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きく 

 散歩中に晩秋の風を受け道端に咲く菊をみて、在ることを思い出しました。

 ――除虫菊。

 そう、蚊取り線香の原料となる菊の事です、現在は合成ピレスノイドの殺虫剤を使った蚊取り線香が幅を利かせていますが、元々は除虫菊を使ったものでした。

 山を歩くときに襲ってくるモンスター(蚊)から身を護るマストアイテムです。


 このぐるぐるまきの線香、(2箇所に火をつけてはいけません)と注意事項に有ることが書いてるのを気がついている人はいるでしょうか?

 この不思議な注意書き、実は伊達じゃなく守らないとえらい事になります。(携行用蚊取り線香の場合は)


 今年の夏、雲霞のごとく襲う虫を駆除しようと二刀流と意気込み蚊取り線香の両端に火をつけ携行蚊取り線香入れにいれ山に入りました。

 そして1時間も立たないうち異変は起きたのです。


 それは腰につけていた蚊取り線香缶の異変から始まりました。 太ももに何か熱いものが当たる感覚がして蚊取り線香をふと見ると……多数の火口が出来て、もうもうと煙を上げているではありませんか。

 ボヤどころか殆ど火事です。

 今まで知らなかったのですが、渦巻きのまま2箇所から火をつけると燃える最中に別の場所に引火して燃える場所が2箇所、4箇所……と倍々ゲームで増えていくのでした。 

そしてとんでもない熱量が発生する事となります。

 ――クソ暑い最中にも関わらず。


 注意書きの理由はこれかいな。

 しかし、状態が判ったところでどうにもなりません。

 線香を捨てれば、蚊の餌食。その選択肢はできません。

 灼熱地獄の森の中「あっちぃ~~!! ふぎゃ~!!」と灼熱の缶が太ももにあたるたびに悲鳴を上げる自分。

 仕方が無いので腰に付けてあったものを首元に付け替え、ネコの鈴のようにぶらさげました。

 これで熱さからは開放されましたが、もうもうと立ち込める煙からは開放されたわけではありません。

 辺りの蚊も根こそぎ駆除されるでしょうが、人間もたまりません。

 下手をしたら人間の方が駆除される程の煙の勢いに。ごほごほせき込む自分。

 さながら狸いぶしならぬネコいぶしです。


 その時、悟りました。

 注意書きは伊達に書いてあるのでないと。

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