68.パナセ・アウリーンとの結び
「はわわわわわわわ!? あ、あああ……はにゃ~~」
「ふ、お前がいてくれなければ俺はここまで来られなかった。本当はもっともな褒美をするべきだが、今はこれで許してくれ、パナセ」
「ナ、ナデナデ~~はふぅぅぅぅ!!」
「思う存分に撫でてやろう」
この先のことはその時に考えることとして、ルシナやアミナス、ストレがいるこの場で見せつける形となってしまうが、パナセへの褒美と同時に俺は、彼女と生涯の契りを結ぶことに決めた。
たとえどんなことになろうとも、最初から俺に付いて来た女を信じなくて、何が賢者なのかと思ったからだ。
「ア、アクセリさま……? まだまだナデナデして欲しいです~~その手はどこへ~?」
「心配するな。先にしなくてはいけないことがあることを、済ませるだけだ」
「ほえっ?」
ルシナは不貞腐れているようだが、パナセについてのことに関してはとやかく言わないだろう。
デニサの影もとうに消えたことだ、今しかない。
『この場で誓わせてもらう! この俺、アクセリ・ルグランは、薬師パナセ・アウリーンを生涯において愛し続けて行くことを誓う!!』
「はわっ!? ほええええええええええええええ!? うそうそうそ……急いで飲まなきゃ」
「えええっ!? ア、アクセリ……そ、そんな……」
「ん、そうすべき」
「愛し続けるって、何だ、おっさん?」
「聞いての通りだ。俺はパナセを愛する者。もちろんルシナの応じにも心を許すが、生涯における者はパナセだけだ。許せ」
「ふ、ふん! そんなのは、会った時から知っていたことだわ。わたしはパナの妹だし、応援というよりも、もっと背中を叩いて押して上げるんだから! わたしがそこまで弱いと思ったら、大間違いなんだからね?」
「……ふ、そうだな」
さすがはパナセを支えて来たしっかり者の妹といったところか。
ストレは最初からそうだと思っていたようだし、アミナスにはよく分からないことだったようだ。
さて、肝心のパナセだが……!?
「お、おい、パナセ!! な、何だ、何をした?」
「パナ!? あぁぁ、嘘でしょ……アクセリからの言葉で、今それを飲んで逃げるなんて、パナらしいというか何というか……」
「何? 何を飲んでこうなった?」
「石化する薬を作ったんだけど、使い道が無いって嘆いていたけど、本当にこの子って……」
意を決して宣言した結びの言葉だったが、パナセの行動は、相変わらず突拍子の無いことをしでかしてくれた。
まさか自らを石化させて、現実から逃げてしまうとはな。
「ルシナは石化を解く手段を知っているんだろう?」
「ま、まぁね……それもパナの狙いなんだろうけど、かえって驚くことになるのにこの子ってば……」
「あぁ、そういうことか」
「この子たちと少しだけ離れているから、パナを元に戻してあげて」
「そうだな。頼む」
全く、考えも思いもつかないことをやる女だ。
俺の姿を消したりしたし、痛みを移したり……正体と素性の全てを知らずとも、パナセであれば全て許せるといえる。
今さら見られて恥ずかしいことなど無いが、ルシナには気を遣ってもらった。
「――んんん……」
「……お望み通りにしてやった。パナセにとっての拒みでは無いのだろう?」
「はうぅ~~アクセリさみゃ~……わたしでいいのです~?」
「最初からパナセと決めていた。どうなろうとも、俺はパナセを愛すると誓う」
「は、はひいぃぃ!! わ、わたしもですですです! アクセリさまを愛しますです」
「ああ。たとえどうなろうとも、変えるつもりはないと思っていい」
「は、はい。よ、よろしくお願いします……です」
パナセの目論見通り、石化した……石の感触のまま、パナセに口づけをした。
「……さて、パナセ。覚悟はいいか?」
「勇者を追い出してやるですよ~! お~!」
「その意気だ」




