第四十一話 末路
その数日後、俺たちは息を荒げて走っていた。
とうとう教会の奴らに追いつかれてかけてしまったのだ。
あちらは馬でこちらは徒歩。
已む無く近くの森へと避難した。
追手は十人強。
追いつかれたらまずいだろう。
アルセナの攻撃魔法はあるらしいが、周囲を巻き込む規模になってしまうそうで、生活魔法以外は基本使えないと考えた方がいいそうだ。
そのまま、走って。走って。
少し開けた場所に出た。
そこに居たのは数人の追手。
どうやら先回りされてしまったようだ。
すぐに攻撃を試みたものの簡単にいなされ、反撃をされた。
後ろからもぞろぞろと人が出てきて、恐らく追手全員によって囲まれた。
これはもう、使うしかないのか……。
そばの袋に目をやる。
アルセナを見れば向こうもこちらを見て、頷いた。
直後、巨大な水球が俺たちを包み込む。
これは敵の攻撃ではなく、アルセナの防御魔法だ。
今のうちに鎧を装備する。
「気をつけてね。」
アルセナの言葉に頷き、兜を装着する。
と同時に十人以上の魔法を一身に受け止めた結界が崩れ去った。
確かに、なんだか力が湧いてくる。
そんなことを考えている間に俺は一人目を倒していた。
剣による袈裟斬り。
それだけなのだが速度が尋常ではなく、相手は抵抗する素振りすらなかった。
続け様に二人が餌食となる。
剣が折れたが構わずに相手の武器を手に取る。
魔法が飛んできたが当たるわけがない。
魔法が逆に相手の目眩しになり、撃った奴を仕留める。
一定のラインを超えたあたりから俺は相手が見えていなかった。
代わりに居たのは家族。
俺が留守の間に魔物によって惨殺されたみんな。
彼らが笑っている。
俺も一緒に笑いたい。
そうだ、俺にも恋人が出来たんだよ。
と言いかけたところで意識が現実に回帰した。
しかし、元通りというわけでもない。
「コロセ」 頭の中で自分と同じ声の別人が話しかけてくる。
「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」・・・・
気づくと敵は全て死んでいて、目の前には泣きながら何かを訴えているアルセナがいる。
いやだ。 やめろ。
そう思っているのに体は動かない。
否、勝手に動いている。
アルセナが俺の名を呼んだのと同時に鮮血が迸る。
俺の名前を思い出したわけじゃない。
ただ、呼ばれたと。そう分かるだけだ。
目線を横にやるとそこにはアルセナーー
ではなくミハルがいた。
「ずっとこれを見てるなと思ったらもしかしてこれは……」
「いや、なんでもないさ。」
既に過去とは決別したはずだ。
アルセナを忘れることは決してないが、これ以上喪うのは俺がさせない。
アルセナは自分の手で、と言うところが皮肉だがな。
とにかく、一通りの見学を終えた俺たちは宿に戻ってきた。
聖輝教か。
少し気になるな……。




