ごすじんもハンター
「あんた新人さんかい?」
「あぁ、待て待て。別に先輩風吹かしてウザ絡みしようってワケじゃねえんだ」
「ここはいろんな奴がいるからよ、迂闊な振る舞いに気を付けろってアドバイスしたかっただけさ」
「ん、何だ?俺の顔に何か付いてるか?」
「ははっ、逆だよな?」
「付いてないことに目が行くよな」
「まぁ、これは教訓ってやつさ」
「とにかく、俺もそれなりに長くハンターやってるから、何か困ってるなら話を聞くぞ」
「身を削ってまで助けたりはしねぇけどな」
今日はごすじんのハンター登録なのです。
ごすじんがお姉さんから説明を聞いている間、私はごはんを食べていました。
食べ終わってごすじんの方へ行くと、匂いに嗅ぎ覚えのある人と話をしています。
お姉さんのお話は、もう終わってたみたいですね。
この人は確か……
「そうそう、丁度あんな――って出たぁ!」
ごすじんがこちらに気づくと同時に、その人は走って行ってしまいました。
うんちでも我慢してたのですかね?
あれ?じゃあ出たっていうのは……
まあ、ごすじんをいじめるような様子でもなかったので、気にしないことにしますよ。
ごすじんもハンターになったので、これから一緒に狩りに向かうのです。
ただ、ごすじんのハンターは私のハンターとは、ちょっと種類が違うみたいです。
ごすじんが教えてくれました。
お姉さんよりも分かりやすく教えてくれるので助かりますよ。
これからは、よく分からなくて受けていなかった依頼も、ごすじんと一緒に行くことができますね。
私では分からないことはごすじんが、ごすじんができないことは私がやるのです。
ごすじんは一人で狩りをしてはいけないそうなのです。
一人のときにしてもいいのは、探すことと調べることだけなんだと言ってましたね。
だから私と一緒に、狩場へ向かっています。
まあ、もともとごすじんは狩りをする必要などないのです。
狩りをしなくても、ごすじんならきっと何かすごいことができるはずなのです。
それにしても、こうやってごすじんの前を歩けるのは楽しいですね。
おさんぽみたいなものですが、紐は付けなくてもいいそうです。
まあ、紐なんかなくてもごすじんから離れて歩くようなことはしていませんでした。
紐を付けるのは、ごすじんと繋がっていると周りの人が安心するからです。
紐を付けないのは、公園のわんわんスペースという場所に行ったときですね。
だからもう、ここは街も道も全部がわんわんスペースに違いないのです。
「ごすじん」
呼んでみました。「わん」じゃないのです。
「ごすじーん」
用事は何もないのです。
でも、こうやって振り返るとごすじんがいてくれるのがいいですね。
それに、私からごすじんに何かを伝えられるのがすごくいいです。
ごすじんが指を一本立てて口に当てました。
ちゃんと覚えているのです。「ふせ」の次ぐらいに教わりました。
これは気配を絶てという合図なのです。
でも、どうして気配を絶つのですかね?
この辺には、見つかってはいけないような相手はいませんよ。
すぐそこの茂みにでかいトカゲがいるくらいで、問題になりそうなものはないのです。
ああ、安全なうちに合図が通じるかを試しておいたのですね。
せっかくだからトカゲをお土産にしますか?
大丈夫なのです、私に任せてください。
いつものようにトカゲを仕留めました。
ごすじんが見ていると思うと、張り切ってしまいますね。
仕留め終わってトカゲから離れると、すぐにごすじんが来て、顔を拭いてくれました。
私は目や鼻が塞がったりしなければ、汚れてもあまり気にしないのですが、ごすじんは気にしていましたね。
あっ……そうです、あんまり汚れがひどいと、お風呂に入れられてしまうのでした。
お風呂は好きではないのですが、まぁまぁ慣れたと思いますよ。
でも、お風呂の後にはぶおーんってうるさいやつがセットなのです。
あれはどうにもなりませんよ。
とにかく、トカゲをもって帰りましょう。
そして明日もおさんぽに来るのです。




