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第22話 鋼鉄と火薬の工房

 騒がしさが増す市場を抜けた先、ひとけの少ない埃っぽい通りの一角に、こぢんまりとその店はあった。

 『棺桶屋』と赤く塗られた鉄板の看板と十字に描かれたシンボルが、薄汚れたレンガの壁に打ち付けられている。


「……本当にこんな錆びれた店に武器が売ってるのか?」


 シロウは長年の雨風で傷んで崩壊寸前の店頭に立ち尽くしていた。

 レッドから頂戴したメモに印された位置で間違いはないが、遠回しに見た店内は暗く、洞窟のような薄気味悪さを感じる。


 金具が緩く外れそうな扉を押し開けると、床下の傷んだ木製タイルがミシリと聞こえた。シロウは暗闇の中で、微かに金属と火薬の臭いを鼻先に感じる。


 途端、暗闇の奥底から響き渡るような声で、怒気の籠った声音がシロウへと向けられた。


「……なんじゃお前、何しに来た」


 暗い洞窟で反響するような低い声は来訪者に尋ねる。


「連れからここなら良い品が手に入るって、聞いたもんでな」


 シロウは暗がりの店内から響いた声に返事をしたが、少しばかりの違和感を感じた。

 外観のこぢんまりとしたレンガ造りの店からは想像できない程に、まるで遠くから声が響いて聞こえたからだ。


「……ここは棺桶屋じゃぞ」


 先程と同じように響く声に、シロウは耳を澄ませる。


「随分と繁盛しそうな店だな。だが、木製の棺桶が並んでるわりには木の香りがしないぞ。ここじゃ鋼鉄の棺桶でも特注で作ってんのか?」


 シロウは皮肉交じりに返事をする。


「坊主、連れの名を言え」


 皮肉に対して、沈黙の間を空けた声は質問を変えた。


「忙しいようだが“脚立は足りてるか”レッドにここを紹介されたが、人違いならこの壊れかけの扉からお暇させて頂くぜ」


 シロウは踵を返すように、入り口を見据える。


「ふむ……」


 暗闇の奥底から響く声は、一度考え耽るように押し黙る。そして口を開いた。


「わしは地下で待っている。早く来い。絨毯が敷かれた木製タイルから降りるんじゃ」


「……まるで地下迷宮の探検家みたいだな」


 シロウはペンライトを片手に店内の最奥に向かう。

 暗闇を照らすには力不足な光量が、薄っすらと凝視しなければ気づかない絨毯下の木製タイルの深い溝を照らす。


 絨毯の埃が舞わないようにシロウはゆっくりと捲り上げ、タイルの隙間にナイフの刃を差し込む。力を込めるとタイルが浮き上がり、音を立てて剥がれた。


 引き剥がされた空間の先には、地下へと繋がる急勾配な階段が続いている。

 シロウは手元のペンライトで足元を照らしながら、慎重に一歩ずつ降りて行った。


 階段を進むにつれて先ほどの洞窟のような店内よりも、湿度が増して空気がじっとりと温かくなっていく。

 階段の終わりには閉ざされた鉄格子の扉があった。鉄枠の隙間からは橙色の柔らかな光が漏れて、ちらりと奥の空間を照らしている。


「さっさと入らんか。わしは暇人ではないぞ」


 鉄格子の扉を抜けた先から、はっきりとした声質で中年の男性の声が響いた。


 鉄格子の扉を押し開けると、地下室は想像以上に広々とした空間だった。奥のカウンターでは無骨な店主が大きなコーンパイプを吹かしながら、銃器の分解作業に没頭している。


 油にまみれた指が慣れた手つきでスライドを磨き、雑に拭った布には黒ずんだ汚れが滲んでいる。

 店主の両腕は丸太のように太く、脈々と浮き出た血管が力強さを物語っていた。


「レッドの紹介で来たシロウだ。よろしく頼む」


 シロウは軽く挨拶をする。


「わしはガンド。この地下空間で武器類の製造や改造を専門にしている鍛冶屋じゃ。金はあるのか?」


