大型新人。顕る。
普段キャラ同士の会話だと一行空けて次のキャラのセリフを入れてますが、
「」
「」
こんな風に一行開けずにセリフを入れてる際は食い気味だったり、テンポが早い会話だったりします。
あと配信とか動画撮影の時だとセリフばっかです。たぶん。
「新人さんの初配信を、観よーーー!」
「よお!待ってました!」
ジュイロのスタジオにて。とある番組の収録が行われていた。
ジュイロ屈指のトップVTuber、ユウタとショウタという二人の男性VTuberの『イルミネーションにお任せあれ!』という番組である。
進行役はほぼユウタが担っている。
二人はイルミネーションというユニット名で歌とダンスの音楽活動をやっており、その歌声と独特なテンションに魅了されたファンが数多く存在している。
ユウタは少年のような見た目をしたモデルで髪から衣装まで、全体的に黒を基調としたデザインになっている。
ショウタは爽やかで優しい高身長のお兄さんのようなモデルで、ユウタとは真逆な白を基調とした髪と衣装のデザインで描かれている。
ユ『ウタ』とショ『ウタ』で、ファンからは『ウタ組』とも呼ばれている。
「ねえ知ってる?」
「知りません。豆知識でも披露すんの?」
ユウタが某豆のキャラみたいなことを言うと、ショウタがすかさずボケで返した。
「えwいや、別に僕にはそんな自慢気に披露出来るような豆知識はないよ?w」
「ああそうですかw俺の早とちりか」
「はい早とちりですw」
オープニングが独特なのは、ジュイロの公式番組にはよくあることである。
「いやね。知ってますか?ショウタさん」
「何を?」
「ほら。最近ね、新人さんが入ってきたじゃないですか」
「そうなの!?」
「いや貴方も知ってるでしょw新しく四人入ってきたってw知らなかったなら冒頭でその反応しなさいよ、白々しいw」
「あーすみませんw」
「で、ね。もはや恒例ですね!今回も僕たち二人で、新人さんの初配信のアーカイブの見所を観て、その人柄なども見ていこうと思います!」
「ええ。例のように新人を品定めするんですね」
「なんか言い方悪いなw」
「そう?w」
「うん。そうw」
「まぁでも、この企画って本当に面白いよね。興味ないとかそういう訳じゃないけどさ。こういう機会がないと、新人さんに限らずライバーさんの配信とか全然観ないもんね俺ら」
「そうね~。だからこそこの企画が成立するんだけどね」
イルミネーションにお任せあれ!では、ジュイロに入った新人ライバーの初配信のアーカイブを視聴して、その人の印象や配信の感想などを言う企画が行われている。
これにより新人たちのことを配信をあまり観ないジュイロファンへより広く周知することに繋がる故、新人の初配信が一通り行われたら必ずやっている企画だ。
「あ~。でもユウタさん。今回アレなんですって?アーカイブを観た後、新人さんたちに逆凸してお悩み相談するんですって?」
「はい。今回は一人の新人さんの初配信を視聴後、ライバーさんのお悩み相談を受けることになっています。でもまぁ、言ってしまえば雑談ですよ。親交を深めようってことです。それを一人一人順番にやっていきます」
「なるほど」
「なんせ僕らも芸歴長いですからね、なんだかんだ。新人さんから怖がられちゃうなんてこともありますから」
イルミネーションの二人は芸歴7年目と、ジュイロ発足時からいる。
なので昨今の新人ライバーはどうしても大先輩には萎縮してしまうのだ。
ショウタがうんうんと頷く。
「あー。あるねそういうの。なんかね?皆俺らのこと怖いっていうか、先輩だからって会うとガチガチに緊張しちゃったりするもんな?」
「そうなのよ~。だからさっき言ったようにね。お悩み相談もそうですが、軽~い雑談でもしてね、別にビビる必要はないよ~ってことも伝えられたら良いなって思っております。という訳でさっそく……」
