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空を飛んでいた。



澄みきった青空。



翼も無いのに飛べるなんてと疑問に思ってると。



急降下。



「うわっ!」



ジェットコースターみたいな浮遊感。



ゴトッ。



目を覚ますとベッドから、頭から床に落ちるというベッタベタの落ちだった。



しかし。頭上に足が見えた。その足をたどる様に見上げると…。



「鈴姉さん。」



なぜか俺のマンションの部屋で当たり前のように腕組みで仁王立ちする姉さん。



「パンツ見えてるー。」



顔を踏まれた。



「しばらく泊めて?」


必死に姉さんの足をどけた。



「ぶはー!無理だしー。つか、頼む態度かー?」



「凛も早く起き上がりなさい。」



「今度は肩に足を置くな!馬鹿力女ー!」



グイグイ姉さんの爪先が食い込む。



「何プレイだよ!」



「あら。そんなに喜ばれると嬉しいわ。」



「はー。理由は?」



姉さんは俺のベッドに座り足を組んだ。タイトスーツに髪をまとめたトコロを見ると、仕事中飛び出して来たようだ。



「別に?弟がいないのが寂しいだけよ。」



「その鋭い目線が逆に怪しー。どーせ、親父と喧嘩したんだろ?」


髪をパサリとほどいて、かきあげた。さらに上のスーツを脱いで、胸を強調ぎみのシャツとタイトスカートになった。



「ベッド借りるわね。」



「いくら姉さんでも、俺のベッドは…。寝てるし。」



寝顔は、可愛いのに。起きたら悪魔だからなー。てか、今午前5時かよ。しぶしぶ、リビングに行くとソファに栗林が座っていた。



「栗林!?」



「ん。今ははじめ兄ちゃんと呼んでー?」



「むわー抱きつくな!つか酔ってるし。」



いや、どう見ても執事の格好してる栗林だから。



「鈴に嫌わりたー。」


「ほい。水。」



「指輪返された!」



「はじめ兄ちゃん泣くなよー。」



今日学校なんすけどー。



バン!



「うるさい!」



パ…タン。



姉さん入り口…いや、ドアに持たれて寝たね。つか、あの幸せそうな栗林の顔どこ行った?こんなデロンデロンな栗林…もとい、はじめ兄ちゃん初めて見た。息アルコール臭っ!


はじめ兄ちゃんもクッション抱きしめたままソファに寝たし。俺ソファに寝たかったし。


俺は、ソファに持たれた。イビキすご。俺の部屋からも姉さんのイビキすご。耳を塞ぐかわいそうな俺。



「竜ちゃん起きてるかな。」



ポケットを探しても携帯が入ってない。自分の部屋だ。姉さんがいる。起こしたら半殺し。テレビ…イビキで聞こえないよなー。栗林の懐からちらっとトランプが見えた。



「んー。」



トランプを取ろうとしたら、ガシリと栗林に手首を掴まれた。ばびった。マジ心臓停まるかと思った。



「坊っちゃん付き合います。」



「えー。もう酔い冷めたのかよ?」



キリリとした表情の執事栗林。



「酔い?私がまさか。」



「じゃ、姉さん連れて帰れよー。俺寝たいんだ…」



うるーっと涙腺を緩める栗林。



「もう駄目なんですー!」



「分かったから、しがみつくな。」



「坊っちゃんまで、私を嫌うんですね?」



「だから、話が読めないんだけどー。」



姉さんは仕事に集中したいらしく、結婚はまだ早いと断言したらしい。それを聞いた栗林はレストランでワインをガブガブ飲み、姉さんが栗林を担いで(さすが馬鹿力)俺んちに来た。らしい。



「好きなんです。一目見た時から結婚しようと決めたんです。」



「一目って、5歳じゃん!てかさ、結婚は断られてないよねー。」


「…はい。」



早く執事生活卒業したいのかもな。


「今日帰って来ないから。二人でアルコール無しで話し合えばー?」



「帰らないなんて教育上よくないです。」



「そういう所が鈴姉さんも、嫌なんじゃないの?」



「詳しく聞かせてください!」



ソファからおりて、俺の前に正座した。



「栗林は姉さんの婚約者でも、執事ってレッテルが強すぎて抜けきれてないってこーとー。」



「ですが、私は婚約者以前に執事ですから。」



眉を潜め考え込む栗林。やはり、気付いてたのか心に迷いがあるようだ。



「まー、だろうね。執事歴のが長いしー。今はともかく俺は寝るよ。」



栗林が俺の部屋に行くのを薄目で見た。姉さんを横抱きして、部屋を出るサマは普通の恋人のようだった。



「げ。6時じゃん!」


結局、朝練まで寝れなかった。



あんな姉さんでも、執事栗林なら、はじめ兄ちゃんなら、栗林肇なら任せられると安心した。

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