今際の際?俺が助けねば、この幼女(?)は死ぬ…。
これ書いた作者の感想。
(うわカオス~…)
ということでカオス注意です。
「それじゃあ兄貴。お母さんにはこっちで上手く説明しとくから。例の活動頑張ってね~」
「それだけ聞くと本当に危ない仕事してる感じに聞こえるな…」
ショッピングしたり花刃蕾さんオススメの店で食事したりと楽しんだ翌日。駅まで妹二人を見送りに来ていた。
突然遊びに来て、Vバレされ、買い物に付き合わされ、同僚まで二人にVバレしそうになり……昨日までの2日間だけで割ととんでもない嵐に遇ったような感覚だ…。
若干寿命が縮まった気がしないでもない。
「それはともかくとして。帰りは気を付けろよ。兄の贔屓目なしに美少女だからな、二人は。悪い奴らに絡まれないか心配だ」
「大丈夫よ。股○蹴り上げれば一発よそんなの」
「俺も股がヒュッてなるから言葉にせんでくれ…」
藍はマジでやるタイプだから、容易に想像出来る。そのせいで想像してるこっちまで……ブルルッ!鳥肌が…。
ちなみに舞はしつこく言い寄って来た男子の先輩に目潰ししたことがあるそう。どっちもバイオレンス…。さすが上司に汚水ぶっ掛けて逃げる俺の妹たちだ。血は争えない。
「そうだお兄ちゃん。これあげる」
「ん?これは……昨日のゲーセンで取ったプリクラか」
昼飯を終えた後に行ったゲーセンのプリクラの写真。派手に盛ったバージョンとあまり盛ってないバージョンの二種類の写真を舞から渡された。
おいおい。男の俺を盛り盛りにしたところで可愛くもなんとも……どうしよう。しっかり美少女だ…。
こう改めて見ると、俺って本当に美少女顔だったんだなと認識させられる。黒田さんによって気付かされる前は全くそんな風に思ってなかったのに、不思議なものだ。
でもなんか嫌だなぁ。妹に再認識させられるとか…。
写真を見て思わず苦笑していると、舞からまた突拍子もない言葉が出てきた。
「もし夜の“おかず”に困ったら、それで○いて良いよ」
「○くかよアホが気持ち悪い!?」
サムズアップしてんじゃねぇ!
しかもこの写真だと自分も一緒におかずにする羽目になるわ!?お前ら腕組んで来てるし、嫌でも目に入る。
「嫌だろ。妹をおかずにする兄とか…」
「そうよ舞。兄貴がそんなことしたらマジあたし絶交するわよ。……え。しないわよね?」
「なんでちょっと疑うんだよお前は。藍だけは味方であってくれよ…」
「大丈夫よ。私は一向に構わない。なぜなら私は、お兄ちゃんの押し入れの奥にあるエロ本で物足りなくなったら、お兄ちゃんのパンツのにお……」
「冗談でもそんなこと言うんじゃねぇ気持ち悪い!?マジでやめろ!」
あと俺のエロ本を見つけてんじゃねぇ!