「「レッツゴー」」
そうして一度カットが入り、ノートパソコンが二人の前に置かれて新人たちの資料がスタッフから渡される。
「ユウタさん、ショウタさん。こちらが新人さんの資料でーす」
「はーい。ありがとうございま~す」
「……ユウタ。あんな可愛い人、うちのスタッフにいたっけ?」
「ん?……今日から配属になったんじゃない?」
「あ。なるほど。(この時期に新しいスタッフ?)」
撮影が再開し、さっそくユウタが一人目の紹介に入る。
「まず一人目は『エレーナ・エンドルフィン』さん。女性ライバーですね」
「ほう。イルカの精霊ですって」
「うん。可愛いね~、この子。『声がとても可愛らしく、歌うのが大好き。自由奔放な性格で、母イルカをよく困らせていたそう』」
「へぇ~」
「『ある日。趣味の釣りをしている最中に、釣り友達の人間さんに歌を披露したところ。「良い声してるね~。歌手になってみたら?」と言われたのを切っ掛けに、歌手を目指し始めた』とのことです」
「なるほどね~。イルカも釣りするんだね」
「ね?手足のある精霊の利点をしっかり活かしてますね。このイルカさん」
「うん。じゃあさっそく、エレーナ・エンドルフィンさんの初配信を観ていきますか?」
「はい。では観ていきましょう」
ユウタがエレーナの配信を再生する。
ちなみに配信で気になったところがあったら一時停止したり、巻き戻したりしながら感想を口にしていくのがこの企画の醍醐味となっている。
エレーナは銀色の短髪で、水色のイルカのパジャマのような衣装を着ており、ややギザギザした歯になっているのが特徴的な子だ。
腕にピンクのイルカのぬいぐるみを抱いている。
『やっほ~!初めまして~。エレーナ・エンドルフィンで~す。人間の皆さん、こんばんはー!』
「おー。明るくて元気な子だね」
「そうねぇ。ユウタ結構好きなタイプじゃない?」
「うん。好き」
「即答w」
『今日はエレーナの為に来てくれて、ありがとー!あ。そうだまずは自己紹介からだったね?今プロフィール出すね~。……じゃーん!これが私のプロフィールだよ!』
「あ~。船に乗って釣りに行くんだ」
「すげぇ本格的だな」
少し飛ばして、釣りの成果のところまでシークバーを進める。
『でね?先月にこんな魚が釣れたんだ!』
次に画面に映し出された画像は、かなり大きめのカツオを両手で持ってるエレーナだった。
もちろんエレーナのVモデルで生身は隠してある。
「「デェッッッカ!?」」
「立派だね~…」
『これね~。測ったら80センチあったんだ!カツオってね、最大でも60センチが普通なんだ。だからこの大きさのカツオって、獲れないことないけど結構珍しいんだ』
そうしてユウタとショウタの二人は、他の見所シーンや歌を視聴していった。
「いやー凄かったね~、ショウタ」
「なぁ~。まだ一人目だぜ?トリで良いレベルだろこれ。あのカツオといい、歌といい…」
「うん。これで最後じゃないって、あと三人もどれだけインパクトあんの?って話だよね」
「そうそう。それじゃあ次は、エレーナさんへの逆凸ですね?」
「はい。親睦を深める為に、さっそく掛けていきましょう」
ユウタが新たに導入された新人との雑談ターンをするために、エレーナへ電話をかけた。
『もしもし』
「あ。もしもし~。お疲れ様です。イルミネーションです~」
「「初めましてー」」
『わー!初めまして~。エレーナ・エンドルフィンと申しますぅ。よろしくお願い致します』
「「よろしくお願いします~」」
「礼儀正しい~」
「初配信のやつ観てても思ったけど、やっぱいい子そうだな。それに面白かったし」
「ね~」
『あ~、そんな。恐れ多いです…。そんなこと言って頂けるなんて…』
大先輩であるイルミネーションの二人に、緊張した様子を見せるエレーナ。
