104.取引
「オメェラ、気合い入れろォ!ぶっ殺せェ‼︎」
頭領の怒声のような号令に、俺を捕まえた方の盗賊団が恐れ知らずに正面から突撃した。それを迎え撃つ方の盗賊団もまた怒声と奇声をあげ、二つの盗賊団が衝突。砂上は剣戟の音と、野太い男共の声で騒然となった。
一瞬拮抗した二つの盗賊団。だが、その天秤はすぐに傾きを見せた。二つの要因で。
一つ目の要因としては、相手側の盗賊団は砂漠という地形に慣れているのか、こちら側の盗賊団に比べて動きがいい事だ。機動力が違うというか、動きにおかしな所がない。一方、俺を捕まえた方の盗賊団は砂に足を取られ思うように動けないようだった。バランスを崩し何もない所で転けたり、全力ダッシュしただけでバテたりしている。
そして、もう一つの要因。相手側の盗賊団の中でも特に目まぐるしい成果を上げる者が一人いた事だ。ハッキリ言って、そいつは別格だった。向こう側の頭領だろうか?
その男だけで、半数もの男を倒していた。
明らかに他とは一線を画した動き。精錬された剣筋には無駄がなく、動きも他と比べて倍以上速い。それに、魔装とはまた別の魔力を体に纏わり付かせているように見える。それも、魔力感知しなければ感じ取れないような、目に見えない何かだ。
あんな強い盗賊がいるのかよ……さすがに世界は広いって事か。
そんな風に男の動きを横目で追いながらも、俺は檻の破壊に取り組んでいた。そして、段々と焦りつのる。
あれは相手が悪い。
どう考えても負けるのは俺を捕まえた方の盗賊団で、向こうが勝ったらきっと俺を含めた子供達は代わりにあいつらに売られる事になる。
そうなってもさっきまでと状況は大して変わらない。変わるのは、逃走がより困難になる事。正直、向こう側の頭領らしき男相手には、この鎖をつけたまま逃げ切れるとは思えない。
だから焦った。早くこれを壊さないとと。
そんな焦る俺を余所に盗賊側は頭領戦に入っていた。
だが、結果は見なくてもわかる。既に仲間たちは砂の上に倒れ、頭領のおっちゃん一人しか立っていない。大して相手側はまだ何十人もいる。
「くそガァ‼︎」
頭領のおっちゃんは相手側の頭領に捨て身覚悟の突撃を敢行。しかし、その捨て身覚悟の一撃も頭領に届く事はなかった。
美しい体捌きで躱され、腹に一撃入れられる。軽やかで、無駄のない動きだった。それだけで男の実力が垣間見えるというもの。俺としては嬉しくない事実だが……
おっちゃんは腹に受けた衝撃に耐え切れなかったのか、腹を抑え唾を苦しげに吐いた。
頑張れおっちゃん! もうちょっと、もうちょっとだけ踏ん張ってくれ!
やっと二つに折れた檻の棒に蹴りを入れて曲げながら、心の底からおっちゃんを応援した。
立ってくれ。頼む、立ってくれっ! 立つんだ、おっちゃんーー‼︎
そんな俺の祈りが通じたのか、おっちゃんはフラフラと立ち上がる。
そして、相手側の頭領に向けて、
「俺達ゃあんたの下につく。だから、命だけは助けてくれ」
プライドはないのかぁッ‼︎
俺はさらに悪くなった状況に冷や汗を流す。
おいおい、どうするよ? どんどん状況が悪くなってるんだが……
ガンガンガンガン‼︎
足で柵を蹴りながら、もう少し戦いを長引かせる方法はないものか考えた。そして、今日は冴えてるとばかりに速攻で閃いた。
「ああーっ!おっちゃんの方の頭領が、相手の頭領背中から狙ってるーー!」
その嘘の叫びに皆一斉におっちゃんの方向を振り向いた。
悪いな。おっちゃん。もう少し時間稼いでくれ。
一方、冤罪をかけられたおっちゃんは必死だ。必死に首を振って自分に敵意がない事を示す。そして、その僅かな隙に子供一人分ぐらいの大きさが空いた檻から出ようとする俺を指差し叫んだ。
「あいつだ! あのガキが嘘言いやがったんだ! 自分が逃げる時間を稼ぐために! 頼む、あの生意気なガキ殺してくれ! 俺達ゃ、あのガキに散々良いようにやられたんだ!」
いらん事を……
だが、もう遅い。空を飛んで逃げれば、こっちの勝ちだもんね。
よし、逃げよう!
