31、芽衣がメイド喫茶で反省会を。-文化祭編 Gー
「すばるちゃん、えらい難しい顔してなに見とるんや? 眉間にしわがいって可愛い顔も台無しやんか 」
いつも恒例のゆーりんの休憩室、この言い方も恒例になっている気がするがそれはさておき。
今日は中間テストの結果が返された。もちろん赤点はなかったがそれでも英語がどうしても納得がいかない。採点ミスはないしひねくれた問題が出たというわけでもないので単なる僕の勉強不足なのだがどうして今回はこんなことになってしまったのだろう。テスト勉強を開始した日はいつもと変わらない。ならば、芽衣に勉強を教えたあの無駄な時間と放課後の劇の練習の時間のせいか。
つまり今回悪かったのは僕のせいではなく芽衣と宅哉のせいだ。よし原因判明!
「ふふっスバスバは中間テストの答案とにらめっこしてるんだよ。どうも今回のテストは悪かったらしいのだ。はっはっは!! 」
芽衣のやつ、テストが悪かったという僕の醜態を簡単に椎名さんに教えやがって。自分の醜態をさらされるのはどうも恥ずかしい。すいません、これは事実と反するので取り消して改めて。
芽衣のやつ、テストが悪かったという芽衣と宅哉の醜態を簡単に椎名さんに教えやがって。友達の醜態をさらされるのはどうも恥ずかしい。うん、完璧。まったく芽衣は自分で自分の醜態をさらすとか自虐行為にもほどがあるぞ。
「ふぅんそうなんや。せや、芽衣ちゃんは今回よかったんか? テスト前に赤点がどうこうと言ってたと思うんやけど 」
ここで思いもよらぬ、椎名さんから芽衣への反撃。テストの点が悪かったという僕に対してあそこまで盛大に笑ったのだからさぞ芽衣はすばらしい点数を取ったに違いない。ましてや金井さんから過去問をもらったりまでしてたんだから。
「その言葉待っておったぞ!! うむそなたよ、大儀であった 」
仁王立ちに腕組というなんとも誇らしげなポーズでそう言う芽衣。椎名さんは心が広いから大丈夫だと思うけど先輩にそなたとか言うのは失礼だからな。
「へぇテストよかったんだぁ。まぁ過去問もらってその問題がそのまま出たのなら当然かぁ 」
芽衣と宅哉の醜態をさらされた腹いせに皮肉っぽくそんなことを言ってしまった。普段ならこのようなこと特に純にならともかく芽衣には言わないのだが今だけは許して欲しい。
「そうそう数学とか全部問題一緒で数値も一緒だったんだよ。日本史も8割ぐらいは一緒だったし。もう楽勝すぎだよ 」
どうやらお馬鹿には皮肉は通じないらしい。ってか日本史なら暗記科目で範囲も一緒なら多少問題が一緒なのは頷けるが数学で数値まで一緒ってどんな先生だよ。そのうち過去問解けばいいって情報広まってただの答え覚える暗記科目になるぞ。
「じゃあ数学とか満点だったのか。 いままで全然のやつが満点だったら怪しまれたんじゃないか? 」
「いやぁ満点は無理だったよ。でも点数上がって冗談だけど友達にカンニングかとかいじられて大変だったよ 」
あ、数学でいくら数値まで一緒だったからって満点は厳しいか。何しろテスト勉強の段階でまさか数値が一緒とは思わないから覚えるのはそれぞれの問題の解きかたの順ぐらい。それを覚えるだけでも結局同じ問題が出てその通りの解きかたをすればいいのだから有利なのは確かだがそれでも答えは覚えるまい。
「それで結局いくらやったん? 点数 」
椎名さんが聞いてくれたが今まで肝心なことを聞くのを忘れていた。まったく同じ問題の過去問があったとはいえあの芽衣が難点取れたのかは非常に気になる。
「聞いて驚くな、なんと41点だ!! 」
「なにっ!? 」
ここまで自信があるのだから芽衣が90点とか取っても驚かないでいようと決めていたがつい逆の点がきたので驚きを隠せなかった。いや、あそこまで自信満々でいたのにこんな赤点をやっと回避したような点がくると思うだろうか。友達が冗談でもカンニングかと言っていたらしいのにこんな点数だと思うだろうか。まったく同じ過去問があってこんな点数を取れると思うだろうか。