「やっぱりなんか緊張しちゃってるね。エレーナちゃん」
『あ。はい。かなりあの、緊張してます…』
「まぁ大丈夫だよ。多少失礼な発言したところで、俺ら気にしないからさ。むしろどんどんしてくれていいよ。それを笑いに変えるのが、俺ら先輩の役目だからさ」
『いや~そんな!恐れ多いですよっ!』
「ショウタくんさ~。お前エレーナちゃんに逆に気を遣わせちゃってんじゃん…」
「えー!?ごめんね!そんなつもりはなかったんだ!?」
『いやあのw大丈夫ですwお気持ちは大変嬉しいのでw』
このような感じで、エレーナと親睦を深めていくユウタとショウタ。
「ライバーとして活動していく上で何か悩みはありますか?」
「なんて呼べばいい?」
「イルミネーションに対する印象は?」
「何かやりたい企画とかある?」
など。様々な質問をしていった。
最終的には、エレーナもいくらか緊張が解れた状態で雑談を終えることが出来た。
「それじゃあいつか一緒に仕事とか、配信しようねー!」
「いつでも呼べよー!」
『はい!ありがとうございますっ!失礼します!』
通話が切れると、二人はエレーナに対する印象を語り出した。
「可愛いなー、エレーナ。初々しくて。いつかマジで一緒に仕事してぇわ」
「ね~。僕もエレーナちゃんは結構お気に入りだわもう。頑張って欲しいですね~」
二人のエレーナに対する評価は高いようだ。
今年の新人は一味違うと、この後も楽しみにしている様子。
「失礼します。新しいお水です」
「お。サンキュ~。気が利くね~」
「ショウタ。新しいスタッフさんなんだから、もっとちゃんとお礼言いなさいよ…」
「うふふっ。気にしなくていいですよ♪では、失礼します」
「……やっべ。あの笑顔に惚れそう」
「ショウタ…」
それから二人目。三人目と新人の初配信を視聴して、雑談をしていく二人。
気付けばあっという間に最後の新人のターンとなった。
「さて。いよいよ最後のライバーさんですね」
「早いな~。雑談が追加されたから、もっと長くなると思ったんだけどな。体感めっちゃ短く感じた」
「逆に雑談楽しくなって通話長くなっちゃったせいで、時間まぁまぁ押しちゃってるってさ」
「ヤバいヤバいヤバいwこの後まだ別の仕事あるんだってw早く観よ早く観よ」
「その前に軽く紹介しようね…」
最後の新人の資料を開いて、ユウタが読み上げ始める。
「最後のライバーさんは『スハ・ノヴァ』さん。この“ハ”は“わ”って読むそうです」
「ふーん。お!いいなこの子。めっちゃ可愛いじゃんっ!なんかダンベル持ってるけど…。筋トレが趣味なのか?」
「そうかもね。えー、『“彼”は超新星爆発によって誕生した宇宙人で、』」
「「“彼”っ!?!?!?」」
スハ・ノヴァの紹介文を読み上げようとしたが、“彼”という言葉に動揺して止めてしまった。
モデルだけで見れば完全に美少女なのだから、そのギャップに驚いてしまうのは仕方のないことではある。
「えっ?男なん!?この子?」
「ウソでしょ!?僕完全に女の子なのかと思っちゃった!どこからどう見ても美少女だしさ!?え。これ表記ミスじゃないの?」
『彼で合ってます』
※新人スタッフによるカンペ。
「……合ってるってよ」
「うっそ…。え?脳を焼かれた気分…。ぶっちゃけその、衣装がさ。アレだしさ…w」
「いやまぁ、言いたいことはわかる!大胆だよな!」
「そう!大胆!男性が大胆な格好しないかって言うと、そうじゃないけどさ。衣装の攻め方がどっちかと言うと女性よりだし、全体的に色気のあるビジュアルだしさ。特に下半身。鼠径部と右太ももの謎ベルト。マジで女の子かと思った…」
「おい癖出てんぞ…。でも言いたいことはめっちゃわかる。これアレか?男の娘ってやつか?」
「うへぇ~。イルカの精霊とかってのもなかなか凄かったけど、最後の最後にまた濃いのが来たね…」