ガシャ
「うん?」
おかしい。進まない。もう一度。
ガシャッ
あれ?
俺は不思議に思って後ろを見ると、俺の足枷から繋がる鎖が折れた檻の棒に引っかかっていた。
「ちくしょうっ! なんだってこんな時に……!」
俺は慌てて檻へと戻った。そして、鎖を引き離そうとして、
「待て、少年! 鎖をつけたままでは不便だろう!」
動きを止めた。
えっ? 逃がしてくれんの?
確かに鎖があると邪魔だけど……本当に?
いや、嘘だって可能性も……
俺は迷った。このまま逃げるべきか、あの男の言葉を信じるかで。
しかし、そんな俺の心情を悟ったのか、男はよりわかりやすい行動に出る。
「おい、そこの男鍵はどこにある?」
「うへっ?」
「鍵だ。鍵はどこにあるのだ?」
今先程手も足も出ずに打ちのめされた男に問い詰められたおっちゃんは慌てて鍵を取り出し差し出した。
「か、鍵はこれでせぇ。けど、お頭あのガキ自由にさしたら危険ですぜ。見ての通りおかしな変身するような奴ですぜ?」
「いいから貸せ。私は奴隷商売はしない主義だ」
男はおっちゃんから無理やりに鍵を奪い取ると、俺に近づこうとはせず、鍵だけを放り投げた。飛んできた鍵は見事に俺の手の中に。そして、それをすぐに鍵穴に差し込んだ。
ガチャリ
そんな音を立てて手枷が外れた。足枷もまた同様に。
自由になった手足。そして何より、
「魔爆」
戻った魔力。
俺は崩れ去る檻を見ながら、解放された喜びを噛み締めた。
そして、グッと拳を握ると……
「水を寄越せーー‼︎」
当初の目的を叫ぶのだった。
〜〜
「美味い‼︎ 喉がカラッカラの時に飲む水は最高級の飲み物にも勝る! なぁ、そう思うだろ? おっちゃん」
「そうでやんすね。人から奪い取った水をそこまで遠慮なく飲めるんだから、お前さんは盗賊向きでさ」
奪い取った水をガブガブ飲む俺をおっちゃんは恨めしい目で凝視していた。
「そんな目で見るなよ、おっちゃん。もう俺は満足したからこれ返すから。俺たち色々あったけど、これで全部水に流そうじゃないか。水だけに」
「返してくれんのはありがてぇが、そのダッサイ親父ギャグはなんだ。その年でそれだと先は望めねぇな」
「う、うるせぇよ!」
そんな事言われるまでもなくわかってますぅ。言ってから俺何言ってんのって恥ずかしくなったからッ……!
