寝付くのでもう眠っているだろう。


「どうしようか……これ」


シータの手には小さな箱があった。

ことの発端となったペンダント、とはデザインが全く違うけれど金色の宝石に白色の花が閉じ込められている、アクセサリー屋で加工してもらったものだ。


何重にもかけられた強化以外何も付与せず、魔法干渉も受けない頑丈なペンダント。

花は昔、暇すぎてダンジョンで手に入れたもの。


これを渡して微妙な顔をされたらどうしよう。


そんなことを考えていたら、廊下から足音が聞こえた。


______


眠れなくて、そういえば今日は魔力放出をやっていない事という事に気がついた。

でも王都だからできない事に、残念な気持ちになっていた。


「こういう時こそ、発散したいんだけどなぁ」


ディナはもう眠ってしまっていたから、起こさないようにと下に行くとシルビアさんが戸締りをしていた。


「ありがとうございます」


私に気がつくとホットミルクを作ってくれた。

何故かカップが3つある。


「いいのよぅ、よかったらこれもつまんでいいわよ」


カゴに入ったお菓子。


「そこにいる人も、カップは飲み終わったら流しに入れて置いておいてちょーだい。お菓子は子供たちには明日あげてもいいわよ」


シルビアさんはちらり、と階段の方を見てからおやすみなさいと言ってホットミルクを持って部屋の奥へと消えていった。


「眠れないのか」


シータだ。


「うん、学院に行くって思うとね。昨日も嫌な夢みちゃって、またみたら嫌だなーって思ってたら眠れなくなっちゃった」


シータは座るとホットミルクを一口飲んだ。


「美味しいな、蜂蜜が入ってる」

「美味しいよね」


学院の話はしないようにしてくれているのか、ホットミルクの感想が返ってきた。


「そういえばさ、アクセサリー屋さんで何貰ったの?」


気になってたので聞いてみると、シータは少し悩んでいる様子だった。


「誰か好きな女の子とかにあげるとかだったら別に深くは聞かな「エリーにあげるつもりだったんだ」


シータは何故か怒られた子犬のようにおそるおそるペンダントを机に置いた。


「エリーがアクセサリートラウマになってるとかそういうの知ってて、ペンダントあげるってだめだろって思ったんだけど、別の、全く違うデザインなら大丈夫かなとか考えてて……」


「昔ダンジョン潜った時に見つけた花なんだけど、綺麗だから宝石に閉じ込めて保存加工してたやつで、特に何も付与してないし、絶対に壊れないように強化してもらったやつなんだけど」


「その……エリーがいらないなら封印するし、なかったことにして欲しいんだけど。それか、教会に行って記憶消去してもらうなら代金は払う」


エリーはいつもより口数の多いシータに思わず笑った。


「封印しちゃうの?いやだよ、貰っていいんだよね?」


「エリーが、いいなら」


金色の中に白い花がきらきらと輝いている。


「きれい」


エリーはペンダントを首にかけて微笑む。


「ありがとうシータ」

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