舞ならいつか探すだろうとは思ってたけども、まさか押し入れの奥まで探すとは……別の場所に隠してる義妹本が見つかってないことを祈る…。流石にアレを妹に見られるのはちょっとメンタルに来る。
「舞…。アンタそろそろ兄貴に嫌われるわよ…」
「ふふん。お兄ちゃんはこっちが好きでいる限り、決して嫌ったりしないわ。だって好きには好きで応えてくれる人だから」
「俺がどんな変態や変わり者でも来る者拒まずスタイルの人間だと思ってる?」
別に嫌ったりはしないけどさ。マジで俺のパンツを拝借しない限りは。
……すぅー。さっきのは冗談なんだよな…?そうであってほしい。
「はぁ~…。結局最後の最後まで疲れるな。お前らといると」
特に舞。
「でもお兄ちゃんはそんな時間。嫌いじゃないでしょ?」
「兄貴はなんだかんだうちらに甘いからねぇ。舞がガチラブコールしても受け入れちゃいそう」
「受け入れるもんかよ。はよ良い男でも女の子でも見つけろ」
「じゃあお姉ちゃんで」
「ふざけんな!?うちはノーマルじゃいッ!」
「リ○リ○とか色々な百合アニメ観てるのに?」
「「それは偏見すぎ…」」
「???」
方々に喧嘩を売るような舞の発言やら、ふざけた会話を繰り広げて、電車に乗って帰っていく親愛(一応)なる妹二人を見送った俺。優雅にホド○エシティの曲を鼻歌で歌いながら帰路に着いていた。
トラブルというのは、そう何度も連続して起こるものではない。この日ノ本なら尚更。
の。はずなのだが…。
「お嬢ちゃん。こんなところで一人でどうしたんだい?聞けば長い時間ここで座っていたそうじゃないか」
「……お財布無くした。電車の定期券も入ってたから、どうしようかと黄昏てた。スマホも、家に忘れて来ちゃった」
「たそが……な、なるほどねぇ。それじゃあお父さんかお母さんの電話番号はわかる?おまわりさんの携帯で連絡してあげるよ」
「? お母さんとお父さん、いない」
「え!……そ、それは…。ごめんね。デリケートなこと聞いて…」
「???」
この世に神様がいるとしたら、きっとその神様は黒田さんのように酷い性格をしていることだろう。なぜ最近の俺はこうも面倒事に遭遇するんだ?
俺の視線の先には、そこそこ年配のおまわりさんから職質(?)を受けている事務所の先輩がいた。世代は確か四期生の───ロリィー・ガミンさんだ。
ロリィーさんはリアルに俺よりも背が小さい女性で、小学生のような可愛らしい小動物味のある人だ。
俺と同い年の最古参メンバーである社巴さん曰く、小さいお顔にタレ目。そしてご飯を食べてる時に出すなんかキラキラした雰囲気がチャームポイントとのこと。
ゲーマーズの一員でもありFPSゲームのプロらしいが、配信を全然しないことで有名。配信してない裏で大会を優勝してるとか。
配信しろよ…。
「それじゃあ……保護者!君の面倒を見てくれている人の電話番号はわかるかな?」
「保護者?……保護者もいない。私、一人暮らしだから」
「ええぇぇぇっ!!!その年でかい!?」
どうしよう。二人の会話がちょっと面白くて、もっと聞いていたい精神に駆られる。
でもおまわりさんの時間をこれ以上無駄にさせる訳にはいかない。物理的な妨害はしていないが、これ以上ただ眺めていたら公務執行妨害に近い働きになってしまいそうだし…。
あと身内をこのままにしておく訳にもいくまい。財布落としたって言ってたし。
「なにしてるんですか先輩。こんなところで警察のお世話になって…」
「ん?あ。この間の……久し振り」
とりあえず偶然を装いつつ、本名を知らないので先輩と呼ぶことに。
「君は……この子のお友達かな?」
俺も子ども扱いかよ畜生が…。
いやそうだよね?俺も幼女……とまで行かなくとも少女くらいには見えるよね!ロリィーさんの近くにいたらさ!
「えっと……友達というか、その人は職場の先輩です…」
「……は?職場…?」
ああもう面倒臭い!おまわりさんが宇宙になっちゃったよぉ…。見た目が幼いってここまで面倒なことだったっけ!?