「少年、少し来てくれるか?」
俺とおっちゃんが話していると、声をかけてきた人物がいた。
その人物は銀髪の少しやさぐれた男だった。背は高く、やさぐれてはいるが全体的にガッチリした体型の持ち主だ。服装は、汚れたバンダナに、体全体を隠せるフードを羽織っている。
この人は先程俺を鎖から解放してくれた相手側の頭領だ。名前はまだない。いや、聞いてない。
「俺はレイ。助けてくれてありがとう、頭領さん」
「私はルクセリアだ。レイ、子供達が怯えて話にならないのだ。同じ奴隷になりかけた者なら心を開くかもしれない。私達が危害を加えるつもりはない事を伝えてやってくれないか?」
名前はルクセリアというらしい。ルクセリアは今も檻の中から出ようとしない子供達の対応に困り果て、俺を頼ってきたようだ。
鎖を解いてもらった恩は返さないといけない。快く協力する事にしよう。
「オーケー。俺と同じで酷い目にあって警戒してるんだな」
「オメェに関してはどちらかと言うと俺らだよな? 酷い目にあったのは」
水に流そうと言ったのにしつこく根に持つおっちゃんを無視し、俺はイカツイ顔で子供達に不気味に笑いかける盗賊達の代わりに子供達に話し掛けた。
「やぁ」
4人の子供達が一つの檻の中に入れられていた。それは多分俺の悪影響が出ないようにと、俺だけ別にしていたからだろう。子供達は身を寄せ合い震えていた。とても怯えているようだ。
そんな怯える子供達に俺はイケメン華やかフェイスで話し掛けた。
しかし、このイケメンフェイスをもってしても子供達の心を開く事は出来なかった。虐待を受けた犬のように怯えた目でこちらを見つめる子供達。俺に対しても警戒心を丸出しにしていた。
弱ったなぁ……
少しでも警戒心を解かないと話も出来ないぞ。
「アニマルズ」
俺は魔法を唱えた。子供達は魔法で攻撃されるかと思ったのか、より表情が強張った。
だけど、これは攻撃する魔法じゃない。
初めに現れたのは、水の鳥。それから、馬、象、犬、猫と次々に水が動物の姿を形作る。
「安心して、これは攻撃する魔法じゃない。こうやって遊ぶための魔法だよ」
未だ警戒を解かない子供達に代わり、俺は動物達を撫でた。それに合わせ俺の精密な魔力操作により、動物達は気持ち良さそうに大人しく撫でられているような動きをする。
その動きは子供達の好奇心を刺激する。
「触ってみるか?」
一番好奇心が旺盛そうな男の子にそう優しく問い掛ける。すると、男の子は迷ったように周りを見渡してから、ゆっくりと犬に手を伸ばした。
それに合わせて犬の頭を少し下げ、俳優スキルを用いて犬を演じる。ペロッと舌を出し、男の子の手を撫でてやると、男の子は目を輝かせ笑った。それを見て、他の子供達も犬に手を伸ばした。
それからは早かった。犬以外にも興味を示した子供達と精一杯遊んだ。まるで本物のような生き生きとした動きをする動物達に童心に戻った子供達は笑顔を絶やさず遊んでいた。
そして、動物達がただの水に戻った時には、既に怯えは欠片も残っていなかった。代わりに悲しそうな目をして、俺を見詰めてきた。
「大丈夫。あいつらは疲れたから、自分の世界に帰っただけだよ。俺が呼べばまた会えるさ」
それを聞いて子供達はパァと顔を輝かせる。
さて、警戒は解いた。本題に入ろう。
「外に出たくないか?」
「……出たいけど、怖いよ」
俺に対しての警戒心は解けたようだが、一度落ち着けば盗賊達に対しての恐怖を思い出したようだ。
「大丈夫。あの人達はいい人さ。顔は怖いけど。それにもし何かあったら、君たちは俺が守る」
「お兄ちゃんが?」
「ああ。こう見えて、俺は結構強いんだぞ?」
試しにと、俺は問い掛けてきた女の子の鎖を引きちぎった。そして、暖かく子供達に微笑みかけた。
「大丈夫。俺が必ず守ってやるから」
「うん!」
俺のデモンストレーションが上手く行ったのか、子供達は俺の後に続き檻の外に出た。ただし、怖い事は変わりないようで、俺の背中に隠れるようにしてだが……
「頭領さん、言われた通りにしたよ。それで、俺たちはどうしたらいいのかな?」
「好きにして貰って構わない。ただし、私達は盗賊。君達を元いた場所へ送り返す気はない。自分達の足で帰るか、盗賊見習いとして付いてくるか、選んでくれ」
そう子供達にとっては酷く冷たい事を言ったルクセリア。その眼には確固たる意志があり、説得には応じない事が一目でわかった。
俺の背中にしがみつく子供達の握る手が強くなった気がした。俺はそれを受けて、敢えて聞くことにした。
「念のために聞く。盗賊団として俺たちを元いたところに返す事はしないって事でいいんだな?」
「そうだ。連れて来ておいて無責任だと思って貰って構わない。だが、解放されただけでも有難く思ってくれ。本来なら君達は奴隷として一生を終えるところだったのだ。もし帰りたいと言うのなら近くの街まで送るぐらいの事はしよう。だが、そこから先は自分達でだ。ただ、私は子供達だけで街の中で生きていけるとは思わないがな」
まるで俺たちを脅すように、帰るという選択肢の難しさを説くルクセリア。これはつまり、生きたければ盗賊になれと言っている事と同義ではないだろうか?