気を取り直して、スハ・ノヴァの紹介に戻る。
「『彼は超新星爆発によって誕生した宇宙人で、可愛さと美しさを兼ね備えた容姿と美声が特徴的な男の娘系VTuber。妹たちの大学進学の為に日々頑張っている、良きお兄ちゃんな一面もある』とのことです。妹さんがいるんだね」
「星の爆発で産まれた宇宙人ってだけで面白いのに、めっちゃ可愛い男の娘な兄貴ってすげぇな…。個人的にイルカの精霊より衝撃的なんだけど?」
「僕も同じ気持ちだよ…。それじゃあ配信の方を見てこうか。……あ。初配信は昨日だね、この子」
「マジで?そんな出来立てホヤホヤの新人だったの?」
「え~っと。最初はなんか、マイク切り忘れちゃって、待機画面で素の声が入っちゃってるらしいです」
「あ~。あるあるですねぇ。俺今でもたま~にやっちゃう」
ようやくと、ノヴァの初配信が再生される。
が……
『さて。マイクの線も挿したし、これでチェックする所は全部チェックしたな。……配信まであと20分か。小腹空いてきたし、軽くなんか食うか』
「「は?」」
すぐに配信画面を停止した。
「え。待ってくれ。男……なんだよな?」
「うん」
「……めっっっちゃ可愛くね?声」
「わかる。正直女の子にしか聞こえない」
「だよな!?これ手元の資料で“彼”って明記されてたから男って俺らはわかってるけどさ。正直なんの情報もないまま聞いたら女の子としか思えねぇぞ!ちょ、とりあえず続き観るか…」
あまりの可愛らしい声に驚きが隠せない二人だが、気を取り直して続きを再生する。
『納豆♪納豆♪なっとっと~♪混ぜ混ぜすると、美味しい納豆~♪混~ぜた数だけ美味しい納豆~♪』
「「ぶふっ!」」
しかしすぐに二人して吹き出し、ショウタが画面を停止。
例の自作の納豆の歌に完全にやられてしまったようだ。
「ちょ、ダメだよショウタ!w終わらないから収録がw次の仕事遅れるよw」
「いや…wわかってんだけどさwこれはダメだろ!?天然女子が歌うやつやんこれ!w可愛いし笑うしで、集中出来ねぇよw」
どうやら二人にとってノヴァはかつてない強敵のようだ。
このままではショウタが仕事に遅れてしまうので、なんとか彼の初配信を観続ける。
『納豆♪納豆♪なっとっと~♪納豆嫌いは粛清対象~♪』
「「こっわw」」
「僕ら納豆好きで良かったわ~」
『アツアツご飯に納豆かけて、いっただっきま~す♪』
「上機嫌だな~。俺納豆だけでこんなにテンション上がる自信ないわ…」
「納豆の案件とか来そうだね。この後になんか母親から電話が来たらしいから、そこはちょっと飛ばそうか」
シークバーを動かして、マイクを切り忘れたことに気付いたところまで飛ばした。
『初配信の初っぱなから超新星爆発かましたーーー!?!?!?』
「「あはははははははははwwwww」」
「バカおもろいこの子www」
「俺とっさにこんな風に笑いに持ってけねぇよwww天才来たってマジでwww」
二人して一頻り大笑いしてから、プロフィールを使って自己紹介しているところまでシークバーを進めた。
『えっと……それでは改めまして。どうも!可愛さ超新星爆発級の男の娘!スハ・ノヴァです~!ハはわって読みま~す。名も無き惑星の爆発によって産まれた、人間の皆様で言うところの宇宙人でございま~す。よろしくお願いします~!……“切り替え早い”って?うるせぇ!超新星爆発くらわすぞ!?さっきのは忘れろ!』
「おー。しっかりコメントも拾っていくね~」
「初配信って、最初の方は自己紹介することに手一杯になりがちな人も多いんだけどな。ノヴァくん結構こういうのに慣れてんのか?」
「趣味は漫画アニメにゲーム。音楽、筋トレ。料理も趣味なんだ!結構、多趣味な子なんだね」
さらにシークバーを進めていき、ノヴァが自分の料理を動画で紹介する場面に移った。