「そのぉ……これでも俺らは成人してまして…。あ。これ俺の身分証明書です」
自分の財布から自動車の運転免許証を提示する。顔写真付きだから疑いようもない。
「えぇ!ほ、本当に成人してるの!?」
「そう言ってるじゃないですか…。署まで同行しましょうか?偽造じゃないかどうか確認する為に」
「いやいや!その必要はないよ。いや!ないですよ!……でも一応、どんなご職業か聞いてもよろしいですか?」
「えーっと…。まぁ言っても大丈夫か。ミーチューブで配信活動をしています」
「ミーチューバーですか。ここ数年でかなり浸透したイメージですね~」
数年どころか十数年の話だと思うが…。
「ちなみにチャンネル名などは…?」
「すみません!俺ら顔出ししてない系の配信者なんで、それを教えることは……どうしてもってことでしたら、一度事務所の人に確認を取らないと…」
「な、なるほど…。まぁネットの世界は、色々複雑ですもんね。仕方ない部分もありますか」
理解度の高いおまわりさんのようで、その後の質問も特に問題なく終えることが出来た。
不幸中の幸い。とでも言うべきだろうか…。
「ご協力ありがとうございました!財布はこちらでも届いていないか確認いたしますので、見つかり次第ご連絡いたします」
「いえいえ。お仕事お疲れ様ですぅ。財布の件、よろしくお願いいたします」
無事に職質も終わり、おまわりさんが近くに止めていた自転車に乗って去っていった。
「ふぅ。やっと終わったぁ…。周りの目が痛かったぜ。それで……」
名前と電話番号を伝える以外だとほぼ俺に丸投げ状態だったロリィーさんに向き直る。
ちなみに名前は神谷千石さんと言う。財布が見つかっても持ち主かどうか確認が必要だし、恐らく本名だ。ついにVTuberの本名知っちゃったよ…。
「これからどうします?事情が事情ですし、電車賃くらいならお貸ししますが」
「ん。それも考えた。でも……」
───キュルルルルル~…。
「……………」
「お腹。今朝は早く出なきゃで、朝ごはんがまだで…。それでこれからご飯にしようと思ったのに……お財布無くて……グスッ…」
「ッ!?」
お腹の音に驚き、ロリィーさんが理由を話しているところで突如───その瞳から。雨が振り出した…。
「お腹。空いたよぉ…。ご飯、食べたいよぉ~…!」
「ガチ泣き!?そんな丸1日何も食ってないみたいな……あっ」
そこで思い出した。彼女、ロリィー・ガミンは……大食いであることを。
恐らく単に胃袋が大きいだけでなく、代謝も恐ろしく良いのだろう。燃費が頗る悪いとも言う。そのせいで腹減りによる苦しみが人一倍高い……のではないかと推測する…。
「ひっぐ…。お財布無くして、グスッ。カードも無いから、お金引き落とせない…。帰っても何も無いから、食べられない…」
うわぁー!見た目が幼女なのが相俟って、見てるこっちの心がめちゃくちゃ締め付けられるー!?
「な、泣かないでください!ロリ、じゃない神谷さん!飯なら俺が奢りますから!?コ○ダ行きましょう、コ○ダ!あの良い意味で詐欺満点の店!」
「……………が良い」
「え?なんて?もう一回お願いします」
一瞬悩む様子を見せてから上目遣いで呟く彼女に、聞き取れなかったのでもう一度言ってくれるように頼む。
すると……
「君のご飯が……良い」
「……え?」
なんとも予想外な返答が来た。
「君のご飯。凄く美味しかった。だから……君のご飯をお腹いっぱい食べたい…。お金なら、後でいっぱい渡すから。お願い…」
「……………」
両手でこちらの服の裾を掴んできて、涙を流しながら懇願してくる彼女の言葉に、首を横に振る者がいるとするならばそれは……ゴミ以下のクソ人間であろう。
(俺が食わせねば。このロリは死ぬ…!)
