第27話 たちはだかるもの
古い石造りの通路を、俺たちは歩いていた。
壁に刻まれた文字は、ところどころ崩れていて読めない。
それでも、遠くに見える光だけは少しずつ大きくなっていた。
「もう少しですね」
「だな」
地上に近づいている。
そう思うだけで、少し気持ちが軽くなった。
食料も水も、無限にあるわけじゃない。
早く帰らなければならない。
だが、通路を進むにつれて違和感が強くなってきた。
「……静かすぎないか?」
「はい」
魔物の気配がない。
足音すら聞こえない。
深層に入ってから、こんな場所は初めてだった。
リナが壁に手を当てる。
「風はあります」
「じゃあ、やっぱり外に近いんだな」
「ただ……」
リナが眉を寄せる。
「この先から、別の気配も感じます」
「魔物?」
「分かりません」
俺は剣に手をかける。
慎重に歩く。
そして――。
通路の先に、大きな広間が現れた。
「……なんだ、ここ」
広間の中央には、巨大な柱が一本立っている。
その柱を中心に、床へ複雑な紋様が刻まれていた。
魔法陣のようにも見える。
「これ、何か分かる?」
「分かりません」
リナが近づく。
しかし、触れることはしない。
「古いものです。かなり長い間、使われていないように見えます」
「じゃあ、ここは何かの施設だったのか?」
「可能性はあります」
俺は柱を見上げる。
すると、柱の表面に小さな文字が浮かび上がっていることに気付いた。
「……文字?」
近づいてみる。
だが、読めない。
「リナ、これ読める?」
「いえ」
俺も首を傾げる。
その瞬間だった。
――カチッ。
何かが動いた。
「っ!」
床の紋様が淡く光る。
「レオン様、下がってください!」
リナが俺の前に出る。
しかし――。
何も起きない。
光っただけだった。
「……?」
数秒待つ。
やはり何も起きない。
「罠じゃない?」
「その可能性はあります」
俺は慎重に床を見る。
そして気付いた。
「これ……魔法陣が途中で切れてる」
「本当ですね」
魔法陣の一部が壊れている。
これでは何かを発動させることもできないらしい。
「昔は何かに使われてたんだろうな」
「おそらく」
俺たちは広間を抜ける。
その先に、また通路があった。
そして――。
光が一気に強くなった。
「……出口だ!」
俺は思わず走り出す。
「レオン様!」
リナも追ってくる。
通路を抜けた先。
そこには――。
巨大な地下空間が広がっていた。
そして、その奥に見えるのは。
「……外?」
遠くに、木々が見える。
空も見える。
どうやら、地上へ続く出口が近いらしい。
「やっと……」
俺は思わず息を吐いた。
長かった。
本当に長かった。
ダンジョンに落ちてから、どれだけ経ったのか。
時間の感覚すら曖昧になっている。
「リナ」
「はい」
「帰れるぞ」
「……はい」
リナも小さく笑った。
だが、その瞬間。
地面が揺れた。
「……え?」
――ゴゴゴゴゴ。
「レオン様!」
「分かってる!」
地面に亀裂が走る。
出口の方から、大きな音が響いた。
「まさか……」
俺たちは顔を見合わせる。
すると、地面の奥から魔物の咆哮が響き渡った。
さっきの地下湖にいた魔物とは違う。
もっと近い。
もっと大きい。
「……まだ帰してくれないらしいな」
俺は剣を抜いた。
リナも短剣を構える。
「どうしますか?」
「倒して進む」
「承知しました」
俺は前を見る。
出口は目の前だ。
あと少し。
なのに――。
このダンジョンは、最後まで俺たちを簡単には帰してくれないらしい。
地面の亀裂が、大きく開いていく。
その奥から、巨大な腕が伸びてきた。
「……デカすぎだろ」
俺は思わず呟いた。
リナが短剣を握り直す。
「では、行きましょう」
「ああ」
俺たちは、最後の敵へ向かって走り出した。
ステータス
レオン・アストレア
職業:????
役職:貴族
レベル:6
HP:350
MP:305
攻撃:158
防御:126
魔力:145
敏捷:122
運:43
スキル:
《チャット》
AIとの会話
遠隔チャット
《剣術》
《???》
《因果視》
《魔力循環》
《異常耐性》
《????》
《先読》
称号:
アストレア家の嫡男
貴族
冒険者
リナ
職業:死影
レベル:12
HP:210
MP:89
攻撃:134
防御:54
魔力:34
敏捷:173
運:40
スキル:
短剣術
隠密
気配察知
暗殺術
《急所看破》
《影歩》
《致命追撃》
《殺気遮断》
《影縫い》
《死影の一撃》
称号:
レオンの護衛
死影
暗殺者