 ガンドはシロウを鋭く睨み付けると、筋肉質な両腕をぶ厚い胸の前で固く組んだ。


 シロウはコート裏のポケットから小袋を取り出し、重みを響かせてカウンター上に置く。


「今払える全額だ。それと抱えてきた荷物の中身も含めて交渉したい」


 ずっしりと大容量のリュックを、追加でカウンターに置いた。

 中身はナナと巡り合った時に交戦した、ならず者たちの武器が大量に収まっている。


 ガンドは小袋とリュックの中身を確認すると「硬貨はそれなりにあるみたいだが、荷物の中身は酷いもんだな。粗末な銃を揃えた所で、メンテナンスを考慮した費用も含めると、大した価値にはならん」そう言って、呆れたように首を振った。


「ここは特注や改造専門なんだろ? 再利用できる部品やカスタム元の銃火器は、多くあって損はないんじゃないか?」


 シロウはカウンター越しに、ガンドをじっと見据えた。


「ふむ……口は少しは達者らしいな」


 そう呟き、自身の長く伸びた顎髭をゆっくりと撫でる。咥えていたコーンパイプに新しい葉を詰めて静かに火を燈した。


 口元からゆっくりと紫煙を吐き出すと、その瞳は愉快そうな色が滲んでいる。


「……いいだろう。合格じゃ。最低限の素質はあるようじゃな。どんな得物が欲しい?」


「ピストルだ。弾をばら撒けるやつと、大砲並みにぶちかませるやつを一丁ずつ頼む」


「機動性を落とさない装備選び、どうやら俊敏さには自信があるようじゃな。以前製造して保管してある特注品を見せてやる。化け物を討ち滅ぼす、至極の火力特化型じゃ。誇りに思え」


「以前に製造? 特注だろ? 依頼主は受け取らなかったのか」


 シロウは自信満々のガンドに疑問を抱く。


「試し撃ちで手首を砕いたよ。要望だけは多い客でな。金払いはよかったが、並みの冒険者には扱えきれんのが、この銃の唯一の欠点じゃな」


 ガンドはそう会話を終えると、カウンターを横切り、バックヤード奥へ向かう。その瞬間、シロウは違和感を覚えた。

 たった今まで自分とほぼ同じ背丈だったガンドが、歩き出した途端に縮んだように見えたからだ。


 視界の端で迫力ある肩幅は変わらずに残っている。それなのに、身長だけがまるで錯覚のように低い。今やナナと同程度の背丈になっている。


「……なんだ、今の?」


 シロウは困惑を残した表情で呟いた。


「なんだ坊主。『地鍛人じたんびと』を見るのは初めてか?」


「あ、あぁ。話は聞いたことはあるが、実物を見るのは初めてだ」


 店主を見下ろす形で、動揺したシロウは頷いた。それほど稀な存在だった。


「わしらは鉱山で生まれ育った。いつ頃かは定かではないがな。豊富な鋼と炎。それらを操るための頑強な肉体を受け継ぎ、鍛冶屋を営む同志も多い。短身だと揶揄する愚か者もおるが、わしに腕力で勝てる奴はおらんよ。ガハハ!」


 ガンドは自慢げに語ると、威圧的な太さを誇る両腕でポージングを強調する。溢れんばかりの筋肉隆々な厚みを際立たせた。


「そんな地鍛人の銃職人が、どうしてこんな地下でひっそりと商売しているんだ?」


「元々わしは生まれ育った鉱山の、地中深くに栄えた街で鍛冶屋をしていた。しかしある日、貿易にきたキャラバンの娘っ子に夢中になってしまってな。猛烈にアプローチをして一緒にキャラバン隊に加わり、旅の流れでこの街で住み着いたんじゃ」


 ガンドはコーンパイプを深く吸い込むと、柔いだ目元は懐かしむように思い出を語る。


「この街で娘っ子と添い遂げ、子供を共に育てた。しかしな、お前さんも気付いてるようにこの世界は残酷じゃ。わしが初めて作った棺桶に納まったのは、愛した妻じゃった。わしが不在の時に店番で娘と共に襲われ、娘はどこかに連れていかれた。帰って来た頃には荒らされた店内と、血まみれで横たわる妻。わしは無力じゃった」


