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人生譚  作者: 吉田 華逝
第1章 アポロン大陸編

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0:終点から始発へ

後悔はあった。未練もある。

いや、それがほとんどだっただろう。


14歳から入院することになって病院生活。

長い時間居たからか、病院内での知り合いも多くなり友達もできた。

でも、15歳になって高校には入ったが行くことはできず、病院内でのリモート授業。

十分な人生では無いに決まっている。

当然辛い。


「なにやってんだろなぁ」


自分でも呆れるしか無い。


「ガッカッ…うぇ…」


口から少量の血が出た。

まぁ良くあるか。

白のベットシーツに黒と赤褐色が混ざったような色が付いた。

側から見れば汚いが、自分から見るとなんだか美しく見える。

なんて考えていると、両親が来た。


話の内容は、成功するかどうかのわからない手術の話だった。

母の顔を見ると目から頰あたりの化粧が崩れていた。

手術が怖いのだろう。

そして、この手術は絶対に受けた方が良いのだろう。

もう、これ以上の状態で手術をしないでいると確実に悪化の方に進み死ぬのだ。

じゃなきゃ、父の手がこんなにも震えているはずがない。


父の顔も見るとまぁヤダ!ストレスのせいか白髪化がとてつもなく進行しているじゃないザマス。

いやいや、今はそんなこと関係ないな。

反省反省。

もちろん俺は…


「俺は勿論受けるよ」


手術当日。

家族に手術が終わったらの話をした。

俺の大好きな和菓子をたくさん食べる!みたいなありきたりな、話しかしなかったけど。


なんか心許ないので、遺書を書くことにした。

死ぬ気はないけどな。

もし生きてて、遺書が見つかったら、恥ずかしすぎるので病院内にできた友達に託した。


麻酔をして、意識が重くなっていくのを感じる。

麻酔中に喋ろうとすると面白いという動画を見たことがあるのでやってみたいがやっぱやめた。

遺書の意味が無くなりますようにとだけ願いを込めた。







…。

失敗したのだろう。

目を開けると、何も無かった。

麻酔による、幻覚かもしれないがこの何もないせめて、白いといえる空間で体は動かせた。

自分の体を触って感触を確かめる。


「死んだんだな」


声も出せた。

認めたくないが現実だ。

しかし、死後の世界ってあるんだな。

だが、ご先祖様がお迎えに来ない。

もしかして、脱出ゲーム的な死界なのだろうか。

脱出ゲームは、一回ぐらいやってみたいものだったのでワクワクしてきた。


そんな興奮中の俺に対して、空気の読めないことが起こった。

直径3メートルの黒い穴が急に目の前の地面に現れたのだ。


ザ・トビコメと言わんばかりに微動だにしない。

やる事ないし、入ってみるか…。

とはいかない。

流石に俺も馬鹿ではないからだ。


「そこに居るのは分かっている!姿を現せ!」


かなり大きな声を出したと思う。

170dbは出せたのではないか。

しかし、誰も姿を現さない。

透明人間か?


「んー。現れないか」


馬鹿馬鹿しくなってきた。

多分、ここに居ても何も変わらないのだ。

なら、俺は変化を求める。

どうせ、死んだ身だ。

勇敢に飛び込んでやろう。


「さぁ、行くぞ!」


俺は飛び込んだ。






ん?なんだ?声が聞こえる。

可憐で元気いっぱいな声が。

女性の声だ!いやしかし、何処からだ?まるで、分からない。

うげ…。

なんか、身動きとれねぇ。

力も入らない。俺は、手をバタバタと振り、目を開けた。

最初の視界に入ったのは、男だ。


「¥&€\^{>|*$]>\^]$|%^」


知らない言語だチキショー。


髪は濡羽色。

目は若干細いが二重で目の色は、まるで緑色のガラスのようだ。

首には痣?みたいなものがついていた。

声は少し太く、聞きやすい声だった。

第一印象は女みたいな男だ。

こいつは、無敵のアイドルになれるな。


それが分かると次は状況だ。

辺りを見渡すと藁の柵だ。

ん?いや、柵ではない。

ゆりかごだ。

ゆりかごの形をした物が俺を囲っていた。

は…?何故ゆりかごが俺を覆っているのだ?首が少ししか持ち上がらない。

余計混乱してきた。


だが今、可笑しいと感じたのは一つ。

俺は、生きている。

死んだ俺が生きているのだ。

心臓の鼓動が伝わる。

ドクンッドクンッと。


うわ。

もう一人来た。

こいつも誰だ?いや、こいつは失礼だな。

この人は誰だ?

それは明らかな女性だった。

さっきのアイドル顔負けの美男子とは違いこちらには、特有のアレがあったのですぐに気がついた。


顔は美女だな。

うん。

美女だ。

あの美男子より顔面偏差値が高い。

この人もアイドル界で無双できる。

いかん、いかん。

話が逸れる。


髪の毛の色は、浅黄色と麹色が混ざった髪をしている。まじで綺麗だ。

目は大きくブルーハワイの色と熨斗目花色のオッドアイ。

眉は細く、顔は小さい。


さてまずは、対話だ。

対話をしないと何も始まらない。


「あー。わぁー」

「&)€]^&/(」


小さくも高い声と可憐な声が部屋を包む。

うん…対話は失敗かもな。

全くもって理解できない。

ていうか俺、明らかに初めまして!って言ったつもりなのに。

後、声変わり?俺の声じゃなかった。

何故だ?俺の中に疑問だけが溜まり、もしかしてのあり得ない回答だけが巡る。


まだ、女性はニコニコしながらナニカを喋っている。

すると、女性は先ほどの男性にナニカを話してこちらに振り返り、手を伸ばした。

手は、細くて大きく見えた。

女性は、俺の両脇を優しく持ち、上げた。


目を細める。

暖かいと言っていいほど優しく、そして己を照らす太陽に当たったからだ。


そして、理解した。

自分は赤子であり。

この二人は、親であり、俺は『転生』をしたのだと。

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