『こちら“トマトとモッツァレラのカプレーゼ~生ハムを添えて~”でございます。オリーブオイルの風味とさっぱりした味わいがなんとも食欲を唆る一品でございますね。ちなみにカプレーゼというのは、イタリア南部にあるカプリ島というところが発祥の、サラダに分類される郷土料理ですね。何かしらのメイン料理と一緒におかずにしてもよし。ワインのおつまみにしてもよしの万能料理でございます。具材を切ってお皿に盛るだけの簡単料理でございますので、スーパーに買い物行って「何かもう一品欲しいな~」っていう時にすぐ用意出来る物として上げやすいのも、魅力の一つですね~。明日の晩御飯に如何ですか?オススメですよ』
「「この子本当に昨日が初配信!?!?!?」」
「緊張してる素振りもなく、堂々としてますよショウタさんこの子…」
「本当にね。噛まずにしっかり料理の説明しちゃってるしな…。思わず聞き入っちゃったよ」
そこで視聴を止めて、配信の感想に移った。
「あのさユウタ。言っていい?」
「なにショウタ?」
「ノヴァちゃんさ…。面白すぎんだろ!!!」
「“くん”から“ちゃん”になったwいやまぁ、そうですね。凄く面白い子ですね」
「な!しかもさ。あんなに可愛いのに男ってところがまた凄いよな…。あの声で喋り方がちゃんと男なのもギャップがあって良いしさ」
「わかるわ~。あんまりこういうこと言うとアレだけどさ。僕、正直この中で一番のお気に入りになっちゃったよ」
「俺もノヴァちゃんが一番好きだな~。マジあの子の作った料理食いたいわ~」
「ね?食べたいよね。……え?ちょ、あれ見てあれ。カンペ…」
「ん?えーっと…。『お二人がそう言うと思って、今朝ノヴァさんに連絡して料理を作っていただき、スタジオまで持って来ていただきました』だぁ!?」
「ウソー!?いいのそれ?wたぶんそれだけで動画一本作れっちゃうよw」
「お~い~。新人くんに負担掛けすぎだって~…。ていうかよくOKしてくれたなノヴァちゃん」
既に物運びとカンペ担当みたいになってる新人スタッフが、二つの料理を運んで来た。
「え。うそ。二品も作って来てくれたの?……てか今朝でしょ。今お昼過ぎたくらいの時間帯ですよ?つまり作ってすぐ持ってきてくれたってことでしょ?しかも一つは揚げ物だし、三つくらい種類ないこれ…」
「だから新人くんに負担掛けすぎだってイル任スタッフ~!!!給料に色付けてやれよマジで!?」
※イル任。イルミネーションにお任せあれ!の略。
二人の前に用意されたのは、配信でも出てきた生ハムが添えられたトマトとモッツァレラのカプレーゼと三種類の揚げ物のセットだった。
揚げ物のセット内容は、手羽先の唐揚げ。玉ねぎのかき揚げ。太めに作られたフライドポテトである。
「「やーばこれぇ…」」
「僕これ、ありがたいって思うのと同時に、申し訳ないって気持ちが凄いんだけど…」
「マジで感謝状送るわ後で…。俺の給料から天引きでお金あげたいわ」
しかしそれはそれとして。
時刻はお昼過ぎ。とっくに腹が減ってる時間である。
そんな二人の目の前には、ごちそうが並んでいる。ここは喜んでかぶり付くことこそが、今ノヴァに対して出来る精一杯の礼儀というもの。
「それじゃあユウタ。せっかく用意してくれたんだ…。ノヴァさんに感謝しながらいただこう」
「“さん”付けになっちゃった…」
「そりゃなるだろう…。だってこれだけの物をわざわざ作って持ってきてくれたんだぜ…」
「まぁね…。それじゃあ……」
「「いただきまーす」」
まずは二人とも、手羽先の唐揚げに手を伸ばす。
そして口に入れて噛んだその瞬間……ジュワ~と。二人の口の中で肉汁が広がった。
「うふふふふふwww」
「ジュルルルッ!……ビックリした、うんまッ!なにこれ!?」
「肉汁ヤバい…wお皿に垂れちゃったw」
「な?肉汁が出てきた瞬間、『ヤバッ!?』って思って『ジュルルルッ!』って吸っちゃったもん俺…」
