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32、僕がドレスでメインヒロインやってます。-文化祭編 H-

「それではメインヒロインのご登場です。盛大な拍手でお迎えあれぇー! 」

『パチパチパチ』

「よっ糸谷ちゃん。待ってました!! 」

「ひゅーひゅー 」


 文化祭当日まで数日と迫った放課後。放課後はずっと劇を通して練習をしていたが今日は別。衣装が完成したということで衣装合わせの日だ。

 宅哉や他の演出者のお披露目は終了しいよいよ残るは僕だけとなった。楽しみは最後に置いておこうとクラスの一致団結により僕がここまで残されたのだ。こんなに団結力あるんだから劇でも余裕だよね。


「おぉっ!! 」

「マジで!? 」

「超俺のストライクゾーンなんだけど。告ってもいいだろうか 」


 簡易更衣室のカーテンが開かれ僕のお披露目タイムが始まる。僕の服装はお姫様のようなピンクのドレスにウィッグの色もいつもと違い金髪。自分でも確認はしたがこれはこれで決まってると思う。


「さすがだな、スバルちゃん 」

 宅哉が耳もとでそんなことをボソッと言う。なんだ、それは? 口説いているのか? いや、宅哉に限ってそんなことはあるまい。男なのにドレス姿が似合うことをからかってるだけだろう。しかしそんなからかいも僕にとっては今更である。

なにせ、既にメイド服を着て萌え萌えきゅんすらを慣れてしまっているんだぞ。はーはっはっはっは!! どうだすごいだろう。


「それにしても佐々倉の見立てはすごいなぁ。練習のときから女の声を出すのはうまかったからもしかしてとは思っていたがここまで女装が似合うとは。いやー、始めはネタ要素として笑いを取れると思っていたがここまでくると素晴らしい作品にするしかないな 」

 花沢までもが僕のことをそうやって褒める。僕を褒めたって何も出てこないからな。例えばどっかのラノベのヒロインならこういうセリフを言ったとしても内心はデレてたりするものだが忘れてもらっていけないのは僕が男であること。僕にホモやらゲイとかいう性癖はないので安心して欲しい。


「チクショウ、宅哉てめぇうらやましいぞ。俺が立候補すればよかった 」

 ふとクラスメイトの男子がそんなことを宅哉に言うと宅哉は勝ち誇った顔と笑みで返す。なんだ、このやりとりは。まさかと思うが僕をめぐってとかではないよな。一人の男をめぐって二人の男が戦うってどこのBL本だよ。僕の人生という物語をBLには染めたくない。


「さぁさぁ糸谷ちゃんへの告白は後にして今は一度あわせるぞ。この格好なら皆も気合が入るだろう 」

 騒がしい教室を花沢が一言でまとめる。さすがは成績優秀の委員長だけある。周りからの信頼度も完璧である。ところで僕は後で告白されるのだろうか。


「それでは始めのシーンから・・。よーいアクション! 」 

監督の声とカチンコ代わりに鳴らす手の音で演技は始まる。始めのシーンは僕が自分の家(豪邸という設定)で物思いにふけっているところからだ。恋人と会えなくなったことを嘆く悲しいシーンで次の宅哉が親に訴えるシーンと対になっているのである意味大事な場面である。


「ジョン、あなたと別れてから1週間がたちます。私はあなたのことを一時も忘れることが出来ず、それ故常に心が痛いです。あぁ、どうすればこの気持ちを抑えることができましょうか 」

 さて窓辺でそんなことを呟いているとメアリーの母親役であるほのかが入ってくる。ずっと思っているんだが母親がほのかというのは違和感がある。

 単純に友達だからというのや背の低さも理由かもしれないが真の理由は厳しい母親という設定とほのかの性格とは逆という僕の勝手な印象だろう。唯一母親と思えるのはこの大きい胸ぐらい。

