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【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~  作者: パンダプリン


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第612話 屍の上の空回り

「レイ殿。大広間を戦場にしてもいいか?」


 リピアネムから、とんでもないことを言われる。

 だが、さすがに慣れてきたため、こちらも焦ることはない。


「訓練か?」


「うむ。プリミラが、快く協力してくれた」


 リピアネムは、四天王たちと訓練に勤しむことが多い。

 彼女自身も、四天王たちも強くなるのであれば、こちらとしては断る理由はない。

 多少大広間が壊されたとしても、作り直せばいいだけだからな。


「かまわないぞ。破損とか気にせず好きに使ってくれ」


「ああ、感謝する」


 尻尾をパタパタと振りながら、リピアネムは去っていった。

 相変わらず、尻尾で感情がわかりやすいやつだな。


「ふぅ……。危ないところだった」


 そんなリピアネムが去ったのを見て、隠れていたリグマが出てくる。


「これが、匿ってほしいと言っていた理由か」


「まあなあ……。いや、訓練が大事ってことはおじさんも重々承知してるよ? でも、あまり参加しすぎると、頻度がどんどん増えていくんだよ」


 容易に想像できる。

 いずれ毎日訓練に連れて行かれ、そこから日に数回とかになりかねない。


「アナンタとかに任せてみたら?」


「そこは、ウルラガじゃねえのかよぉ!」


 あ、リグマの中に隠れていたのか。

 アナンタが出てきて抗議している。


「仕方ないだろ。再生能力から連想して、アナンタが最初に思い浮かんだんだから」


「残念だったなぁ! 俺はサンドバッグとしては優秀だけど、戦闘訓練では物足りないとお墨付きなんだ!」


 何を誇っているんだ。こいつは。

 だが、本体同様にリピアネムと戦いたくないという気持ちだけは、しっかりと伝わってきた。


「というわけで、おじさんたちは今日はパス」


「そうか。……プリミラはわりと参加しているみたいだな。ちゃんと効果があるってことか?」


 プリミラなら、もしも訓練が無駄であれば、リピアネム相手にもはっきりと言うだろうからな。

 ということは、たとえ四天王でも訓練することに意味があるのかもしれない。


「まあ、勘を鈍らせない程度にはなるかな?」


「じゃあ、リグマも」


「おじさん昨日やったから! 一日程度で鈍るほど耄碌してないから!」


 そういえば、昨日は無理やり連れて行かれて抵抗を諦めていたっけ。


「ステータス見てもいいか?」


「別にいいけど、変わってないと思うぞ。おじさんたち、そう簡単に成長できると思ってないし。いやあ、雑魚スライムのころはぐんぐん成長したんだけどね?」


 リグマが雑魚スライムのころっていうのは、未だに想像できないな。

 さて、ステータスのほうは……。


「本当だ。変わってない」


「だろ? 魔王様ほどとまでは言わないけれど、おじさんたちもそうそう簡単には成長なんてできないのさ」


「……リピアネムは、なんかどんどん強くなってるけど」


「あいつはなんかおかしいもん」


 否定はできない。

 いや、腕輪のおかげなんだろうけど、それにしたって成長しすぎでは? と思ってしまう。

 あいつ、気付いたらステータス二百くらいになってるし。

 それを知った魔王様が自分も腕輪をつけてみたところ、やはりというか一切成長していなくて俺に抗議したのを思い出す。


「四天王のステータスの強化か……。あ、それなら」


「え、できるの? そんなことできるようなら、レイくんますますやべえやつだなあ」


 ますますとはなんだ。今もやばいやつ前提の評価じゃないか。それって。


「やり方はわからないけれど、ブラックゴブリンたちがヒントになるんじゃないか?」


「あ~……。ステータスのプラスか」


「そうそう。四天王にそれがついたら強いだろ?」


「つけられるなら、そうだろうなあ。一時的とはいえ、力が倍になるリピアネムか……」


 なんか、かつての触れるもの全てを破壊する状態に戻りそう。


「おや、魔王様」


 リピアネムに対して失礼なことを考えると、フィオナ様がやってきたようだ。

 一人で暇になったんだろうか?


「今、面白そうな話が聞こえてきました」


「リピアネムが触れるもの全てを破壊するって話ですか?」


「そんな話してたっけ!?」


 あ、これは俺が勝手に思ってただけだ。


「いえ、ブラックゴブリンみたいな特異のステータス研究のほうです」


「再現できたら強いかと思って」


「そうですねえ。再現できたら毎日一つ蘇生薬ですもんね」


 乗り気な理由はこれだな。

 だけど、やはり再現方法がわからない。

 モンスター限定の能力という可能性もある。


「種族の固有能力だとしたら、モンスター以外に付与とかも難しいでしょうね」


「ブラックフィオナになれば、私もステータスが倍なんですけどねえ」


「やめてください。発想が時任になっています」


「鳴神に聞けば、何かヒントが得られますかね?」


「あっちは、ブラックじゃなくてダークです。しかも自称です」


 そして、あっちも別にヒントになりません。

 自称ばかりで何も変わっていないとか、うちの転生者たちなんなんだよ。


「むう……。いっそ私も訓練してみますか」


「珍しいですね。そんな風にやる気を出すなんて」


「私のやる気については後で色々と話し合うとして、可能性が見えましたからね」


「それは、やっぱりブラックゴブリンによってですか?」


「ええ。正直なところ、私はこれ以上鍛えても何も変わらないと思っていました」


 それは、俺も同じ意見だ。

 なんせ、九が四つも並んでいるんだ。

 完全にカンストしているだろ。この魔族のステータス。

 だけどここにきて、数値以外の可能性が出てきた。

 フィオナ様からしたら、ぜひとも習得したいものなのだろう。


「よ~し。まずはリピアネム相手に特訓しますか!」


「リピアネムなら喜びそうですけど、特訓になりますかねえ?」


「大丈夫です! あの子も強くなっていますし、今なら多少は形になるでしょう」


 そう言いながら、フィオナ様は俺の腕を掴んだ。

 そのまま、しばらく集中したかと思うと景色がパッと変化する。

 別に良いけれど、せめて言ってからワープしてほしい。


    ◇


「……」


 悲しい光景だ。

 倒れ伏す強者たちの中ただ一人立ち尽くすその姿は、まるで争いそのものがいかに虚しいか語っているかのようだった。

 先ほどまで競っていた相手は、もう立ち上がらない。

 彼女と戦える相手なんてどこにもいない。

 それがやけに虚しく、悲しい光景だった。


「な、なぜ……」


「だから言ったでしょう。フィオナ様の本気なんて、四天王だって耐えられませんよ」


「か、加減はしましたよ?」


「でしょうね。リピアネムもプリミラも生きていますから」


「うむ……。生命活動には支障ない」


「ですが……。しばらく倒れていてもよろしいでしょうか?」


「ああ。フィオナ様が悪いから、二人とも楽にしていてくれ」


 よろよろと立ち上がろうとするも、二人に残ったダメージは大きい。

 ひどいものだ。あれは戦いとかじゃなかった。

 なんというか、人間にじゃれつこうとする大型の肉食獣とかだ。

 本人に悪気はないのに、じゃれつかれたほうはたまったものではない。


「いくらリピアネムが強くなったといっても、ステータスはまだ千にも届いていません。あなたが本気を出したら抗えるはずないでしょう」


「い、いえ、多少は加減を……」


「大幅に加減してください」


「はぁい……」


 フィオナ様のやる気が出たのはいいものの、その本気の訓練についていける者は誰もいなかった。

 残念ながら、今後も本気で訓練するのはまだまだ無理そうだな。

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