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ウィルの家に遊びに行った次は、ウィルたちがうちに遊びに来た。


私たちがウィルの家に行った時は荷馬車で三十分くらいかかったけど、荷馬車のない(普通、人が乗るのは馬車だけど)ウィルたちも、徒歩でもそれほど変わらないくらいで来られたって。


うちの馬さんは、ポクポクとゆっくり歩いていたからね。パカパカ走るようなのだともうちょっと早いのかも。

ポクポクとかパカパカとか語彙力がなくてすまないね。想像力でがんばってください☆




さて、子供にとっては広いリンゴ園。

しかもウィルは獣人で、子犬の姿になれば(オオカミだけど)どこまでも走っていける。どこまではオーバーか。

リアンと一緒にすごいスピードで行ったり来たり走り回っているよ!


まったく追いつけないミアの機嫌が悪くなってきた。

ミアも身体を動かすのが大好きだから一緒に遊べないのが不満なのだ。


それにしても、そうだったかぁ…。

今までミアと対等に遊んでいるように見えていたリアン。ずいぶん抑えていたんだなぁ。

まだ二歳なのにそんな配慮が出来るなんてすごい!うちの弟賢い!


まぁここまで力を出せなくて、リアンも今日初めて知ったって感じっぽいけど。

男の子同士、獣人同士、全力で遊べる事に喜んでいる。


しゃあないなぁ。ミアが泣き出す前に


「ミア~、わたし、てがよごれちゃったの。あらいたいからいっしょにきてくれる?」

「うん!」


リンゴ園の端には小川が流れている。

これもまたお隣さんとの境界線だったりする。


小川はその名の通り大きくないし深くもない。三歳児でもそこまで危険じゃない。

それに私もミアも獣人の血が入ってるからね、たぶん身体能力はただの人の子よりあると思われる。


だけど私は足を骨折して、歩き方が少し悪くなった。

どこかかばって歩いているのかもしれない。


騎士をしていたパパママが完璧に応急処置をしてくれたとはいえ、骨が折れたんだもんね。

日本の医療の様にきれいさっぱり治る訳ではなさそうだ。

あ、見た目はきれいに治っているよ。


三歳児と二歳児の子が何をどのくらい考えたり思ったりできるのか、私はもう憶えてないけど、二人は私が距離を歩く時や踏ん張らなくちゃならない時には何を置いても手助けをしてくれる。


二人で手を繋いで歌いながら小川に向かう。

途中で低い枝からリンゴの葉っぱを二枚もらう。


ごめんねリンゴさん。光合成のために一枚でも大事な葉っぱだろうけど、ミアのために二枚ください!


「サラ、はっぱなんてどうするの?」

「う~ん、できるかわからないけど、おがわについたらおしえてあげるね!」

「うん!」


去年までは出来そうになかったんだよね。

三歳になった今年はどうだろう?

少しは器用に指は動くようになったかな?


小川につくと、ちぎって来た葉っぱで舟を作る。両端を折って切って組ませて出来上がり!


「ほらミア、これをおみずにおいてみて!こっちをしたにするんだよ」

「うん!」


葉っぱの舟はユラユラと流れていった。


「サラ!すご~い!なにこれ!!」

「はっぱのおふねだよ。かわいいでしょ?」

「おふね?」


あ、しまった!

舟なんて、ここでは見た事なかったよ!

絵本だって見た事ないし…。

夢っていってもわからないだろうなぁ…。


「もういちまいあるよ。おふねつくろうか?」

「うん!」


誤魔化したら上手くいった。

より興味があるものにすぐ移る。

三歳児の注意力は移り気なのだ☆


その後、私たちが見えなくなったことに気づいたリアンとウィルがやって来て、みんなでそこら辺の草で舟を作って遊んだ。

リンゴの葉っぱは使わない。我が家の大事なご飯の素だからね!