「神谷さん。苦手な食べ物やアレルギーはありますか?」
「ううん…。ない」
「わかりました。まずは買い物に行きましょう。業務用スーパーに」
だが彼女が満足できるだけの食材が現在冷蔵庫にはないので、普段利用することのない業務用スーパーで食料を調達することにした。
────────
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ…!」
「ま、マジでめっちゃ食いやがる…。一体この小さい身体のどこに吸収されてるってんだ」
買い物中も半泣き状態が続いていたロリィーさんを家にお招きし、10分で卵焼きとウィンナーという朝食の定番をお通し感覚でお出しぃの、揚げと豆腐となめこの味噌汁と目玉焼きパンをお出しぃの、陸海空の生物の肉をふんだんに使ったパエリアみたいなのをお出しぃの、10合の炊きたてご飯を炊飯器ごとお出しぃの……あ、ちゃんと茶碗によそって食べてます。
さらに追加の10合のご飯を炊飯器ごとドンッ!と置いてある。
その他にも、5人前の生姜焼きと添え物にキャベツ。
同じく5人前のトンテキ。あと追加のキャベツ。
10人前の餃子。醤油、ラー油、ゴマ油、酢で作ったタレ付き。
牛のささみとかいう希少な部位を使った贅沢牛丼超特盛。(足りなかったからカルビも添えた)
晩酌配信でもしようかと思って作っておいた味の染みたチャーシューも出した。あとでまた作らないと。
およそ2時間くらい料理を作り続けた訳だが、一向に食べるペースが落ちない。サーモン処理動画の時も凄かったが、今回はそれと比べものにならんレベルな気がするぞ…。
「ろ、ロリィーさん。この間こんなに食べてましたっけ?残ったら持って帰ってもらえばいいや精神で、こんなバカみたいな量を作ったつもりだったのですが…」
「もぐもぐもぐもぐもぐ……ごっくん…。あの時はセーブしてた。他に食べる人たちいたし。もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ…」
他の人に気遣っててアレだったの…?
そして今が食うペースも量も遠慮なしの本気だと。凡人の常識に当て嵌めることなんて出来ないほどの大食いの化け物だったようだ…。
「もぐもぐもぐもぐ……美味しい。美味しいよぉ…!グスッ…。美味しいよぉ~…」
「また急に泣き出した…。ロリィーさんにとって空腹は、余程苦しいものなんですね。あ、こちら追加のホッケの塩焼きです」
※3人前。
「うん。実家は小さい頃は凄く貧乏だったから…。水と草だけで過ごす日も珍しくないくらい」
「ちょっと待ってくださいいきなり重い重い!」
急に重い過去を打ち明けられて思わずストップを掛ける。
「その話は恐らく俺の精神でも受け止めるのがやっとだと思いますので、どうか胸の内にしまっといてください…」
「? 私の胸は、何かをしまっておけるほど大きくないよ。見ての通りペタンコだもん。もぐもぐもぐもぐもぐもぐ……」
「そういうことじゃねぇ…。あと胸張って強調しなくていいです」
この人割と天然みたいだ。恥じらいもなさそう。
腹減って泣く理由はなんとなく察しはついたが、そんな重い過去を聞いたら俺のメンタルでもダメージ受けるわ。
「胸といえば、この間一緒にサーモンを食べてた巴ちゃんと樹ちゃんは着痩せするタイプでね。寧々ちゃんほどじゃないけど、脱いだら凄いんだよ。もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……」
「そうですか聞かなかったことにしますね!」
服の上からでも結構大きかった気がするんだけど、アレで着痩せしてんの…?
なんて浮かんだ疑問を首を振って取っ払って、次の料理に取り掛かった。
今の会話の間にすげぇ料理減ってんだよな。通訳の巴さんがいないから普通に喋ってはいたけど、それでもピンクの悪魔に次ぐ吸引力を持ってんじゃねぇか?ってくらいハイスピードだ。
「てかなんでいきなり女性ライバーの胸事情を話し始めてんだよあの人…」
(偶然観たゲーム配信の切り抜きからして、てっきり大きいおっぱいが好きなのかと思ったけど……反応悪かったなぁ。巨乳好きはビジネスなのかな?)
───まさか今回のご飯のお礼に、巴と樹の胸事情を話したなどとは優は思いもするはずがなかった…。
「えっと、卵とパン粉を交互に二度付けしてと……残りのキャベツも全部千切りに、あいや一玉だけにするか。残りの3玉はロールキャベツにでもするかな」
あー忙しい…。大食いの人をお世話するのってこんなに大変なんだな。成長期の俺でも大盛りご飯7杯分が限界だったって言うのに。
ロリィーさんの旦那さんになる人は一緒に食費稼ぐの頑張んなきゃだね…。
───ピーッ!ピーッ!ピーッ!
