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鎧の人  作者: たい。
間章
46/46

第四十一話 末路

その数日後、俺たちは息を荒げて走っていた。

とうとう教会の奴らに追いつかれてかけてしまったのだ。

あちらは馬でこちらは徒歩。

已む無く近くの森へと避難した。

追手は十人強。

追いつかれたらまずいだろう。

アルセナの攻撃魔法はあるらしいが、周囲を巻き込む規模になってしまうそうで、生活魔法以外は基本使えないと考えた方がいいそうだ。

そのまま、走って。走って。

少し開けた場所に出た。

そこに居たのは数人の追手。

どうやら先回りされてしまったようだ。

すぐに攻撃を試みたものの簡単にいなされ、反撃をされた。

後ろからもぞろぞろと人が出てきて、恐らく追手全員によって囲まれた。

これはもう、使うしかないのか……。

そばの袋に目をやる。

アルセナを見れば向こうもこちらを見て、頷いた。

直後、巨大な水球が俺たちを包み込む。

これは敵の攻撃ではなく、アルセナの防御魔法だ。

今のうちに鎧を装備する。

「気をつけてね。」

アルセナの言葉に頷き、兜を装着する。

と同時に十人以上の魔法を一身に受け止めた結界が崩れ去った。

確かに、なんだか力が湧いてくる。

そんなことを考えている間に俺は一人目を倒していた。

剣による袈裟斬り。

それだけなのだが速度が尋常ではなく、相手は抵抗する素振りすらなかった。

続け様に二人が餌食となる。

剣が折れたが構わずに相手の武器を手に取る。

魔法が飛んできたが当たるわけがない。

魔法が逆に相手の目眩しになり、撃った奴を仕留める。

一定のラインを超えたあたりから俺は相手が見えていなかった。

代わりに居たのは家族。

俺が留守の間に魔物によって惨殺されたみんな。

彼らが笑っている。

俺も一緒に笑いたい。

そうだ、俺にも恋人が出来たんだよ。

と言いかけたところで意識が現実に回帰した。

しかし、元通りというわけでもない。

「コロセ」 頭の中で自分と同じ声の別人が話しかけてくる。

「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」「コロセ」・・・・

気づくと敵は全て死んでいて、目の前には泣きながら何かを訴えているアルセナがいる。

いやだ。 やめろ。

そう思っているのに体は動かない。

否、勝手に動いている。

アルセナが俺の名を呼んだのと同時に鮮血が迸る。

俺の名前を思い出したわけじゃない。

ただ、呼ばれたと。そう分かるだけだ。


目線を横にやるとそこにはアルセナーー

ではなくミハルがいた。

「ずっとこれを見てるなと思ったらもしかしてこれは……」

「いや、なんでもないさ。」

既に過去とは決別したはずだ。

アルセナを忘れることは決してないが、これ以上喪うのは俺がさせない。

アルセナは自分の手で、と言うところが皮肉だがな。

とにかく、一通りの見学を終えた俺たちは宿に戻ってきた。

聖輝教か。

少し気になるな……。


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