「メアリー、まだ起きていたの? 早く寝なさい」

「はい、お母様 」

 そう言って僕は用意された布団に入る。とにかくこれで僕の第一シーンが終わった。



「はい、カット!! 」

 僕と宅哉があわやキスをしそうになったところで花沢が手を鳴らす。一通りの通しが終わったのである。


「ふぃ~、今日は一段と疲れたぜ 」

「俺は楽だったけどな 」

「お前は小道具だからな。やってる身にもなってみろよ 」

 出番の多かったものたちは皆一様に一息つく。まだ練習中とはいえ集中するので疲れるのも当然だ。とくに今日は衣装も着た状態で余計に気合が入ったのかもしれない。


「それにしても、今日の昴の演技はよかったなぁ。やっぱ服を着たら本気でんのか 」

「うん、まぁ・・そうかな 」

 純が話しかけてきたのでなんと答えれば良いのか迷いながらも曖昧に答えておく。

 というのもはっきり「うん」と答えると女装趣味であって女の子の服着れて超嬉しいもう本気出しちゃうんだからね、みたいに聞こえてしまいそうだからだ。分かっていると思うが女の子の服なら着慣れている。


「まぁどっちにせよ、その調子で頑張れよ! メイド喫茶のスバルちゃんとお前はいい勝負だったぜ。俺的には顔の好みとか色んな仕草とかでスバルちゃんだけどな。ってあれ? そういえば両方一緒の名前なんだな。はっはっは、偶然ってすげぇぜ 」

 両方とも僕だから名前が一緒なのも当然だからね、と突っ込みたかったが当然できるはずもなく心の中だけに留めておく。というか仕草ならともかく顔の好みって両方同じ顔のはずなのだが。変わっているのはウィッグだけなのだ。

 うぅん、女の子は髪型一つで大きく変わるとはいうが果たしてそうなのか、それともスバルちゃんのファンのくせしてちゃんと見てないか。後者なら僕のプライド的にも次あったらちゃんと見させてやりたい。どうして、僕はこんなに燃えてきているんだろう?


「糸谷ちゃんと純、途中まで一緒に帰らないか 」

 次に話しかけてくるのは宅哉。僕のことを糸谷ちゃんって呼ぶのやめてくれないかなぁ。慣れてないのでせめてスバルちゃんとでも。これも冗談だからね。明日からクラスでスバルちゃんとかマジで不登校になるから。


「そういえば今日は神凪はいないのか? 」

「そうみたいだよ。何でも家の用事とかで 」

「そうか、じゃあ一緒に帰るか 」

「さ、糸谷ちゃんも帰るよ 」

「ちょっと待て、僕はまだ着替えていない! 」

 お前らわざとですよね、わざと以外ありえないよね。可愛い女の子と下校する男子ってことでお前らの株を上げたいのか。それとも女装のまま下校する糸谷って噂を広めて僕を女装好きに仕立て上げようとする作戦か。どちらにせよ乗る義理はない。


「じゃあ簡易更衣室に入ってきます 」

 そういって教室に設置されたカーテンだけの簡易更衣室に入ると狭いスペースでウィッグと慣れないドレスを脱ぐ。ふぅ、後は自分の服を着るだけ。


 そう思ってビニール袋に入った自分の服を取り出そうとするとふと、服の上に小さく折られた紙が入ってあるのを見つけた。こんな入れ方をしているのだからまさかゴミではなかろう。おそらくはメッセージ。そう思ってその紙を広げると


『後で体育館裏にきてください 』


 と書かれていた。なんだ告白!? もしかして花沢が告白は後にしろとか言ってたがあれはマジだったのか。イタズラという線もゼロではないが果たしてこれを書いたのは誰だろう、と思ったがその問題はすぐに解決した。同時にイタズラではないという安心と何のようかという疑問が浮かぶ。


 紙の下に『雪前ほのか』と太くはっきり名前が書いてあったのだ。

溜め書きしていた分も前のでなくなり、1週間に一話書こうと思っていたらいつのまにか過ぎていました。

それからも書こうと頑張ったのですが中々手が進まず。遅くなってすみません。

さて話はいよいよな展開に入っていきます。

そしてあらかじめですが急に人気が伸びない限り文化祭編で完全に完結させます。今度は完全にです。まぁこんな底辺作なのでどうってことないですけどね。

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