「もぐもぐもぐもぐ……ん?……ノヴァくん。スマホ鳴ってるよー」
「え?マジっすか。誰よ今忙しいのに……あれ?ショウタさんだ。なんだべか?」
少し時は遡り。
───イルミネーションにお任せあれ!撮影現場───
「さぁて!今日の企画はなんだいユウタ!?」
「テンション高いなwどうしたの?そんなに興奮して」
現在ジュイロスタジオの一室にて、イル任の撮影が行われていた。
「いやね。今日は久々の!対決企画ということでね。もう楽しみで楽しみで仕方がないんですよ!」
「あ~。そうね。確かに僕らの対決企画は随分久し振りだねぇ。どんぐらい振り?」
「えっとな……半年前だってよ」
「半年!?へぇ~……時の流れの早さを感じるねぇ」
「それな。でよ、今日の企画は?」
「ショウタ今日テンションやたら高いし、そのまま言っちゃっていいよ」
「それただの丸投げじゃね?」
「全然。そんなこと、ないですよ?w」
「顔と声に出てんぞ。まぁいいや」
気を取り直して、ショウタが本日の企画を読み上げる。題して……
「“アポ無し逆凸で、ライバーさんたちから聞き出した食材だけで料理対決~!”」
「イェーーーイッ!!!」
「て、俺らだけで良いの?もっと料理出来る奴ら呼んでやった方が良くない?俺ら審査員で」
「タダメシ食いたいだけだろw」
「バレたw」
イル任の撮影は、いつも通りその場のノリと勢いで進んでいった。たまに話が脱線して撮影が押してしまうこともあるが、それがこの番組の良い所でもあるので、スタッフもそうそう「巻きでお願いします」とは言わない。
「さてユウタさん。なんか一風変わった企画な感じしますが、なぜこの企画が行われることに?」
「あ~なんでもね?この番組ってタイトルにある通り、僕らに任せてくれ!って感じのタイトルじゃない?」
「はいはい」
「だから割と視聴者からのリクエストから始まる企画とかもあるじゃない。今回もその内の一つって訳」
ちなみに新人ジュイロライバーの初配信を観る企画も、視聴者からのリクエストから始まったものである。
「その内容がね。他のライバーさんとかがやってる、“ライバーさんの配信に出てきた食べ物だけで生活”とか、“ライバーさんの嫌いな食べ物だけで生活”みたいなのをやって欲しいっていうのが結構あったみたいなのよ。それで今回の企画という訳ですね~」
「なるほど~~~……つまりパクリですか?」
「パクリじゃないリスペクト!リスペクトね、あくまでも」
「ああはいはいwリスペクトですねw」
「そうリスペクト!」
リスペクトと言えばなんでも許されると思っている訳ではないだろうが、とにかく今回は他のライバーを巻き込んで行われる企画のようである。
ルール説明をユウタがし始める。
「それでルールなんですけども、まぁタイトル通りですよ。これから色々なライバーさんたちに逆凸してですね、“今食べたい物を2つ言っていただきます”。まぁ既に出来てる料理は除外して、食材だけ言ってもらうようにします。さすがに完成形から何か作れるほど僕ら器用ではないので…」
「食材を2つね。なるほど」
「そして敢えてですね。一応イル任の撮影ということはお伝えするのですが、具体的にどういう企画なのかは伏せます」
「ほうほう?」
「だから例えばこんな感じですね。『今イル任の撮影中で、突然で申し訳ないんですけど、今食べたい物を2つ言ってくれませんか?』って訊ねます。これだけです」
「えぇ~…。それだけで教えてくれる人いるかなぁ…。なんかすげぇ警戒されそうw」
「まぁまぁ。もし教えてくれなかったら無しにして、別の人にって感じで行きましょうよ」