 コーンパイプの握りが軋むほどに、わなわなと怒りに体を震わせたガンドは続けて語る。


「坊主。わしの作った武器でクソ野郎どもを狩るのは構わない。しかし、万が一わしに似た地鍛人の子供の情報を手に入れたなら、必ずわしに伝えろ。それがここで隠れて店を運営している理由じゃ」


 荒い息を吐き切るように、ガンドはシロウへと捲し立てた。


 シロウは真剣な眼差しのガンドを一瞥する。身長はナナと同じくらいの背丈だが、凄んだ時の威圧感は肌身にピリついた迫力を感じさせる。


 本来は組合でしか依頼を受けない主義のシロウだが、ガンドの瞳に隠れた深い悲しみを無視するほど非情でもなかった。


 少しの沈黙の後、シロウはわざとらしく大袈裟な様子で頷く。


「人探しは専門外だが、情報を仕入れたら必ずここに来て伝えるよ。それでいいか?」


「あぁ! 十分じゃ。ありがとう」


 ガンドはシロウへ礼を言うと、バックヤードの奥から保管された鋼鉄のガンケースを二つ、カウンター上に置いた。

 異質に輝く重々しげな黒い二箱のガンケースを、金属ロックをガンドは丁寧に外す。そしてゆっくりと蓋を開いた。


 ガンケースの中には二丁のピストルが静かに光沢を放ち、存在を主張するように収まっていた。


 シロウは息を呑むように、納まった得物から視線が外せなかった。

 過去の経験を思い返し、様々な種類の得物に触れてきたからこそ、眼前を占める二丁の存在は別次元のような、特別な何かを感じずにはいられなかった。


 ガンドはそのシロウの様子を窺うと、満足した表情で喋り出した。


「……わしの目に狂いはなかったみたいじゃな。この得物は他とは違う。再構成された部品や素材、全てにおいて一線を画す特注品じゃ」


 職人の顔つきで愉快にガンドは説明を始める。


「まずは前菜、補助武装じゃ。グロック19【ラピットファイア】」ガンドはガンケースから一つ目の銃を取り出すと、シロウの目の前で軽くスライドを引く。


「ポリマーフレームとカスタムスライドを合わせた、シンプルな黒とFDEのツートーンカラーじゃ。元々は標準的な9mmモデルだがこいつは違う。オーバーサイズのマグウェルを装着してリロード速度を向上させた上に、拡張マガジンは通常の十五発から三十五発まで装弾数を増やしてある」


 ガンドは通常のマガジンと、縦長に伸びた拡張マガジンをカウンター上に置いた。

 二つを並べるとその違いが際立つ。拡張マガジンは通常のそれを遥かに上回るサイズであり、大量の弾を押し込めるため、凶悪な改造が見て取れた。


「トリガーはカスタムスイッチ式に調整済み。シングルアクションのキレを上げてあるから指先ひとつで鉛の雨をばら撒ける。連射性に優れ、軽量化されたスライドのおかげでリコイルコントロールも抜群じゃ」


 説明を終えたガンドに手渡されたシロウは、グロック19を握り締める。しっかりと指先に馴染むグリップが、手のひらに吸い付くような感覚がした。


「要するに……俺が引き金を引き続ける限り、敵は銃弾の嵐に曝されるってことだな?」


 シロウは満足げに頷いてグロック19を構える。しかし、ガンドはまだ終わりじゃない、そう示すように首を横に振る。そしてガンケースから、より一層に凶暴な銃を取り出した。


