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オートマ
「このボタンを押せば、エンジンがかかって、こっちのボタンを押せば、サイドブレーキがかかるわけ。クラッチもなければ、メーターもほら、液晶なのよ。」八の字に眉をひそめながら、アキは目を向けてきた。
「アキ、青、なってるよ。」アキが運転免許を取れたこと自体が私にとっては目を見開くことであるのに、と私も眉をひそめ返した。
「最近はさあ、世の中すべて便利とか、簡単とかなってるけど、それってあたし大嫌い。みんな、ほんとに良いと思ってるのかなあ。ねえ、どう思う?」
「青信号を教えてくれるぐらい便利になってくれたら、良いよね」
「はっ、そんなの必要ないっての」アキは左頬をあげながら、2、3車を追い越した。ショートカットの彼女は、運動神経の良さからも、端正な小顔の男の子に間違われがちであるが、左頬をあげた今こそ、彼女がもっともボーイッシュになるときである。きょとんとした眼から向けられる鋭い、挑戦的な視線は、百メートル先のミニバンに向けられているようだった。




