魔王星出現
途中で煮詰まったので、展開を換えて再掲載しようと思います。
魔王星の内部世界 シャンパラ
惑星の中心部にある巨大な都市の中心部にあるビルで、一人の少年が報告を受けている。
「シャングリラ世界から奪った植物・動物は、神の地表世界「セカンドアース」に移しました。彼らはうまく根付いているようです」
ダニエルからそう報告を受けて、良樹は満足そうな顔をうかべるが、ふと気になってたずねる。
「ふむ……ところでシャングリラからつれてきた人間はどうなっている?やつらの体を使ってお前たちダニ人は完全な人間になるつもりなんだろう?」
良樹の問いかけに、ダニエルはうれしそうにつぶやいた。
「現在、志望者から順番に人間に転生しております。ですが……」
ちょっと困った顔になるダニエル。
「人間の知能スペックでは、われ等ダニ人の文明が適合できないのです」
「そうか。考えてみたら当然だよな。ダニと人間が同じ文明を持てるわけがない」
それを聞いて、良樹は頷く。
「なら、人間に転生することを選択したダニ人を貴族として、地上世界の統治を任せよう」
「ですが、やがて神のお住まいになる予定の世界を、われ等ごときダニが汚すわけには……」
ダニエルは困惑するが、良樹は優しい笑顔を向ける。
「気にするな。俺がおだやかに地上ですごすのはまだかなり先の話だ。お前たちの忠誠に報いたい。それに、お前も人間に転生するつもりなんだろ?」
「神よ……うれしく思います」
ダニエルは涙ぐみながら、頭を下げる。
「それで、どんな人間に生まれ変わるつまりなんだ?」
「実は……この者のカラダから遺伝子を採集して、クローンを作ろうと思うのですが」
ダニエルが手を振ると、地上世界に建設させた神殿の内部が映る。
そこには一人の絶世の美少女が苦しんでいた。
「私はいつまでこんな目にあわないといけないの……痛い。苦しい」
全身に差し込まれた管から激痛とともに血を抜かれつづける。それでも死ぬことすら許されない状態にされたまま放置されているのは、良樹を裏切った皇女、アイリスだった。
「あの女か?」
「神よ。ご不興でしたら他の女の体に宿りましょうか?」
ダニエルが不安そうに問いかけると、良樹はゆっくりと首を振った。
「いや、いい。あいつは姿だけは美しいからな。それに、あの姿をした女に忠誠を誓われるのも一興だ。
「はっ」
ダニエルはうれしそうに跪く。
「よし、当星はここから一段下の次元「人間界」にいって、地球に攻め込むぞ」
「おう!」
魔王星にダニ人たちの叫び声が響き渡るのだった。
「惑星転移次元ゲート、オープン!」
ダニ人たちが円盤を魔王星の周囲に配置して星自体をフィールドで包み、虚宙空間に惑星ごと飲み込めるような魔方陣を張ると、その中央にゲートが開いた。
「よし、人間界に帰還だ!」
魔王星ヨシキは、空間にあいた穴に吸い込まれていった。
地球
その日は、何千何万回と繰り返された、何もない日で終わるはずだった。今日から世界が激変すると予言した者はただ一人もいない。
それは、夜の闇にまぎれて、ひっそりと始まった。
最初の異変に気づいたのは、世界中の天文台である。
「おかしいぞ、月の光が見えない」
いつもなら満月が見えるはずだったが、なぜか夜になっても月が現れなかった。
「そんなバカな。天気は晴れているぞ」
「そうだよな。何に遮られているみたいだ……え?」
一部の星の光が消えて域。何か空に圧迫感を感じる。
「おい、おかしいぞ!月まで消えた!」
「バカな!」
さっきまで輝いていた満月が、何かに吸い込まれるように消えていった。
「これって……月が何かに食われている?」
「そんなわけ……げっ!」
月が消えた後、とてつもなく大きな物体が姿を現してくる。
それは世界中すべての人々が見ることができた。
「まさか……地球がもうひとつ?」
「ち、ちがうぞ。大陸の形が違う」
そう、本来なら月があるべき場所に現れたのは、青く輝く惑星だった。
一見すると地球のようにみえるが、大陸の形がちがう。それはひとつの大きな大海に、大陸ほどもある巨人が横たわっているような形をした。
