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102.求めるものは……

プロローグなので短め。

 砂嵐が舞う大地。

 乾いた砂塵が舞いあげられ、砂粒を含む風が吹き荒れる。その風目を守るため瞼を閉じると、浮かんでくるのは、闇夜の小部屋に縛り付けらた少女の細い骨と皮だけの体に刻まれた残虐な傷跡。そして、残酷な運命の中で、一際無慈悲に輝く少女の笑顔。


 瞼の裏に焼き付けられた血と悲しみが、私に語り掛ける。


 理想を果たせと。


 目を開けて、再び外界に瞳を晒せば、心に浮かぶ一時の平穏の中で生まれた愛。それを奪われた悲しみと怒り。全てを失い、生き残った自身への無力感。


 心を埋め尽くすほどの激情が、私に要求する。


 復讐を果たせと。


 だから、私は蛇となった。理想も復讐も全てその牙の毒で溶かし、腹に飲み込んだ。


 いつか大蛇となるその日まで、腹に蓄えた毒を育て続ける。地べたを這いずり、血反吐を吐けど我が毒は潰えない。

 蓄えた毒が、この体もろとも全てを溶かす時、私の悲願は成し遂げられる。


 私は足を砂に沈めながら、今日も彷徨う。


 必要なものは残り一つだけ。


 揺るぐことのない強硬な牙。それだけだ。


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