8: ゴッド・ファーザー(1972年、アメリカ)
マフィアのコルレオーネ・ファミリーを率いるドン、ヴィトー・コルレオーネが麻薬を巡ってタッタリア・ファミリーと抗争になります。しかし実はタッタリアの裏で別のマフィアのドンであるバルジーニが手を引いていました。
その抗争が一応表面上終わりを告げた時点でヴィトーは病気で亡くなりますが、跡を継いだマイケルはタッタリアとバルジーニを粛清し、ついでに他のマフィアのドンも一掃。コルレオーネ・ファミリー一強の体制を作り上げるという話です。
・面白かった点
ところどころのエピソードは実話をもとに作っているそうなので、リアリティがあり、説得力があります。
また映画の長さは2時間半ありますが、最初の20分ちょっとで主要キャラの性格や立ち位置を、ヴィトーの娘の結婚式を舞台にして見せていく手法は見事です。そしてその中で次に馬の首エピソードに繋げますが、このエピソード自体は映画の主要な部分からは少し外れたエピソードに一瞬見えます。ところがこれも後半のモー・グリーンのエピソードに繋がる伏線になっているという周到ぶりです。
映画の本題である麻薬抗争の部分は映画が始まって34分後なので、凄くいいペースで話が進められるのはコッポラ監督の手腕でしょう。
・イマイチな点
この名作にイマイチな点をつけるのは難しいですが、強いて言うならマイケルが警官殺しの罪を被り、ほとぼりが冷めるまでシチリアに逃げるエピソードがありますが、そこで出会う女性、アポロニアのエピソードはちょっと意図が読みにくいです。大卒で軍人で真面目だったマイケルが、アメリカにケイという恋人を残しておきながら、シチリアでアポロニアと結婚するという部分は、マイケルのマフィアとしての自覚の目覚め、つまり女性を囲うようなヤクザ者になっていく過程を描こうとしたのかもしれませんが、ちょっとそれにしてはエピソードが弱い気がします。
また、アポロニアは下手だった車の運転の練習を重ね、それで上手くなったところをマイケルに見せようとして車を発進させたところで爆殺されますが、この爆発は誰を狙ったものだったのかが曖昧です。単に「アポロニアの爆殺」というショッキングなシーンで「シチリアにいてもタッタリアの魔の手が伸びてきて、マイケルの命も危なくなってきた」という印象を与える役割だったのでしょう。しかし爆弾を仕掛けるタイミングがあまりにも計画性がなく、アポロニアを狙った犯行のようにしか見えないのです。
マイケルに対する警告のつもりだった、というのならまだ分かりますが、その辺りの描写がないままに終わってしまいました。
まぁ、そこは観客の想像に任せたのか、それともショッキングなシーンで強引に乗り切ろうとしたのかは分かりませんが、唯一心残りな部分だったように思います。
○総評
イマイチな点としてポイントを挙げてますが、それでもその部分は全体から見れば些細なことのように思います。こういう隙の少ない話が描けたらいいなと思える作品でした。
ただ、全て話としては一つのエピソードが次のエピソードの伏線になっていて、結果的には繋がっているのですが、個々に見ると一つ一つのエピソードが独立しているので、読み切りの短編漫画的ではなく、間違いなく長編、連載系と言えるでしょう。
そう言う意味では今の私のレベルでは到底表現し切れない話と言えます。