ご丁寧に顔らしき部分もあり、下半身には巨大な突起物が雄々しく聳え立っていた。
「な、なんだあれは!」
「悪魔だ!魔王の星が現れた」
いきなり現れた、人間の姿をした星は、「魔王星現れる」として、人類史上最大のニュースとして世界中を駆け巡るのだった。
国連
加盟国すべての代表が集まって、突然現れた星について議論をしていた。
「あれはいったい何なんだ?」
多くの国の代表から質問が投げかけられる中、日本の代表が答える。
「わかりません。現時点では地球大の惑星だとしか……」
「そんなことは誰でもわかる。問題は、なぜそんなものが突然表れて月を取り込んだのかということだ」
そんな声があがるが、その疑問に答えられるものはいなかった。
「なぜ地球大の惑星が周囲を回っているのに地球の公転や自転になんの影響がないのだ!」
「おそらくは、惑星自身が重力をコントロールしているのではないかと……」
「バカな!あの惑星に意思があるとでもいいたいのか!」
その時、アメリカの代表が立ち上がって意見を述べた。
「あの惑星がなんであるかは不明ですが、環境が地球に良く似ているのは間違いありません。実は、わが国はすでにあの星に対して偵察衛星を送って地表を調べました。すると、驚くべきことがわかったのです」
各代表の席に備え付けられているモニターに、資料が浮かぶ。
それを見たすべての人間が絶句した。
「なんだこれは……」
写真で見た星の表面は、のどかな緑色の草原が広がり、何か動物らしきものが動き回っていた。
「これは、動物なのか?」
「いや……細菌のように見える。少なくとも、地球の生物には似ていない」
丸いスライムのようなもの、四角い筒が延々とつながっているもの、細長い白い蛇みたいなもの、目も口もついてない団子状のものがのたくっていたりと、とてもまともな生物だとは思えない。
「さらに、こちらの写真をごらんください」
次にモニターに浮かんだ映像を見て、何人かの代表が口を押さえる。
あきらかに町らしきものが存在し、人間が農作業をしているのが映し出されていた。
「まさか、人間がいるのか?」
代表たちの間に驚愕が広がっていった。
「ええ。つまり人間が住める異世界がまるごと転移してきたということになります。我々はあの星を新たなる地-「セカンドアース」」
と名づけました」
そう告げるアメリカ代表の顔は興奮していた。
「そ、そこにすむ者たちの文明レベルは?」
「大規模な都市などは見当たりませんでした。おそらくは中世レベルかと」
アメリカ表の言葉を聴くうちに、世界中の指導者たちの顔に欲が浮かんできた。
(あの星に移民を送ることができれば……)
(我々の新たな植民地にできる)
互いの顔色を伺いながら、そんな皮算用をする。
「皆様、ここは提案します。『セカンドアース』は我々の共有財産として、共同して開発を進めていきましょう。わがアメリカ合衆国は、このあたりの部分を開発したいと思います」
アメリカの代表はセカンドアースの人型大陸の腰の部分、ちょうど巨大な山脈が屹立している部分を示す。なぜかその下はモザイクで隠されていた。
「そこには何があるのか?」
「残念ですが、衛星が故障してよくわかりませんでした」
アメリカの代表はそうごまかすが、中国の代表がふっと鼻で笑う。
「わが国が誇る望遠鏡で観察したところ、その部分が黄金色に輝いているのを見つけた。何か希少な鉱物資源でもあるのではないか?そこはわが中国が開発させてもらおう」
「いや、日本のものだ!」
「ワリのモノニダ!」
あちこちで罵声が飛びあい、取っ組み合いの喧嘩が始まる。もうひとつの地球型惑星という最上級の餌をちらつかされ、各国は争いを始めるのだった。
これから少しずつ再開させますので、よろしくお願いします
新作始めました。「ホームレスプリンセスと自宅警備ナイト」よろしくお願いします
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