否、誰も思わないだろう。どれほど芽衣の頭が悪いかを痛感している僕でさえ微塵も思わなかったことだ。もうここまできたら満点を取るのより素晴らしいとさえ思う。ってかその点でよく僕のことを笑えたな。
「それで日本史のほうはどうやったんや 」
あえて数学には踏み込まずに日本史に話題を変えるとは。さすが椎名さん、スルースキルが高いです。ぶっちゃけ僕もそこまでやってできない芽衣の頭事情には関わりたくない。
「そっちは31点、どやぁー! 」
どやぁー、という効果音を鳴らしつつどや顔で返す芽衣。
うんある意味でとても誇らしいことだと思うよ。1点差というぎりぎりの赤点回避に加えて、暗記科目で8割同じ問題が出たのにその点数を取れるんだからね。
「あ、あれ? 何で二人とも悟ったような顔してるの!? これでも頑張ったんだよ。日本史も数学もいつもは一桁なんだから。それが赤点回避とかもう祝賀会だよ! そう祝賀会! 今日終わったらパーッとやろうではないかっ!! 」
なんか妙に怒りがこみ上げてくる。芽衣の結果なんて関係ないのは確かだが一度は教えてあげた身。もし頑張ってもその点数なら仕方ないが、問題が同じ以上覚えればいいわけで誰でも点が取れるものを取れていない。点を取れなくて反省しているのならともかくこうまで楽観的なんて。さすがにこれは怒ってもいいよね。
「あのさ、芽衣・・ 」
そうやって説教を始めようとすると僕の顔の変容に察しがついたのか慌てて
「あ、あのねこれは違うんだよ 」
と弁解を始める。正直これを聞いたところでまともなのが返ってくるとも思えないがまぁいい。
「へぇーとりあえず言い訳を聞かせてもらおうか 」
「まず前提として点数が悪いのが駄目というのが間違ってるんだよ。いや、だからといって今勉強して将来何の役に立つみたいなありきたりなことを言うわけではない。あの・・だよ、テストというのは点数は関係ない、大事なのは今何が分かっていて何が分かってないかを確認すること。だから今回のテストで私は31点分理解していて69点分分かっていなかった。それで次には69点分もできるようにしておけばいい、これだけのことなのだよ 」
それっぽい意見を言って勝ち誇る芽衣。テストは自分のできないところを確認するもの、確かに先生がよく言う言葉の一つでそれ自体はもっともな意見である。しかし一つ大きな落とし穴があるとするならば、今芽衣が言ったことは思いつきで述べただけで到底実践はしていないだろうということ。
「じゃあ今までやったとこなら大体できるわけだ。よーし第一問、607年倭国はある人物を遣隋使として隋に派遣し国書を提出したがそのある人物とはだれか 」
「ううっ・・まぁ一つぐらい分からないとこもあるよ。さすがに完璧というわけじゃないからね 」
「第二問、日本で一番初めの銭を漢字三字でなんというか 」
「じゅ、十円玉・・ 」
「ぶぶー、答えは富本銭。第三問、苦難の末渡来して唐招提寺を開いた僧は誰か 」
「うぅっ、スバスバ・・・・ 」
「え? なんて? 」
「す・・・・うわぁーーんっ!! 」
完全敗北を喫した芽衣は耐え切れなくなって部屋を飛び出していった。少しやりすぎてしまった感もあるが僕の英語の点が悪かったのも芽衣のせいで、おまけに教えたのにあの点数でそれを詫びない。このぐらいなら許容範囲でいいだろう。
それにしても日本で一番初めの銭を十円玉とか唐招提寺を開いた僧が僕とか最後のあがきパないなぁ。
「ほんま女ってこわいなぁ・・ 」
そんな一連の様子を見ていた椎名さんがぼそっと呟く。一応断っておくが僕は女じゃないですからね!!
中間テストのほぼ番外編的な話が続きましたが次話から実際に文化祭に向けて入っていけたらという願望でございます。




