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荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


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少年商人、国と“初契約”を結ぶ

薬草の取引から数日後。

いつものように薬草を干していると、豪華馬車の商人――前回の買い手がやってきた。


「坊や……ちょっとまずいぞ」


「どうかしました?」


「王都の役人が……“調査に来る”らしい」


その一言で、空気がピンと張りつめた。


「……薬草の異常供給源を探っている。恐らく明日にはここに到着するだろう」


(やっぱり動いたか……思ったより早いけど!)


役人は厄介だ。

何より――


(リオを見られたら、即バレる)


第一王子が生きていたとなれば、役人たちは確実に命を狙う。


―――


「リオ! しばらくダンジョンに住んでください!」


「は?」


「柵の中なら安全です。食料と布と水は置いておきます!」


「……お前、俺を野生児として扱ってないか?」


「扱ってます!」


反論する暇も与えず、私はリオを安全地帯へ押し込んだ。


「ここなら誰にも見つかりません。スライムは全部倒してください!」


「……了解した」


大剣を握り直し、リオは静かに頷いた。


(よし、これで第一王子問題はひとまず回避)


「お願いがあります! “薬草がどこで採れるか”は言わないでください!」


「お、おう……カイが言うなら……」


「誰か来ても“知らない”でお願いします!」


「わ、わかった! 口は堅いぞ!」


(この世界の村人、素直で助かる……)


昼前、硬い靴音と共に騎士たちが村に入ってきた。


先頭に立つ男は厳しい顔つきで、鼻で空気を探るような態度だ。


「この村で……薬草が“異常に流通”していると報告があった。調査のために来た」


(めんどくさ……いや、ここが勝負!)


私は一歩前へ出た。


「薬草を扱っているのは私です。お話、しましょうか?」


年齢のせいか、役人は眉をひそめた。


「子ども……だと?」


「十歳の商人です!」


堂々と言い切る。


カイ、交渉開始!


「薬草の取引について説明しなさい。出所のわからぬ品を国が認めることは――」


「ダンジョンって、出所わかります?」


役人が黙った。


「……なに?」


「ダンジョンの仕組みなんて誰もわかりませんよね? どこから魔物が湧くか、どうして薬草が育つか。全部“不明”ですよ?」


「それは……まぁ……」


「なのに薬草の出所だけ“解明しろ”というのは、少しおかしくないですか?」


役人は完全に言葉を失った。


(よし、押し切る!)


「そこで提案があります」


私は深く息を吸う。


「定期契約ファンドを組みませんか?」


「……定期、契約?」


「“生活支援ファンド”です!」


役人の視線が鋭くなる。


「内容を説明しなさい」


「はい!」


―――


◆生活支援ファンド(王国契約版)


・国は“契約金”として年額で一定額を支払う

・その範囲内で、薬草とポーションを定期的に安定供給する

・運搬は行商人二名(以前からの実績者)

・品質は一定、価格も安定


「国としても、薬草の価格の乱高下を避けられますし、私たちも安定した売先を確保できます!」


役人は腕を組んで考え込む。


「たしかに……薬草の高騰は国の悩みだ。市場が安定すれば、貴族階級も文句は言えまい」


(ここ! 押す!)


「定期契約を結べば、国はいつでも“薬草の供給元”を確保できます。今のように不安定な市場に頼る必要はありません」


「……ふむ……」


役人はゆっくりと頷いた。


「出所は不明だが……たしかにダンジョン産なら問題ではない。国も毎日、魔石を採っておるしな」


(やった!)


契約成立!


「よかろう。この村の薬草供給、正式に“国との定期契約”とする」


「ありがとうございます!」


役人が印を押し、契約書が正式に成立した。


(これで国との衝突は避けられた……大成功!)


―――


交渉を終えて神殿へ戻る途中、リオが茂みからひょっこり顔を出した。


「終わったか?」


「終わりました! 契約成立です!」


「……相変わらず、よくやるな」


「これくらいじゃないと商売になりません!」


リオは口元をわずかに緩めた。


「国との契約か……動きも大きくなるな」


「いいんですよ。世界を救うって、そういうことですから!」


二人は笑いながら、神殿の薄暗い中へ戻っていった。

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