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サイハテの村人たちは勇者がいなくても平気なようです 〜ただしご近所は魔王城〜  作者: 青咲花星


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第12話 イダーテお兄さんの秘密

村の噂というものはあっという間に広まる。

それはこのサイハテ村も例外ではなかった。


「そういえば卵を切らしていたわ」


なんてことを呟けば、ご近所さんが持ってきたり。

いつも使っている馬車が壊れた、なんて言えば即日修理に来たり。

プロポーズが成立したと思いきや何も言っていないのにすれ違う人におめでとうと言われる。

ただし、誰かが振られたとかそういうあまり知られたくないものは都合よく除いてくれる。


電話や通信機が全世帯あるわけでもないのにサイハテ村では異例のスピードで情報が共有される。

とある人物による働きによるものだった。


その謎の正体とは。


「おはようございます!お天気おばあちゃんによると今日は昼ごろから雨が降るらしいですよー!洗濯物は室内で干してくださいねー!」


情報配達仕事人、イダーテお兄さんだ。


「王都新聞がきたようですよー。勇者が中層のダンジョン攻略した事に関してのようです!」


「こんにちはー!向かいの奥さん、ジャムを沢山作りすぎたから欲しかったら来てちょうだいって言ってましたよ!あとこれ注文の部品ですー」


「村長さんが手伝ってほしいって言ってましたー倉庫のドアの立て付けが悪いみたいですー!」


朝の8時、昼の12時、夕方の6時、ほぼ同時に村のあらゆる箇所で情報を伝えるイダーテお兄さん。

緊急時も村の中であればすぐに情報が伝わる。

まるで忍者、アサシンのように、瞬間移動をしたかのように。

時間になると彼は突然現れる。


そんなイダーテお兄さんも、普通に歩いて情報を伝える家が何件かあった。


「あらぁ?私のところは別に、普通に歩いてくるわよ?」

「わしのところもじゃな。歩いてくるぞ」

「うん、この間普通に歩いてたよ。ちゃんと時間ぴったしに届けてくれるけど」


目撃者は多数。男女年齢は様々。

わかりやすい共通点は一つだけ、あった。


「お猫様今日も元気そうでしゅね〜〜〜!!!」


お猫様である。

デレッデレである。


「ああ、お猫様のお腹に顔を埋めたい……」


仕事の休み時間、彼はお猫様を遠巻きに、にこにこと笑顔で見ていた。


「イダーテお兄さん、猫そんなに好きなら飼ったらいいのに」

「シッ!イダーテお兄さんは猫アレルギーなの!」


そう、お猫様が可愛くて可愛くてたまらないイダーテお兄さんは悲しいことに猫アレルギーなのである。


猫アレルギーなので、猫の近くで力を使うと風が巻き上がって毛を吸ってしまう可能性がある。

なのでいつもお猫様がいるお宅には歩いて訪問するのだった。


というのは建前で、1秒でもお猫様が見たいというのが本音かもしれない。

ご本人はお猫様がいても仕事優先、仕事大事、とスマートにこなしているつもりなので、もしお猫様を見て顔面崩壊していても素知らぬふりをしてあげて欲しい。


「イダーテくん、この間、うちのミルクちゃんに子猫が産まれたのよー写真撮ったのだけど、よかったらいります?」


「本当ですか!?ありがとうございます!!」


猫アレルギーで近づけないイダーテの事を知っている猫友たちは時々写真をあげている。

それに毎度の事感謝しながら涙するイダーテお兄さん。


今日もサイハテはとても、平和である。

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