「しかもさ、これ……まだ温かいんだけど…」
「ほぼ出来立てホヤホヤだー!!!ありがとうー、ノヴァ様ー!」
「とうとう“様”になっちゃったwじゃあちょっと僕、かき揚げ行くわ」
「俺ポテト~♪」
さっきまでどちらかと言えば申し訳なさが勝っていた二人だが、今は感謝の思いばかりがあった。
なにせイルミネーションはトップVTuber。忙しさのあまり、昼を食べれないこともよくあるのだ。
そんな二人にこれは、天からの授かり物と言っても過言ではないのだ。
「うーん!かき揚げザックザク!美味しい~…」
「……なぁおい。箸で触った瞬間わかったんだけどさ。これ聞いて」
「ん?」
ショウタがユウタにも聞いて欲しくて、ゆっくりとポテトを噛み始める。
するとサク~と、これまたとても耳にも美味しい音が響いた。
「うわ!音でわかる。そっちも絶対美味しい!」
「うんまっwwwマジでヤバいこれwちょ、俺もかき揚げ…」
「ポテト~♪」
「「……うま~い!」」
そして一通り揚げ物を堪能した二人は、いよいよカプレーゼに目を付けた。
「そしてわかってたけどよ。口の中がよ。脂っこくなったよな?」
「そうね。そんな口の中にさっぱりした物を放り込めば……」
二人してカプレーゼを口の中に入れた。
「おー、うめぇ!どうして脂っこくなった口の中にさっぱりした物を入れるとこんなにうめぇんだ…!」
「口の中が幸せ~…。そしてまた揚げ物を入れますよと……」
「「パクッ……うまいに決まってるんだよね~…」」
そうしてたっぷり。ノヴァが作った料理を堪能した二人に、いよいよ彼と通話する時がやってきた。
「さぁ!ショウタさん!」
「ははは…w元気だな~w」
「そりゃなるよ!あんな美味しい物食った後だもん。そんな料理を作ってくれたノヴァさんにですね。これからたっぷり、通話してお礼を言いましょう!」
「大丈夫かなノヴァ様?今はまだ家に帰ってる最中で電車の中だったりしない?」
「もう様付けが定着しちゃってるw」
『さっき確認したら、いつでも大丈夫と返って来ました』
※新人スタッフによるカンペ。
「あ。大丈夫だって。じゃあさっそく電話しよう!」
「おう、しよしよ!今すぐしよ!早く話したいわ俺」
早く電話してお礼を言いたい二人。
すぐさまスタッフがノヴァへ電話を掛け始める。
すると……なぜかスタジオ内に着信音が鳴り響いた。
「ん?なに?誰の携帯の音…?」
「お~い~wスタッフもおっちょこちょいだなぁ。この場の人に掛けちゃってんじゃんwてかマナーモードにするなり電源切るなりしなさいよ…」
「すみませ~ん!私です~…」
そう言って手を上げたのは、今日から配属されたと思われる新人スタッフだった。
しかし着信を切るのではなく、なぜか通話ボタンを押して耳に当てた。
ユウタとショウタがそれに疑問符を浮かべるが、次の瞬間。二人は驚愕することになる。
なぜなら……
「どうも!可愛さ超新星爆発級の男の娘!スハ・ノヴァです~。初めましてイルミネーションのお二方。俺の料理、どうもお粗末様でした~」
「えぇーーーーー!?!?!?」
「はぁーーーーー!?!?!?」
「サプライ~ズ♪」
ショウタが惚れそうになっていた新人スタッフこそが、スハ・ノヴァ本人だったのだから。
「いや~。意外とバレねぇもんですねぇ。それなりにヒント与えてたのに」
「いやわかるか!?」
「だって中身さ、女の子じゃん!わかんねぇって…」
「えっ。俺ガチ男っすよ?」
「「ウソだろ!?」」
「いやホント。トイレいく?見せますよ」
スハ・ノヴァこと櫻葉優。久々に男の脳を焼く。
特にショウタの。
だからこんなに話が長くなる予定じゃなかったんだって…。これの3分の1の長さで作るつもりだったんです。
誤字脱字を発見しづらいから。
もし見つけたら教えてください…。