片方は無理難題の選択肢を二つ出し、もう片方の選択肢を選ばせる。それであたかも自ら盗賊になったかの様に子供達は錯覚するだろう。
悪どいといえばそれまで。だが、相手は盗賊。そんな事言っても意味はない。この人の言う通り解放されただけでも運が良かったとみるべきか。
「どうする? 私はどちらでも構わないが、早く決めろ。時間があるわけではない。決められないのであれば、このまま置いていく事になるが……」
ルクセリアは俺たちの選択を急かした。子供達はオロオロと目に見えて、困っていた。助けを求めるような目で俺を見てくる。
さて、どうするか。
俺はこのまま放置でも別に構わない。だが、問題はこの子達だ。このまま盗賊にしてしまうのは、忍びない。だからと言って街に戻れば、必然俺が彼らを送り届けなければならなくなる。
善人ならば、迷わず後者を選ぶだろう。だが、俺は悪い所がない善人などではない。基本、自分の欲に正直に生きてきた。それで失敗したわけだが、またここで彼らを助ける為に俺が動いていいのだろうか?
それはまた俺のプライドを満たすだけの偽善ではなかろうか?
だから、迷った。
会って数日の子供達に同情がないというと嘘になる。だが、セーラの一件を思い出すと、それだけで俺が彼らを送り届ける事も間違いである気がしてならない。
どちらか正解か、俺は考えた。だが、元々それがわからないから旅に出たようなものだ。答えが出ようはずもない。
俺は自分の力をどう振るっていいかわからないんだ。それは魔物と戦ったりする時の事を言っているのではない。
意志がないのだ。何の為に力を振るったらいいかわからない。だから、無闇やたらに力を振るう事になってしまった。
その意思を持てるまでは、軽率な行動は控えよう。特にこのような他人に責を背負わせる可能性がある場合は。
俺は子供達と目を合わせようとせず、彼らの選択に委ねる事にした。
彼らが盗賊になるのなら、止めない。だが、しばらくは見守ろう。
街に行くのなら、最低限援助はしよう。だが、送りはしない。
そう一歩引く事で、俺は割り切った。
しばらくの沈黙の後、俺が口を出さない事を察したのか、好奇心が最も旺盛な男の子が口を開いた。
「僕は……盗賊になる。それで、大きくなったらお母さん達の所に帰る」
その判断はこの場合において、最良に思えた。子供のうちは元いた所に帰るなど不可能だろう。だが、大きくなれば、帰る事だって出来る。
冷静に事態を受け入れているからこそ出来る判断だと思った。だが、一方で頭領達がそれを許すとは思えなかった。
しかし、頭領は男の子に微笑むと優し気な顔で告げた。
「そうか。帰れるといいな」
俺はわからなくなった。
悪い人ではないと思っていたが、何がしたいのかわからない。俺たちを仲間にしたいのか、帰したいと思ってるのか、わからなくなった。
男の子の言葉が他の子供達の呼び水となったようで、次々に選択していく。盗賊の道を。だけど、帰る事を諦めていない様子で。
そして、残ったのは俺だけだった。子供達の意思を聞き終えた頭領は俺に問い掛けた。
「レイ、君はどうする?」
「俺は盗賊にはならない。だけど、この子達が心配だからついては行く」