「満足するには気が早いぞ。主菜はこいつだ。真っ向からぶち抜く火力の業火。デザートイーグル.50AEフルカスタム【白鯨】」


 ガンドが握る大型ハンドガンは、まるで繊細な彫刻画のような美しいデザインだった。

 純銀のように滑らかな輝きを放つフレームに、芸術的に彫り込まれたスライド、グリップは象牙を使用した一目で最高級と分かる仕上がりだ。


 その華麗すぎる外見に、シロウは思わず苦笑いを浮かべた。


「おいおい、ガンドのおっちゃん。俺は美術品で死線を掻い潜る気はないぞ。ちゃんと使えるんだろうな?」


 疑いの目を向けられたガンドは、余裕の笑みで応える。


 シロウの怪訝そうな表情に対し、ガンドは無言で自身の握っていたデザートイーグルを、カウンター上に置いた。そして、すぐそばに置いてあった工具用のハンマーを掴むと、何の躊躇いもなく全力で銃に叩き付ける。


 激しい衝撃音とともに火花が散り、破片が周囲へと飛び散った。しかし、デザートイーグルには凹みや傷ひとつなく、変わらず堂々と輝きを放っている。


 ガンドは砕け散り無残に変形したハンマーを、シロウに見せつけるように突き出し、ニヤリと口元を緩ませた。


「素材にアダマンタイトを使用している。非常に強固で通常よりも軽量じゃ。そして.50AEアクションエクスプレスは従来の比じゃねぇ。バトルライフル以上の火力を片手で扱える小型砲じゃ」


 デザートイーグルは鮮やかな光彩を放つ一方で、脅威を孕んでいた。


「通常よりも一層に大型化された改造じゃ。カスタムロングバレルにはコンペンセイター一体型を搭載している。銃身が伸びた分、初速と弾道の安定性が向上。それに発射時のガス圧を最適化するコンペンセイターが組み込まれてるから、反動がかなり抑えられるわけじゃな。とはいえ、それでもリコイルは苛烈極まる凶暴さ。持ち主の技量が問われる」


 シロウは手を伸ばし、ガンドから銃を受け取る。


 見た目の重量感に反して、意外なほどスムーズに持ち上がることにまず驚いた。重厚さを極めた至極な一丁は、掌に負担を感じさせない。


「驚愕じゃろ? こいつはフレームを可能な限り肉抜きして軽量化してある。普通、デザートイーグルってのは、クソ重いもんだがこいつは違う。扱いやすくなった分、連戦でも疲れにくいって寸法よ」


 補足するようにガンドは詳細な説明をする。


 シロウは銃を握り込み、グリップの感触を確かめる。余計な滑りや違和感は一切ない。手にしっかりと馴染むように作られていた。


「そのグリップも特注品じゃぞ。手の形に合わせて微妙な角度調整をしてあるから、握った瞬間に良く馴染むフィンガーグリップじゃ。しかもグリップエンドの部分にはリコイル吸収用の特殊素材を埋め込んである。片手でも撃てるようになってるが……まあ、両手でしっかり構えるのが無難じゃな」


 ガンドは弾薬の詰まった小さなケースをカウンター上に置いた。


「そして最後の一品。デザートにしちゃ少々重いが……この化け物殺し、最大の特徴がこれだ。アダマンタイトをふんだんに使用して頑強に製作されたこいつは、通常の.50AE弾以外にも、わしの改良した“特殊弾”を撃てるようにしてある」


 シロウは小さなケースの中を覗き込んだ。通常の大口径弾のほかに、見たことのない弾薬が混ざっている。


「過剰火力は認めるが、対変異性生物用に調整した強力な.50AE弾を僅かに製造した」


「……とんでもねえな。いったいどんな化け物と、対峙するのを想定しているんだ?」


「ガハハ! こいつの真価はヘッドショットなんて生ぬるいもんじゃない。胴体に当てても一発だ。内臓ごと粉々にできる威力と貫通力がある。装甲付きの相手ですら貫き吹き飛ばせる。並みの銃じゃ太刀打ちできねぇ連中が相手なら、こいつをぶちかませば解決じゃ」


