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DNAサンプル

「くっ……我々は平和的に交渉したい。着陸を認めてくれないだろうか」

乗組員の体調がそうモニターに向けて頼んでも、返事は冷たかった。

「貴様たちムシケラの汚い手で神のお体に触れることは許されぬ。地球にかえるがいい」

その言葉とともに、ロケットが自動で動きだす。

『何があった?」

「わかりません。ですが、ロケットのコントロールが完全にのっとられています」

なすすべもなく手をこまねいている間に、ロケットは強制的に帰還コースをたどって魔王星から離れていく。

「くそっ!せっかくここまで来たのに!」

ロケットの中で乗組員たちの悔しそうな声が響き渡るのだった。

「なんという様だ!」

モニターでその様子を見ていた老人が激怒する。

「即刻戦闘態勢を取れ!あの化け物たちを滅ぼして、あの星を手に入れるぞ!」

怒鳴り散らす老人に対して、執事は冷静な声で諭した。

「落ち着いてください。、現在の我々の力では、軍勢を率いて魔王星に攻め込むことは不可能です」

「ぐぬぬ!」

老人ー松平家康は歯噛みするが、さすがに彼でもそれは無理なことはわかる。

「あいつらは何者だ!」

「さあ……あの星に住む知的生物だということしかわかりません。ですが、少し前から頻繁に日本上空で円盤が飛び回っていることは確認されています」

それを生きて、家康はさらに怒り狂う。

『自衛隊に命じて、見つけ次第打ち落とせ!」

「御意」

執事はため息をつきながらも、しぶしぶ命令を受け入れるのだった。


数日後

松平家康は、苦虫を噛み潰したような表情で報告を受けていた。

「日本上空に飛来している円盤に攻撃を仕掛けたところ、戦闘機20機が撃墜、イージス艦二隻が行動不能、秘密裏に運用していた隠密空母さつまが沈没しました」

それは自衛隊の歴史上蒙ったことがない大損害であり、さすがに日本を支配する松平家でも無視できない損害だった。

「それで、あいつらは撃墜できたのか?」

「……いえ、近づくことすらできませんでした」

執事の声も重い。円盤に近づくと、とくに理由もないのに電気系統が遮断され、エンジンが停止するので戦いにすらならなかったのである。

幸い円盤からの攻撃はなく、隊員たちが脱出できる時間はあったので人的被害はゼロだが、それは相手にすらされてないことの証明でもあった。

この状況を受けて、自衛隊内部からは「相手に敵意はないみたいだ。無理に攻撃を仕掛けるべきではない」という意見が主流になっている。

「御前。あの星を侵略するのはあきらめては……?_」

「バカをいうな!」

家康は唾を飛ばして執事を罵った。

「あの星を手に入れさえすれば、日本国は未来永劫の繁栄を約束されるのだ!情報を集めろ!なんとかしてやつらの弱点を探るのだ」

「かしこまりました……」

暗い顔をして引き下がる執事だった。


一週間後

「御前。あの星から採集したサンプルの分析結果がでました」

執事を家康に恐る恐る報告する。

「なんだ?土くれの分析などに興味はない」

冷たく切って捨てる家康だったが、次の言葉を聴いて興味を抱く。

「それが……複数の地点で採取した土砂から、まったく同一人物のDNAが採取されたのです」

「それは、どういうことだ?」

家康は眉をひそめて聞き返す。

「専門家が分析した所、採取したサンプルは、人間の体から出る老廃物-つまり、垢だということです」

「人間だと?」

「つまり-あの惑星には同じ遺伝子をもった人間が大勢いるということになります」

執事は信じがたい結論を述べた。

「バカな……そんなことがあるわけがなかろう」

鼻で笑う家康だったが、さらに驚くべきことが伝えられる。

「しかも、そのDNAを分析した所、日本人の特徴が現れていました」

「日本人だと……?つまり、あの星にはすでに日本人がいるということか」

「御意」

執事はうやうやしく頭を下げる。

「たしか、日本ではすべての国民が出生時に指紋と血液サンプルが取られ、そのデータは松平家に保管されているはずだな」

「はっ」

「至急そのDNAに合致する家系をしらべるのだ。何かがわかるかもしれん」

こうして、日本を支配する黒幕の手が平和にすごしている良樹たたちに伸びようとしていた。



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