表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/24

守るも攻むるも

「なあ、あんただろう?ひげクマを鼻なしにしたのは」

なんだかおかしな人が話しかけてきましたよ。

いろんな場所から、トゲトゲがはみ出している服を着ています。

ただ、トゲはそんなに長くないし、隙間がたくさんあるのです。

寝るときに痛いだけなのではないですか?


この人は何日か前から、視線をずっとこちらに向けていました。

昨日は私が方向を調整するたびに、あちらも調整をしていましたね。

あちら側が私に近付こうとしていたのはわかっていたのです。

そして今日は、声をかけてきたというわけです。

でも、間合いに入ってくることはなく、両手を挙げて手のひらをこちらに見せています。

やりあう気はないけれど、私に何かしたかったということですね。


振り切ることもできたとは思いますが、悪意もないようなので止まります。

明日から、待ち伏せでもされるようになったら面倒なのです。

だから、一旦相手の出方を見ておくのです。


この人は頭の両側に髪の毛がありませんが、真ん中をトサカのように逆立たせています。

これは知っていますよ。

体を大きく見せることで、相手のやる気を挫く方法なのです。

仕掛けが分かっていても、自分の顔に相手の影が差すのは、なかなか効果があるのです。

まあ、今は少し離れているので、影は差していないのです。


「あんたが人と関わるのを避けてるのは分かってる。でもな――」

トサカの人は急に防御体勢をとりました。

地面に伏せて背中を丸めています。

「頼む、この通りだ。俺は強くなりてぇ!強くならなきゃいけねぇんだ!」

攻撃を捨てたこの姿勢は、なかなか効果的なのです。

なぜなら、背中は皮のすぐ下を骨が覆っているので、守りが堅くなるのです。

そして、お腹は地面が邪魔で、手を出すことが難しいのです。


でも、自分から距離を詰めてきたのに、防御体勢をとるのはおかしいのです。

攻撃を警戒するのなら、近寄らないのが一番ではないですか?


ああ、そうです。

これは土下座というやつなのです。

降参なのに、お腹じゃなくて背中を見せるのです。なんだか変ですね。

でも私は、これを知っているのです。

モンジのところのおじさんが、よくやっていましたよ。


トサカの人は強くなりたいから、土下座をしたみたいですね。

土下座をすると強くなれるのでしょうか?

モンジのところのおじさんは、よく顔を腫らせていました。

でも、何度土下座をしても、カミサンという相手には敵わなかったみたいです。

だから、強くなる効果はあんまりないと思うのです。


つまり、土下座をしても強くはなれないのです。多分。

「土下座、意味ない」

強くなりたいなら、土下座以外にも、やれることがあると思うのです。

「でも俺には、これくらいしか出来ることがねえ」

それは守りには最適ですが、守っていて勝てるのは味方がいるときか、相手に時間がない場合だけです。


「守るより、攻める」

ほとんどの場合、攻撃された者は自分を守ろうとします。

そして、守っているときは攻撃が出来ません。

だから攻撃している間は、相手から攻撃されにくいのです。


「攻め続けた方、勝ち」

決着が付くまでは、攻撃を続けなければいけません。

そして、決着は自分で判断するものではないのです。

降参を聞くか、外野が止めるまでは決着になりません。

自分で勝手に判断して攻撃をやめるのが一番の失敗なのです。

「攻めないは、勝ち、来ない」

「俺は、勝ちを捨ててたってのか……」

あと、狩りの場合、相手は降参しません。

そんなときは、動かなくなったら決着なのです。


「たったそれっぽっちのことで……いや、ありがてえ。恩に着る」


なんだかおかしな人は、やっぱりなんだかおかしな人だったのです。

ミウケだのアガリだの言いながら走ってどこかへ行ってしまいました。

待ってろも聞こえましたが、ごすじん以外で「まて」する気はないのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