その後。凸って食材を聞く相手はそれぞれ三人、計六人まで。
当たり前だが、どんな食材が来ようとなるべく美味しく調理することなどの説明が行われた。
ちなみに交互に電話を掛け、聞く相手は被ってはいけなく、どちらが先に電話するかはジャンケンで決まった。
先行はユウタである。
「よし!じゃあさっそく電話を掛けちゃいましょう。僕もう決めてるんだぁ♪」
「え。誰?」
「花刃蕾寧々ちゃん!この人行きたいと思います」
「ね・ねッ!?なんで寧々ぇ?」
普段が飲んだくれのエロいギャルみたいな花刃蕾寧々へ電話することに対して、ショウタは驚きを隠せない。
「やぁね?ちゃんと理由がありますよこれには。彼女はジュイロ箱内トップVTuberですからね。知ってる人も多いと思いますが、彼女はすっごい酒好きです。だからこそ、結構良い食材を言うんじゃないかと思ったんですよ」
「えぇ~。想像つかねぇ。例えば?」
「お酒が好き。ここ重要です……酒が好きということは、酒に合う物とかワンチャン言ってくれるんじゃないかなぁ~って思ったんですよ。彼女結構、食の好みは肉食寄りなんで」
「あ~。肉狙い?」
「そう。でなくとも魚とか。鮭の皮を大量に用意して晩酌配信とかしてたしさ」
「へぇ~。確かに良さげだわ。……うわぁ!これ俺の番じゃないけど結構ドキドキすんなぁw」
「うん。しかも寧々ちゃんに限らず、怖いのがライバーさんたちがエンタメを重視してとんでもない食材を言ってきた時だよね」
「うわマジ怖いなwくさやとか言われたらマジ終わるぞw」
「そっか、くさやって一応食材なのか…。嫌だなぁそれw」
ユウタが言いながら寧々のディアコードに電話を掛け始める。ちなみに通話はスピーカーをオンの状態でやる。
ディアコード独特の鹿の鳴き声に寄せた電子音が鳴り響くこと数十秒。寧々と繋がった。
『はぁ~い?もしもしぃー』
「あ。寧々ちゃん。ごめんね、今大丈夫?」
『うん~。大丈夫だよぉ~』
(ん?なんか様子が変だな?)
横で聞いてるショウタが寧々の声に違和感を感じた。
「えっとね。今ね、イル任の撮影中なんだけど。寧々ちゃんに聞きたいことがあるんだ」
『うちにぃ?』
「うん。本当にいきなりなんだけど、今食べたい物を、2つ言って欲しいの」
『今ぁ?今かぁ~(カシュッ)』
「「ぶふっ!」」
通話越しに聞こえてきた“何か”を開ける音に、二人は思わず吹き出す。
……と言っても何か、なんてのは寧々相手であれば想像に容易い訳で…。
「言いながら缶ビール開けてんじゃねぇよwやっぱ飲んでやがったコイツw」
『あ。ショウタ先輩の声だぁ。お疲れ様で~すっ』
ショウタが感じた違和感の正体が秒で回収された瞬間である。
『あ~。実は今の今まで樹ちゃんと飲んでたんだよねぇ。急にうち来て、“飲もうぜ!明日の夜までっ!”ってさぁ♪……よっと、ただいまぁ~。追加のお酒持ってきたよぉ』
『なにぃ?誰さぁ?せっかくの楽しい酒の席に水差して来てんの』
『ウタ先輩たち』
「明日の夜って……今でも結構飲んでるよね?w」
『うん♪3時間くらい前からだよぉ』
「3時間前って、ほぼ朝からじゃねぇか!?そんな時間から飲んでんのかよ!」
酒の効果で気分は高揚しているようだが、まだ割かし理性は残ってそうではある。
『あ~。それで、今食べたいもんだっけぇ?……ノヴァくんの手料理』
『あ。私もあの娘のもっかい食いた~い♪』
「出来れば調理前の食材でお願いしたいかな!?」
(もしノヴァ様の料理をさらに美味しくしろとか言われたら、俺不味くする自信しかねぇ…)
『なんもしてない食材ぃ?う~ん……あ!』
