表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
26/67

イノシシを狩った日のこと

今日の獲物(えもの)はイノシシでした。

朝からいいことがありそうな予感がしていたのですが、予感は所詮(しょせん)予感でしかありませんね。

……怪我(けが)をしてしまいました。

油断したわけではないのです。

いつものようにひっくり返して、喉元(のどもと)()()いていたのです。

そのまま動かなくなるまで押さえていたのですが、私の重さが足りませんでした。

途中で、私ごと頭を持ち上げ、(あば)(まわ)られてしまいました。

あれが最期(さいご)足掻(あが)きだったようで、その後きっちり仕留(しと)めましたよ。

しかし、振り回されているときに、折れて尖った木にぶつけられて、(もも)の皮が()けてしまいました。


イノシシはちゃんとお姉さんに(とど)()みなのです。

歩けないほどの怪我ではないのです。

でも、速く大きく動こうとすると痛みも大きくなるのです。

走ったりしたら泣きそうになってしまいます。

これは非常に不味(まず)いのです。


このままでは、きっとあの(かた)いエリマキを付けられてしまうのです。

これくらいの怪我は、(つば)をつけていれば治るものなのです。

あのエリマキがあると、傷口が見えなくなってしまいます。


お姉さんに怪我のことを感付(かんづ)かれてしまいました。

眉毛(まゆげ)を目に寄せてこちらに来ようとしています。

机を迂回(うかい)してこちらに回りこむつもりですね。

やらせませんよ。

こんなのは()めておけばいいのです。

こうやって……あれ、腿に顔が届きませんね。

なんだか周りが騒がしくなってきました。

エリマキはごめんこうむるのです。来るな。

「ぐるる」


周りから、人がさっと引いて静かになります。

おや、まだ一人(ひとり)残っていますね。

んん?なんだか気になる匂いのような、そうでないような……

その人は下から手を()()べています。

これはやり合う気がないことの合図(あいず)なのです。


そのまま近くに来て私の頭に手を置きまし――

このなでなでの感じは!?

ごすじんになでなでされたときのものなのです!?


ごすじんです。ごすじんがいるのです。

ごすじんなのですか?ごすじんなのですね?

ごすじんが来てくれたのです。おじいちゃんが言ったとおりです。

ああ。


ごすじんごすじんごすじんごすじんごすじん――

とにかくごすじんです。

ごすじんの匂いを嗅ぎます。ごすじんの手をかじかじします。

ごすじんにぶつかりに行きます。ごすじんの(ひざ)にズボッします。

怪我したところが痛むのです。でも、そんなものは気にならないくらいごすじんなのです。

いつの間にやら湯気(ゆげ)が立っています。床を汚してしまいました。

周りの人はさらに距離をとりました。でもごすじんはここにいるのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