 ガンドは豪快に笑う。しかし、少しの間を空けて真剣な眼差しで言葉を続けた。


「ただし……こいつを扱うなら、一つだけ覚悟しておくんじゃな」


 ガンドはカウンターを数回トントンと叩いた。指先にはシロウが先程置いていた硬貨が詰まった小袋が揺れている。


「このデザートイーグル、改造費込みでお前の財布が吹っ飛ぶくらいの値段じゃ。こいつは手に入れるのも、維持するのも、一筋縄じゃいかねぇ。特注のパーツや専用弾の価格も洒落にはならん。なんせここでは製作できない地鍛人の鉱山の鍛冶場で作られたからな」


「つまり……こいつの持ち主になる以上、それに見合う覚悟と硬貨が必要ってわけだな」


「お前さんが欲しかった『弾をばら撒ける銃』と『大砲並みの火力』ってのは、これで満足したか?」


 ガンドは不敵な笑みで質問する。


「……あぁ。気に入ったぜ」


 シロウは薄く口元を吊り上げると、覚悟の決まった真剣な表情でガンドを見据えた。その瞳には迫る戦火に備えた確固たる意志が宿っている。


「デザートイーグル【白鯨】の由来は、わしがガキの頃に文献で知りえた海の魔物じゃ。全てを飲み込む程の巨体と威厳、畏怖、そして、その魔物を狩り殺す程の火力を生み出したとわしは自負している。大事にしろとは言わん。……必ず使いこなせよ?」


「あぁ。こんなに頑丈なら最悪弾詰まりになっても、脳天に叩き込めば、かち割れそうだ」


「ふん! 馬鹿を言え。通常のデザートイーグルならあり得る話だが、わしの製作した最高品質の銃器で、そんなつまらない動作不良はおこらんわ!」


 呆れるようにガンドは喋る。


「マガジンをそれぞれ二つ! ピストルを収める皮のショルダーホルスター、ショットシェルホルダー付きのマガジンポーチ、弾薬袋用のダンプポーチ、坊主に必要な多種弾薬を付けてやる。……これはわしからの依頼費込みの破格なサービスだぞ」


「わかってるよ。俺の小袋とリュックの中にある粗末な銃火器等を全部もらってくれ」


「定期的にメンテナンスでわしの所に来い。試し撃ちをするのを勧めるぞ。グロック19ならまだしも、デザートイーグルの反動は、改造である程度は抑えられても慣れは必要じゃ」


「いや、人を待たせているんだ。ここでマガジンに弾を込めたら先を急ぐぜ」


「生き急ぐなよ」


 ガンドはカウンター上に積まれた弾薬箱を無造作にシロウへ押しやると、黙々と二丁のピストルに、シロウは静かに弾を込め始めた。

 器用に弾を詰め込みながら、金属製のマガジンはカチリッカチリッと鳴り続く。そして、銃本体へとマガジンを滑り込ませる。


 乾いた音が店内に静かに響き、シロウはグロック19のスライドを一度引いてから静かに戻した。澄んだ音が鳴り、装填された弾薬が薬室へ収まる。


 ガンドはその様子を、コーンパイプを吹かしながらじっと見つめていた。


 二丁のピストルの装弾が完了し、シロウが背中に吊るしたソードオフの12ゲージショットシェルを二発装填する。その際、ガンドは眉を吊り上げた。


「坊主。いや、シロウ。お前さんのそのショットガンはどこで手に入れた?」


「うん? こいつは公道で出会ったキャラバン隊の商人から取引で手に入れたんだ。よく覗いてみると、ガンドのおっちゃんの【白鯨】に似た装飾が彫られているな」


「地鍛人の製作物じゃろう。まだ鍛冶師としては未熟のようじゃが、素材に使われているアダマンタイトと伝統的な装飾の彫られ方で、わしらは地鍛人の同業者だとすぐ気づく」


「そうなのか。それじゃあこいつの頑丈さはお墨付きだな」


「あとは持ち主の技量が全てじゃ。早死にするなよ」


「あぁ、また訪ねるよ」


 シロウは別れの挨拶を済ませると、ショルダーホルスターを装着する。そして両脇に確かな存在感を示す二丁のピストルを収めた。

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