少し悩む様子を見せたが、すぐに思い付く寧々。その食材とは……
『サーモンかなぁ♪この間食べたノヴァちゃんのやつが忘れられなくてさぁ。酒のつまみにシンプル刺身で食いたい気分?』
『わかるわ~!しかもあの娘の作る料理って本当に美味しかったよねぇ。熱燗も出てくるとは思わんかったけど』
「一つはサーモンだね。あともう一つ言って欲しいんだけど……」
『あー。二つ言うんだっけぇ。じゃあわさび!わさびも立派な食材っしょぉ?もうそれで乾杯出来たら最高だねぇ~!』
『うわ食いてぇ!ノヴァちゃん呼ぼうぜもう!サーモン買って来てもらって、それで三人で飲も!』
『いやそれはノヴァくんに迷惑すぎるから却下で』
『急に真顔になんなよ…。怖ぇな、どうした?』
さすがに意中の相手に迷惑を掛けまいとする理性は残っている寧々であった。
「えっと……わさびだね?うん。お楽しみのところごめんね~。ありがとう」
『あいよ~。それで結局なんの企画だったのこれぇ?』
「それはこのイル任の放送までのお楽しみってことで。じゃあね~!あんまり飲み過ぎないようにね~」
『おーいっ!今から30度の焼酎をロックで飲むからビデオ通話にして見てけ!?』
『お?いいねぇ。行っちゃえ行っちゃえ樹!』
───ピッ!
ユウタはこれ以上酔っ払いの相手をするのは嫌になったので、すぐさま通話を切った。
「……ユウタ。ワンチャン炎上すること言っていい?」
「ん。なに?」
「アイツらさ……旦那欲しい組じゃなかったっけ?」
「ぶふっw」
「いやぁ。いつ旦那が出来るのか楽しみですねぇwww」
「言うなw思っても言うな仮にも乙女なんだからあの子たちもw」
「乙女……え。どこにいた?」
「こらーw」
寧々と樹は割と女捨ててるタイプなので、ショウタがそう思うのも無理もないことであった…。
「はい。というわけでございまして。サーモンとわさびというね、かなりの当たり食材が当たった気がするんですけども……なんかちょっと嬉しくないのはなんでだろう?」
「お前も失礼じゃねぇか…」
「じゃあ気を取り直しまして。続いてショウタさん!お願いします」
「はいわかりました。俺はね、この企画やるってなった時から電話しようと思ってた相手がいんのよ」
「へぇ~。誰?」
「ノヴァ様」
「うわ出た!お前それもう禁止カードみたいなもんじゃん…」
「いやいやいやいやいやっ!食材を選んでもらうだけだから!?料理スキルはあんま関係ないから」
ショウタの選出にブーイング気味なユウタに力説し始める。
「むしろこの企画はよ、あんま料理しない人の方が結構良いもん出すかもしれねぇじゃん。もっと言うと、当たり障りのない無難な物。でも俺らはなんだ?あのジュイロに所属しているVTuberだぞ!当たり障りのない物を選んでもらいに行ってどうする!?もちろん出来れば当たりが欲しい!でも当たりは当たりでも、あんま見掛けない食いもんが欲しいじゃないか!!!だがハズレでもいい。極端な話、ノヴァ様が虫と言えば虫を使って料理してやんよ!?」
「それっぽいこと適当に並べて力説してるとこ悪いけど、本人の預かり知らぬところで割と理不尽なプレッシャー掛けてるよ?ノヴァくんカオスだけど根は凄く良い子、いや良い娘だから虫は無いと思うけどなぁ~」
「物の例えだって。そんじゃ掛けるぞ」
ノヴァのことを完全に様呼びで定着しているショウタが電話を掛け始める。
しばらく呼び出し音が鳴り響き、「これは出ないかなぁ~…」と諦めかけてたその時。
『お待たせしました。お疲れ様です、ノヴァです』
───ザクザクザクザクザクザクッ!