やっぱり幼児には指先での細工は難しくて、私がせっせと作る係になった。

草で指を切って地味に痛い。遊びはやる前に考えないとだね。




それから夏の間中、ウィルはちょくちょく遊びに来た。

パパさんかママさんが送り迎えするけれど、送ってくると、リンゴ園に放牧して帰って行く。


半獣人の男の子に、町中の狭い庭は動き足りなかったんだろうなぁ。

ママ同士はそういう事よくわかっているようで「うちに放しにおいでよ」「ありがとう!助かる~!」みたいなやり取りがあったようだ。


お昼はお弁当を持って来ているので、一緒に食べる。食べてまた外で遊ぶ。

雨の日や、町のお友達と遊ぶ時もあるようで、そんな日は来なかったけど、ほぼ毎日一緒に過ごして、私たちは四人姉弟(きょうだい)の様に過ごした。


子犬が二匹戯れているところなんて、もうもう!!

可愛くて可愛くて、毎日見てるのに全然見飽きなかったよ!

萌えるってこういう事なのかもしれない。

愛情ゲージがMAXになると、がまんできずに子犬を抱きしめる。


可愛い可愛い!!大好き大好き!! 

ちょっと、いや、だいぶヤバいヤツだ。

でもみなさん!気持ちはわかるでしょ!


ミアも真似て子犬のどっちかを抱っこする。

真似だからすぐ飽きる。しかも、自分を可愛がってほしい幼子おとしごろだ。

結果、二匹と可愛い幼女を独り占め!

はぁぁ至福♪ ……ヤバいヤツだな。




毎日楽しく一緒に過ごし、秋の収穫が終わると、そろそろ冬の足音が聞こえてくる。


秋も深まってきて、ウィルはここのところ来られていない。

本格的な冬になる前に冬支度があるからね。

子供は親のジャマにならないように遊ぶ事が一番の仕事だけど、親はいつもの仕事の他に色々と忙しい。

冬支度が一段落するまでは、ウィルの送り迎えの時間がとれないんだろうな。


ずっと四人でいたから、三人はちょっと淋しいね。リアンは全力で遊べる相手がいないので体力を持て余し気味だし。

ミアがどんなにがんばっても、獣人と人では動きが違うし、男の子と女の子では体力も違う。

私は危なくないよう監視係だよ。あんなに動けないよ。


まぁ元々三人姉弟だし、幼児は環境にすぐ慣れるし、こんなもんだと過ごしているうちにすっかり冬になった。




冬のある日、しばらくぶりにウィルがやってきた。

これからまた、雪が降るまでは遊びに来られるみたい。雪が降っていると三十分の道のりはちょっと厳しいもんね。

雪が降るようになっても、止んでる晴れた日なんかには遊びに来られたらいいな。


葉の落ちたリンゴ園の中、冷たい木枯らしと追いかけっこをして遊ぶ。


寒っ!! 

走り回っていてもめちゃくちゃ寒いよ!!


お姉ちゃん感覚は大人だから、こんな寒風吹きすさぶ中外にいるのは罰ゲームにしか思えないよ!

あぁほら。


「ミア、ふんってして!」


ミアの赤くなった鼻に、常備しているハンカチをあてて鼻をかませる。

子犬二匹の鼻もふいてあげる。鼻水たれてるし。って、私は母親か!

まぁ保育士を目指していたくらいだからね、ばっちこいよ!




木枯らしの頃はあっという間に過ぎて、雪が降りだした。

雪が降っている日はウィルは来られなかったけど、止めば晴れていなくても遊びに来る。

家の中に閉じ込められていたストレスをはらすように、四人で雪にまみれて遊びまくった。


全力を出しあえるから、リアンとウィルは子犬になって走りまくる。雪の中に埋まりながら飛び跳ねるように走る。

ストレス発散が激しい!!


一緒に走れないミアは、また悔し泣き寸前だ。

子犬たちにセーブしてとも言えないし。

しゃあないな。


「ミア~! めちゃくちゃおおきな、ゆきだるまをつくろう!みんなをおどろかせてあげようよ!」

「めちゃくちゃおおきいの?! うん!つくる~!」


ミアと雪玉を作って転がしていく。


「ミアが、からだのほうね! わたしは、あたまのほうね!」

「うん!!」


そのまま重くて動かせなくなるまで雪玉を大きくしていった。

頭をのせるのはパパに頼もう。


子犬たちの暴走とミアの相手をしなくちゃならないんだもん、お姉ちゃん忙しいよぉ!




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