↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖天使クリスティーナ 「大切な友達を、見出しここに連れて帰ってあげたい」ティナとドルフィの永遠の物語  作者: ジェノヴァnovel


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/28

第2話 空の彼方へ

 挿絵(By みてみん)


◇ティナサイド◇


 私はその首元にしっかりとつかまりながら、

彼と同じ方向を見つめた。



「……近くまではすぐに行けるけど、あの星の周りには

 強力なバリアゾーンがあるんだ。

 だから降りることはできないよ。」



 私はミルキースターをじっと見つめ、小さく唸る。



「……んんん……。なんとか降りてみたいな……。」



 少し考え込んでいたドルフィが、不意に口元を緩めた。



「じゃあ、超高速のドラゴンフライで

バリアゾーンに突っ込んでみようか。」



 私はぱっと表情を明るくし、思わず歓声を上げる。



「いいねえ! それ、やろうやろう!」



 だがドルフィはすぐに真剣な顔へ戻った。



「でも、僕は鉄よりも硬い鱗があるから、

 多分平気だけど……君は大丈夫なの? 

 バリアに突撃する衝撃は、きっとものすごいよ。」



 私は自信満々に胸を張る。



「その点はちゃんと考えてあるから。」



 ドルフィは不思議そうに首をかしげた。



「何だい、それは?」



 私は身振りを交えながら、自分の作戦を説明する。



「ドルフィがバリアにぶつかる瞬間に、

 私はあなたの背中から飛び立つの。一瞬でもバリアに穴が開いたら、

 その隙にミルキースターへ降りるってわけ。」



 ドルフィは「なるほど」と小さく頷いたものの、

すぐに困ったような笑みを浮かべた。



 「でもさ、それでうまく雲星へ入れたとしても、

  帰るときはどうするの?」



 私は少しだけ考える素振りを見せたが、

すぐに笑顔で答えた。



「うーん……その時は、その時にまた考えればいいじゃん。」



  ドルフィは呆れたように苦笑しながら、

 大きなため息をつく。



 「君は本当に、いつも先のことを考えないんだから。

 やっぱりやめておこうか。」


 

 私は思わずドルフィの首元に身を乗り出し、

必死な声を上げた。



 「ダメ! 私はどうしても行ってみたいの! 

 だから……お願い。早くミルキースターへ向かって!」



 ドルフィはしばらく黙ったまま飛び続けていた。



  困ったような表情を浮かべていたけれど、

 昔からドルフィは私の願いをなかなか断れない。

 無茶なお願いだと分かっていても、

 最後にはいつも聞いてくれる優しい人だった。


挿絵(By みてみん)


  やがて彼は小さく息を吐き、

 覚悟を決めたように言った。


 「……分かったよ。そうと決まれば、

  背びれにしっかり捕まってて。」



  私は満面の笑みを浮かべ、

 元気よく返事をする。



 「わあーい! アハハハ!」




   私はドラゴンとなったドルフィーノの

背びれに、両腕でしっかりとつかまった。


 ドルフィはミルキースターを目指して、

さらに速度を上げていく。


 ――なんという速さだろう。


 私を乗せたドラゴンのドルフィはミルキースター雲星を

目指し、羽ばたいてゆく。私は後ろを振り返った。

 私たちの祖国、パンゲア雲大陸は小さく見えた。


私を背に乗せたドルフィーノは、ゆっくりと

高度を上げていた。そのときだった。


 彼の白い巨体から、青い光がふわりと広がり始めた。


 まるで炎のような青いオーラが全身を包み込み、

私のところまで温かな熱が伝わってくる。



「……ねえ、ドルフィ。なんだか体が熱く

なってきてるんだけど……」



 私がそう尋ねると、ドルフィは前を

向いたまま答えた。



「……これから地球の大気圏、つまり

 バリアゾーンを突破するからね。衝撃と

 大気圏の熱からティナを守るために、僕の体を

 オーラのシールドで覆っているんだ」



 そう言ってから、彼は少し

申し訳なさそうに付け加えた。



「この前は、それを忘れちゃったからね。

 ティナは大気圏にまともにぶつかって、

 そのまま落ちちゃったんだよね」


「……んん?」



 私は記憶をたどるように、少しだけ上を向いた。

そして、ようやく思い出した。



「あっ、そうだった……。あのとき、私は地球の

 大気圏にぶつかって落ちたけど、ドルフィが

 受け止めてくれたから助かったのよね」


「……あのときは、本当にごめん」



 ドルフィの声には、今でも申し訳なさが

残っていた。



「命は助かったけど、ティナは左の翼を折って

 大怪我をしたから、あのときの冒険は中止に

 なって、そのまま帰ることになったんだよね」


「……そうそう。あのときは翼が折れちゃって、

 本当に痛かったんだからね」



 私は少し頬を膨らませてから、心配そうに

彼の背中を見つめた。



「それで、今度は大丈夫なの? ちゃんと

 大気圏を越えられるの、ドルフィ……?」


「もちろんさ」



 ドルフィは自信たっぷりに答えた。


「地球の大気圏程度なら、このシールドを

 張れば難なく突破できるよ。ティナも無傷でね」


「……本当?」


「本当だよ」


「……今度は、ちゃんと突破してね」


「分かってるって。じゃあ、大気圏を

 抜けるよ。しっかり捕まってて!」


「う、うん!」


挿絵(By みてみん)



 ドルフィは大きく翼を羽ばたかせた。


 次の瞬間――。



「ギャオオオオオオッ!」


 甲高い咆哮が、青い大空に響き渡った。

同時に、私の身体を包み込むように青い

オーラのシールドが展開される。



「……す、すごい……。これなら、

 いけるかも……!」



 私はドルフィの背びれを両手でしっかりと掴んだ。


 そして――。


 ドルフィは一直線に、地球の大気圏へと

突っ込んでいった。


 視界いっぱいに、赤く輝く光が広がった。

猛烈な熱と衝撃が押し寄せてくる。


 けれど、不思議なことに私の身体には

ほとんど何も伝わってこない。


 青いシールドが、すべてを遮ってくれているのだ。


 やがて――。


 私たちは、地球の大気圏を無事に突破した。

背後を振り返る。


 そこには、青く美しい地球が丸い姿を見せていた。



「……わあ……」



 私は思わず息をのんだ。

私たちは今、地球から青い宇宙へ飛び出したのだ。


 そして、前方に視線を戻す。



「……うわあああ……綺麗……!」



 そこには、巨大なミルキースターが

浮かんでいた。


挿絵(By みてみん)


「あれが……近くで見るミルキースターなんだ……」


 真昼の青い空を背景にして、巨大な星が

ゆっくりと視界いっぱいに広がっていく。









 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。