「「???」」
ノヴァが電話に出たが、向こう側から謎のザクザク音がする。よく聞いてみれば、包丁で何かを切っている音だとわかるだろう。
だがいきなりだったのでよくわからず、一先ず挨拶することにしたショウタ。
「えっと……どうもノヴァ様~。ショウタですぅ。今イル任の撮影中なんだけど、大丈夫だった…?」
『あ~なるほど…。はい、大丈夫ですよ』
───ジュワ~~~~~…。
「なになになになに!?本当に大丈夫か?忙しかったりしない!?」
『忙しいか?……右手のコンロで揚げ物。左手のまな板ではキャベツを千切り。テーブルには超絶大食いな合法ロリのお客様がいるこの状況が忙しいと言うなら、そうなんでしょうね』
「「めっちゃ忙しいじゃん…」」
「しかも大食いの合法ロリって……思い当たる人物が一人しかいないよ」
「ああ。これロリィーのことだ…。なんでそんなことになってんだよノヴァ様?オフコラボか?」
『ああ、まぁ~……ダンボールに入れられて捨てられてるところを拾ったようなもんです』
「「どういうことだよ!?」」
ノヴァからロリィーを拾った経緯を聞いた二人は苦笑した。
彼女の食への欲求や境遇は二人もよく知っている為、ノヴァの置かれている状況がどれほどのものかある程度想像出来た。
『という訳で、ロリィーさんに飯を作ってあげてるんですよ。あ、ロリィーさんもうすぐチーズインハムカツサンド出来ますよーっ!……で、なんの電話でしたっけ?』
「あ、ああ。うん。イル任の撮影で電話を掛けたんだけどよ…。なんかガチで忙しそうだし、別の人に……」
『あー!もしかしてこの間みたいにまた飯を作って欲しいんですか?しょうがないですねぇも~。ロリィーさんもそれなりに腹は膨れたでしょうし行きますよっ!』
「え?いやちょちが……」
『ロリィーさぁん!これ作ったらジュイロのスタジオに行って来ますんで、まだ足りないようなら帰って来てから作りますねぇー』
「あの、ノヴァ様!?ちが、違うんだよ!」
『あ。キッチンスタジオの使用許可だけ取っといてください。じゃあすぐ行くんで……』
「だからちげぇっ言ってんだろッ!?」
『え?違うの!?』
「違うんだよ…。今回は別にノヴァ様の料理はいらなくてだな」
『あんなに美味しい美味しいって言ってた癖に……私とはお遊びだったのね!ショウタったら最低ッ!アンタなんて、馬にドロップキックされて椅子にされちゃえばいいのよ!!!』
「なんで俺が自分から手を出しといて理不尽に女振ってるクズ男扱いされなきゃならねぇんだよ!?あとなんだよ馬にドロップキックされて椅子にされろって!意味わかんねぇよっ!」
「wwwwwwwwww」
本日のイルミネーションの教訓。
ノヴァが絡むと、現場は混沌の渦に呑まれることになる。
ユウタは馬の例えの元ネタに心当たりがあり、それがツボに入って笑い過ぎて酸欠となった為、この後しばらく撮影中断となった。
ちなみに……
『ニラとレバーが食いたいっすねぇ…。この後の配信に向けて、料理の疲労を少しでも回復したいんで』
「切実!?」
「あはははははケホッ!ゲッホ!?ぢ、ぢぬーwww」
ノヴァが今食べたい物は、精の付く物だった。
出したキャラは全員愛してるので、こういう唐突な登場とか結構あると思います。
そして読者様方の推しキャラが出来たらいいなって。
最近はポケ○ンブ○ック2をやったり、カセキ○リダーやったり、ポケ○ンス○ーレットをやったりしてました。
ス○ーレットの図鑑400種類埋めたろって頑張ってます。これを書いてる時点では334種類ゲットしました。
ちなみに追加コンテンツはどっちもまだやったことないので、ネタバレ厳禁でお願いします。