俺は我を通した。またシャルステナに自分勝手だと言われるかもしれないが、俺にもどうしても譲れない一線というものがあったのだ。
「その選択肢は与えなかったが? 付いてくるのなら盗賊として、だ。それ以外は認めない」
「いや、認めるさ。俺に利用価値があればな。……頭領さん、一つ俺と取り引きしないか?」
「取り引き?」
俺は頭領に取り引きを持ち掛けた。それは我を通す代わりに俺が差し出す物の交渉だ。
「あんた達は俺が付いていくのを黙認するだけでいい。代わりに俺は物を提供しよう。生憎今は金がないが、物は色々とある。必要なら、俺が街に買いに行ってもいい。どうだ?」
俺の提案を聞いて頭領はしばらく思案顔になる。そして、考えが纏まったのか口を開いた。
「確かに、私達にとって悪くはない取引だ。だが、君がアジトの場所を突き止めようとしている可能性も捨て切れない」
「なら、血契約を交わそう。俺があんた達のアジトを漏らせば死ぬという契約を」
俺は疑うような視線を向けてくる頭領に即答した。
血契約。それは自信の血を持って契約する、最高度の契約。それを反故にするのは容易ではない。
しかも、罰則は死。血契約で用いられる罰則の中でも最大級のもの。そんな契約を結ぶなど、正気ではないと頭領は目を疑った。
「理解に苦しむぞ。何故そうまでして盗賊になりたくない? 付いて来たいのなら盗賊になればいいだろう?」
「生憎、俺の職業は冒険者だ。盗賊じゃない。そこは俺のプライドが許さないのさ」
これが譲れない一線というやつだった。どうしてもそれ以外の職につくのを俺は認可出来そうになかったのだ。
「……わかった。私にも自分のプライドが許さない事は多々ある。君もそうなのだろう。ただ、一つ。残念な事がある。レイ、君の要求を通す大前提を君は持っていない。君は金だけでなく、私達に提供する物まで持ち合わせていないだろう?」
あくまで取り引きは結ばない方向のようだ。だが、言ってる事は正論で、嫌だからという精神論ではない。
だから、頭領の正論を全て破れば取り引きは出来ると俺は確信した。
「それはそこのおっさんに取られた剣の事か? それとも俺がまくら代わりにしてた愛用の太もも型の石の事か?」
「二つ目が何かはわからないが、君の剣はもう私達のものだ。そこは盗賊。奪った物を返す気はない」
なるほど。それが頭領の一線か。盗賊として物は奪うが、それ以外は奪わないという一線に俺は聞こえた。
「別に構わないさ。元々、折れた愛剣の代わりだ。取り返そうとも思わない。だが、俺の持ち物がそれだけだと決めつけるのは早計だよ」
「何?」
「世界には摩訶不思議なスキルがあるんだよ」
こういう時は派手にいこう。頭領に俺の価値を見せつけなければならないからな。
「収納空間オープン」
俺は場所を俺と頭領の周りに指定し、武器を大量に取り出した。剣や槍、斧や盾、弓と矢まである。種類は実に多様だ。
何もない場所から現れた様々な武器にその場にいた者が一様に目を剥いた。
「まずはこれを提供しよう。俺にはもう必要ない物ばかりだが、あんた達には必要な物だろう?」
「……いいだろう。取り引きしよう」
口角を上げた頭領と、ニヤリと笑う俺はお互いの右手を固く結んだ。




